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銀の笛奪還編

第15話 勇者新種の魔物と出くわす

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 吟遊詩人ユーズルの墓の中へ入ると、扉は勝手に閉まる。
 ちょっと押してみると、少し動く。
 別に閉じ込められた訳でもなく、普通に出られそうだ。


 と言っても、中は真っ暗だ。
 なるほど、これはライトの呪文が欲しくなる訳だ。
 と思いながら、俺はたいまつをつかう。
 どう使うかは、気にするな。

 たいまつの灯りは、俺の周囲を照らす。
 奥までは見通せない。
 距離的に言えば、サッカーのPKを蹴る時、キーパーの位置が分からないくらいの距離だ。
 でも、そんな距離は必要ないだろう。

 このユーズルの墓は、ちょっとしたダンジョンになっている。
 いわゆる迷路だ。
 まあ、案内人としておっさんを雇うのも、有りだったかもしれん。
 その報酬は、ぼったくりだが。

 ここが迷路なら、攻略法はある。
 左手を壁に当てて、そのまま進めばいい。

 迷路を進むと、新種の魔物に遭遇。
 全身緑色の、太ったコウモリだ。
 いや、太った身体と言うよりは、全身顔みたいな感じだ。

 こいつがどれほどの強さか知らんが、とりあえず鉄の斧で攻撃してみる。

 どご、
 ばた。

 なんか、一撃で倒してしまった。
 18円落ちていた。

 確か、チビデブの魔物が10円くらいで、がいこつの魔物が40円くらい。
 女性の声がしたほこら周辺の岩の魔物は、確か25円。
 つまりここの魔物は、ほこら周辺の魔物より弱い。
 俺の敵ではない。
 おっさんを雇わなくて、正解だったな。

 俺は安心して迷路を進むと、またもや新種の魔物に出くわす。
 宙に浮かぶ金魚みたいな魔物だ。
 背びれや胸びれ、腹びれが、触手っぽくなっていて、ウネウネ動いて気色悪い。

 とりあえず鉄の斧で攻撃。

 どご、
 ばた。

 またもや一撃で倒してしまった。
 20円落ちていた。
 さっきのコウモリの魔物よりは、強いのかな。

 迷路を進むと、なんか下に降りる階段を見つける。
 さて、この階段を降りるか、ちと迷う。
 まだこの階の探索は、済んでない。
 この階の探索を、済ませてから先に進みたい気分だ。
 とりあえずこの階の探索を済まそう。

 って、すぐに済んでしまった。
 この迷路の構造自体は、単純だった。
 迷路と言うほどの物ではなかった。

 俺は階段を降りる。
 下の階は、なんか瘴気が濃くなった感じがする。
 この階でも、俺は左手を壁に当てて進む事にする。

 コウモリや金魚の魔物を倒して進むと、宝箱を見つけてしまった。
 魔物の巣窟となった、ここユーズルの墓。
 こんな所に宝箱とは、怪しさ満点だ。
 ユーズルの埋葬品かもしれんが、迷路の通路に放置するだろうか。

 とりあえず開けてみる。
 中にはなんと、鎖かたびらが入っていた!
 うーん、これは悩む。
 これ装備していいものか。
 おそらくユーズルの死後埋葬された物。
 つまり、かなりの年代ものだ。
 経年劣化も気になるが、なんか呪われそうなんで、俺は宝箱に戻して、そっと宝箱を閉じた。
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