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銀の笛奪還編

第14話 勇者墓守と話す

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 吟遊詩人ユーズルの墓を探す俺は、ついにそれらしきモノを発見する。


「お、あんちゃん新顔だね。」
 ユーズルの墓とおぼしき花壇の横にいるおっさんが、話しかけてくる。
 おっさんは、歴戦の戦士っていでたちだ。
 一線を退き、ここで余生を過ごしてる感じだ。

「あのー、ここがユーズルの墓ですか?」
「ああそうだ。ここがおまえらが崇める、吟遊詩人ユーズルの墓さ。」
 俺の疑問に、おっさんが答えてくれた。
 なるほど、ここがユーズルの墓か。
 この奥に、俺の探す銀の笛があるんだな。

「ちょっと待ちなよ。」
 地下へと続く階段を降りようとする俺を、おっさんが止める。
「この奥の魔物は、この村周辺の魔物より手強いぜ。」
 とおっさんは、ありがたい忠告をしてくる。
 この辺の魔物は、最早俺の敵ではない。
 ワンランク上の魔物でも、今の俺には余裕。
 まあ、がいこつの魔物レベルになると、まだ手に負えないが。
 がいこつは、スリーランク上、ってところか。

「だからよ、俺を雇わないか?」
 とおっさんはニヤける。
「そう、おまえが聖地巡礼するための、ボディガードってやつさ。
 報酬は、魔物が落とした金の、半分でいいぜ。」

 うーん、このおっさん、何言ってるんだろか。
 そりゃぼったくりもいいところだ。

「いえ、俺も腕には自信あるんで。」
 俺はおっさんの申し出を、丁重にお断りする。
「おいおい、待ちなって。
 俺を雇って損はないぜ。
 なんと俺は、ライトの呪文を使えるんだぜ。」

「ライトの呪文?」
 俺には初耳の呪文の名が出てきた。
「おやおや、知らないのかい。
 暗い洞窟に、灯りをともす呪文さ。」
 おっさんは、なぜか得意げだ。
「いえ、結構です。
 俺にはこれがあるんで。」
 俺はたいまつを取り出す。

「はっはっは、そんなもんより、ライトの呪文なら、洞窟の奥まで見通せるんだぜ。」
 おっさんはなぜか、たいまつをバカにする。
 まあ、それほど自分の優位性を証明したいのだろう。

「いえ、俺にはこれで充分です。」
 俺はユーズルの墓の扉に手をかける。
 これ以上おっさんにつきあって、文字数を消費したくない。

「おーい、俺を雇いなって。
 そこに入るヤツはみんな、俺を雇ってるんだぞ。」
 おっさんが何か言ってる。
 入るヤツみんなって、おっさんひとりで面倒見てるんかな。
 それを考えたら、ユーズルの墓の観光時間とか決まってそうだ。
 団体さんで行く事になるのかな。

 それは勘弁だな。
 なにしろ俺は、銀の笛を探しに来たのだから。
 おそらくこの銀の笛が、魔物を呼び寄せている。
 これが無くなったら、このユーズル聖地のビジネスは、成り立たなくなるだろう。
 このおっさんの仕事も無くなる。

 うん、俺が銀の笛をゲットする所は、絶対見られてはいけない。

 俺はユーズル墓の扉を開ける。
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