奴隷商の息子

Rain

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2 奴隷商の女

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 陽が差し込むより先に目が覚めた。
 

 薄暗い室内。
 隣には、サーシャのおだやかな寝息を感じる。
 顔を倒して、彼女を見た。


 薄い唇がやや開いている。
 美しい顔立ちの女だ。
 スーツを脱がせるときは燃えた。


 だがこの女。
 卑劣な奴隷商だ。
 多くの人を泣かせてきた悪女。


 何人ものエルフを薬漬けにしてきたと言っていた。
 奴隷市場は右肩上がりで、調教師が慢性的に不足しているらしい。
 だからCランク以下の容姿だと、納期に間に合わせる為に薬を用いる場合も少なくない。
 薬漬けで出荷した場合、奴隷の表情がなくなるので安く叩かれる。だから薬などいらない腕利きの調教師が必要なのだ、と。
 奴隷にとってもそれが一番いい。
 まるで無農薬野菜のうんちくを語るように、楽しそうに話していた。
 俺は馬車に揺らされながら、黙って、胸糞の悪い話を聞いていた。



「おはようございます。待っていてください。これから朝食を作りますから」
 

 うっすらとまぶたを開き、細い眼でやさしそうに俺を見つめてそう言った。


「まだ早い。寝とけよ」


「峻さま。眠れないんでしょ?」


 そうなのかもしれない。

 この日、親父の会社で試験とやらが待っている。

 ざけんな。
 
 この家を抜け出そうかと思いもした。
 ここが娑婆なら、とっくにトンズラしている。
 だが、ここは見ず知らずの異世界である。
 金も無いし、ここでの常識も分からない。
 どう考えても、今抜け出すのは得策ではない。
 結局のところ、数日は様子を見るしかない。



「もう一度私を犯します?」


 そう言いながらも半身を起こし、シーツで乳房を隠して俺を誘っている。


「どうして犯すという言葉を使う?」


「あなたから、愛を感じないから」


「そうか」


 あんたを愛してやる義理なんてない。
 だが、誘ってくるなら遠慮なく犯してやる。
 
 
 サーシャと唇を重ね、舌を絡めた後、右の乳房に歯型をつけてやった。


 愛撫もせずに、一気に膣内に挿入して、ピストンを繰り返した。
 まだ濡れていない乾いたまんこの締め付けは最高だ。
 じきに絶頂を迎える。


「どこへ出して欲しい」


「犯している相手に、どうしてそのようなことを聞くんですか?」


「素直に犯された礼に願いを叶えてやる」


「峻さまの好きな所なら、どこでも」


「言えよ。顔か? それとも子宮内にぶちまかれたいか? そして俺の子を孕むか? 俺はいっさい面倒なんて見ねぇけどな」


「構いません。あなたの獰猛な遺伝子がいただけるなんて光栄です」


 左側の乳房にもかみつく。

 普通の女にこのようなことは絶対にしない。

 こいつが血も涙もない奴隷商の女だから、なのか。
 征服欲というやつだろうか。
 悪い女をぐちゃぐちゃにしたいという、妄想に駆られる。


 子宮内に、朝一発目の濃いヤツを、思い切り出してやった。
 同時にサーシャも絶頂したのか。いっそう大きな喘ぎ声を上げ、俺に抱き付いてくる。
 

 すべて出し終わると、サーシャの腕を払いのけてベッドに背中を預けた。


 サーシャの両乳房には、俺の歯型がくっきりと赤く残っており、彼女はへその下に手を添えている。


「お食事を作ってきます」

 下着を身に着けて寝室を後にした。


 *


 よい匂いがしてきた。
 誘われるようにキッチンルームへと足を運んだ。

 こんがりと焼けたトーストに、コーヒーが注いである。
 

「おはようございます。今、お呼びに行こうと思っておりました」

 
 にっこりとエプロン姿のサーシャ。その下はレディーススーツ。


 席をひいてくれたので、そこへ座り、パンを手に取ってかじった。

 サーシャも食事を始める。
 ときおり胸をさする仕草が気になる。

 噛みついたからな。


「胸は大丈夫か?」

「あ、はい。なんともありません。それよりも私は安心しました。峻さまと社長にはひとつ違う点があります。それが少しばかり気になっていたのですが、解消できましたから」

「違いだと?」

「はい。外見で判断してはいけないとは思いますが、峻さまからはいつも優しい風を感じます。まるで春のそよ風のような。社長にはまったくない性質」


 あの男と比べられては、誰でも菩薩になるわな。


「ですが、優しいと優しそうは全く異なります。
 それは、奴隷商は決してもってはいけないオーラです。
 奴隷に舐められますから」


 食事が終わると、馬車に乗り、親父の会社へ向かった。

 そこは街から数キロ離れた高い塀に囲まれた施設だった。
 
 それは、まるで俺が先日までいた独房さながらである。


 サーシャは門守衛に社員証を見せて、門をくぐり、塔の前で馬車をとめた。

「この塔の4階が人事課になります。あなたの面接が10時よりスタートします」


 懐中時計とハンカチのかかったバスケットを俺に手渡すと、
「私はこれから奴隷品質管理の仕事がありますので、お見送りできるのはここまでです。会社では時間厳守。遅刻は許されません。なにとぞ気を付けてください」


 人を呼んでおいて、時間厳守を強要するとは、つくづく親父の性格に呆れかえる。
 それに奴隷の品質管理ってなんだよ。
 どうせろくでもない仕事なんだろ?
 想像するのもおぞましい。
 

 苦笑を浮かべて懐中時計を開いた。
 地球のものと酷似していたので、なんとなく分かる。


「そのバスケットの中身はお弁当です。私は東の塔にいます。もし時間が許すようでしたら、ご一緒しましょう」
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