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Episode4 京子
148 モニターに映った彼
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元キーダーの松本秀信がホルスのトップだろうという情報がアルガス内に広まったのは、京子たちが誠の部屋を出て少し経った夜の事だった。
翌朝のデスクルームは、早朝トレーニングからの朝食を済ませたメンバーがその話題で持ちきりだ。
「もし本当に松本って人がホルスのトップだって言うなら、敵だって事ですよね? 何でそんな事になったのかは分からないけど、長官は辛いんじゃないかしら」
「長官は解放前のメンバーに思い入れがあるみたいだしね。私情は捨てるって言ってたけど、心の中はそうじゃないと思う。味方だと思ってた人となんて、戦いたくないもんね」
彰人と戦った時の事を思い出して、京子は「ね」と溜息をつく。
普段この時間は食後の休憩タイムを各々に過ごしている時間だが、早朝に指示が回って机上のパソコンは既に起動済みだ。8時にあるという会見を待って、アルガスのシステム画面を広げて待機している。
京子はふわあっと大きな欠伸を零す。誠と話した事が気になって、昨日はあまり寝る事ができなかった。
眠気覚ましに、マグカップに注いできたアイスコーヒーをごくごくと飲む。氷を多めに入れたせいで、無くなるのはあっという間だ。
「京子さん、眠いとか言っていつもより動いてましたよね。俺、本気で倒されるかと思いましたよ」
シャワー上がりの修司が火照った顔に手団扇の風を当てながら、エアコンの下を陣取る。
「あれは修司が気を抜きすぎなんだよ。けど、私も眠すぎてハイになってたかも」
「目の下にクマ作って何言ってんですか。寝るのも仕事なんだから、ちゃんと寝て下さい」
「……はぁい」
すかさず綾斗の注意が飛んできて、京子は掌で両目を押さえた。クマができているとは不覚だ。起き抜けでボーっとしたまま家を出たせいで、ちゃんと鏡も見ていない。
「ところで、会見って何の話があるのかな」
「ちょっと見当がつきませんね」
ふと目に入った壁の時計が八時間近を指しているのが分かって、京子はモニターに目をやった。
オンラインで重要な発表があると言われたが、それ以上の前情報は何もない。松本の件は昨日伝えられているから、別の事だろう。
待っている数分を長く感じるが、パソコンのデジタル時計が8時調度を示した瞬間に動画のウィンドウが強制的に現れた。
「きた」と修司がエアコンの下を離れて、側にある美弦のパソコンを覗き込む。
モニターにはどこか建物の中が映り、空の演台の後ろにスーツ姿の外国人が整然と並んでいた。背景の窓が暗いのは日本ではないという事だろうか。
物々しい雰囲気の中、何かの挨拶が始まるんだろうという予測はできる。けれどそれを考えるより前にシンと静まり返った部屋に靴音が鳴って、思いもよらぬ人物が現れたのだ。
「何で……?」
見慣れぬスーツ姿で演台に立つ彼に、四人があっと息を呑む。
高峰桃也だった。
翌朝のデスクルームは、早朝トレーニングからの朝食を済ませたメンバーがその話題で持ちきりだ。
「もし本当に松本って人がホルスのトップだって言うなら、敵だって事ですよね? 何でそんな事になったのかは分からないけど、長官は辛いんじゃないかしら」
「長官は解放前のメンバーに思い入れがあるみたいだしね。私情は捨てるって言ってたけど、心の中はそうじゃないと思う。味方だと思ってた人となんて、戦いたくないもんね」
彰人と戦った時の事を思い出して、京子は「ね」と溜息をつく。
普段この時間は食後の休憩タイムを各々に過ごしている時間だが、早朝に指示が回って机上のパソコンは既に起動済みだ。8時にあるという会見を待って、アルガスのシステム画面を広げて待機している。
京子はふわあっと大きな欠伸を零す。誠と話した事が気になって、昨日はあまり寝る事ができなかった。
眠気覚ましに、マグカップに注いできたアイスコーヒーをごくごくと飲む。氷を多めに入れたせいで、無くなるのはあっという間だ。
「京子さん、眠いとか言っていつもより動いてましたよね。俺、本気で倒されるかと思いましたよ」
シャワー上がりの修司が火照った顔に手団扇の風を当てながら、エアコンの下を陣取る。
「あれは修司が気を抜きすぎなんだよ。けど、私も眠すぎてハイになってたかも」
「目の下にクマ作って何言ってんですか。寝るのも仕事なんだから、ちゃんと寝て下さい」
「……はぁい」
すかさず綾斗の注意が飛んできて、京子は掌で両目を押さえた。クマができているとは不覚だ。起き抜けでボーっとしたまま家を出たせいで、ちゃんと鏡も見ていない。
「ところで、会見って何の話があるのかな」
「ちょっと見当がつきませんね」
ふと目に入った壁の時計が八時間近を指しているのが分かって、京子はモニターに目をやった。
オンラインで重要な発表があると言われたが、それ以上の前情報は何もない。松本の件は昨日伝えられているから、別の事だろう。
待っている数分を長く感じるが、パソコンのデジタル時計が8時調度を示した瞬間に動画のウィンドウが強制的に現れた。
「きた」と修司がエアコンの下を離れて、側にある美弦のパソコンを覗き込む。
モニターにはどこか建物の中が映り、空の演台の後ろにスーツ姿の外国人が整然と並んでいた。背景の窓が暗いのは日本ではないという事だろうか。
物々しい雰囲気の中、何かの挨拶が始まるんだろうという予測はできる。けれどそれを考えるより前にシンと静まり返った部屋に靴音が鳴って、思いもよらぬ人物が現れたのだ。
「何で……?」
見慣れぬスーツ姿で演台に立つ彼に、四人があっと息を呑む。
高峰桃也だった。
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