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第3話 お城を求めて
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いい天気だった。麦を栽培しているのだろうか、畑が広がっている。
空も大地も広い。
風が優しく吹いている。
車や電車などの聞き慣れた音は一切しない。
私が住んでいた場所ではない。
石垣の上から落ちたのだから、無傷という訳にはいかないだろう。やはりここは、あの世なのかな?
だとしたら、その実感がない。天国とか地獄とかは、こんな感じではないはず。もちろんイメージの話だけと。
むしろ、周りの風景にリアリティがありすぎて、現実の世界としか思えない。タイムスリップだの異世界だのと言われた方がまだ納得できる。
まあ、これについては夜に星を確認できれば、タイムスリップか異世界かどちらかに絞れるはずだ。
私、石垣から落ちている最中に、死にたくないと願ったよ。それに、私の不注意で落ちたのも間違いないから、文句を言える立場でもないのもわかっている。でもさ、願いを叶えてくれるなら、こんな世界に飛ばさないで、元の世界で生き返らせてくれればいいじゃない。
神様って存外意地が悪いのかも。
こうなったものは、しょうがない。五体満足でいられるだけでも感謝しましょう。と無理やり思い込んだ。
それに、新たな地で城巡りをするのも、悪くない!ここにはどんなお城があるのかな~?しまった。地図をもらってくれば来れば良かった。いや、この文明レベルでは、手軽に手に入らないだろうし、測量技術だって発達していなさそうだから、いい加減な地図しかなさそう。だったら自分で作るか?いいや、紙だってかなり高価なはずだし、インクだって負けず劣らず高価なもののはず。あのお家の人は文字の読み書きができなさそうだから、置いてないだろう。
読み書きで連想したことだけど、私は日本語を話しているはずなのに、なんで通じるんだろう?あの女の人が喋っている言葉も日本語に聞こえた。まあいいか。通じるから通じる。それ以上、考える必要はない。
とにかく、城を探そう♪探しながら、この土地がどんな所なのかも調べよう。
私は自分の持てる全ての妄想力を使って、想像した。
これだけ広い畑があると、実りを奪おうとする者がでてくる。必然的にそれを守る存在がいるはずだ。つまり支配者的な存在、領主がいるはず。
彼らは館か、城に住んでいるはずだ。そして城といえば、高台だ。
私は、歩きながらあたりを見た。遠くに森がはあるけど、丘はこの近くにないようだった。
堀の代わりになる川や湖ならと軽く探して見たけれど、有るのは用水路ばかりでそう言ったものはなかった。
あとは遠出をして探すしかないけど、車もない、自転車もないこの世界でどうすばいいのか。しかも、幼い体だよ。
日差しの下で歩いたせいか、喉が乾いた。冷たい飲み物が欲しい。自販機ないのかなぁ…あるわけないか。あ、あそこにあるのは井戸かな。
石で囲った低めの壁が見える。
現役の井戸を観るのは初めてだ。行ってみよ。
私は走り寄った。
その時に初めて気付いた。体が軽い!
なんてことでしょ。現代では、横断歩道を走って渡るだけで息切れをおこしたのに、今はなんてことない。
翼を授ける赤い雄牛なんて、目じゃないよ。ホントに翼が生えているよう♪
私は数年ぶりにスキップしたが、何だが足がもつれる感覚があったので数回で止めて、普通に走った。若返っても、無器用さは改善せれなかったようだ。
井戸の壁は私の顎の高さまであった。覗くのには少しばかり高くて、何度かジャンブをして壁の上によじ登り、お腹を支点に中を覗き込んだ。
井戸の中はひんやりしていて不気味だ。底の水面に私自身のの顔が映っている。
あれが私…なんか、かわいい。
自分で言うのもなんだけど、緊張感のない感想が浮かぶ。でも、自分の顔がとんな造りなのか気にならない人間なんていないでしょ。
「アンナ、危ないぞ!」
不意に大きな声が聞こえた。切羽詰まったその声に驚いた私は、バランスを崩し井戸に落ちそうになる。
「あっ!」
と言う声とともに、何者かが私の腰を掴んだ。
ちょっと、ドサクサに紛れてどこ触ってんのよ!と思わなくはなかったが、そのお陰で井戸に落ちないで済んだ。
私を掴まえてくれたのは、小学4年生位の男の子だった。
「危ないじゃないか!」
顔を合わせるなり言われた言葉は、お叱りのことばだった。
でも、おかしくない?あなたがいきなり声を発するから、私は落ちかけたのだ。
「あんたが急に声を掛けるからでしょ!」
「お前、助けてもらったクセになんだよ」
「お前って言うな!」
私は反論した。そして思い出した。この子は私の名前を呼んだよね。
「ごめん、あなた私のことをなんて呼んだ?」
全く予想していない言葉をかけられて、男の子はキョトンとした。
「お前、何言ってるんだ?」
「だから、お前じゃなくて、名前を呼んでよ」
「…名前って、お前、アンナだろ」
私、アンナって名前なんだ。なんか素朴ね。言われて見れば、母親らしき女の人がそんな風に呼んでいた気がする。
忘れない様にしなきゃ。アンナ、アンナ、アンナ…。
「お前、大丈夫か?」
そんな私の様子をみて、男の子は不思議そうな顔をしている。
面倒な事にならないように、この場を立ち去ろうっと。
「大丈夫、大丈夫。助けてくれてありがとね」
私は言いながら走り去った。
なんだか声を掛けられているようだけど、無視を決め込んだ。子供の相手なんかしてられない。私は城を探すのだ。
丘もない、堀の代わりになる川や湖もない。だったら交通の要衝らしき街道はどうかと思ったが、それも見当たらなかった。
ここは畑意外に何もないのか?たしか森があったな。ただ、森の中の城なんて聞いた覚えはないけれど、もしかしたら隠し拠点として森に砦を築いているかもしれない。かの有名なロビンフッドも、シャーウッドの森を拠点にしていた。まあ、あれは伝説だけど。
よし、行ってみよう♪
私は歩きだした。
空も大地も広い。
風が優しく吹いている。
車や電車などの聞き慣れた音は一切しない。
私が住んでいた場所ではない。
石垣の上から落ちたのだから、無傷という訳にはいかないだろう。やはりここは、あの世なのかな?
だとしたら、その実感がない。天国とか地獄とかは、こんな感じではないはず。もちろんイメージの話だけと。
むしろ、周りの風景にリアリティがありすぎて、現実の世界としか思えない。タイムスリップだの異世界だのと言われた方がまだ納得できる。
まあ、これについては夜に星を確認できれば、タイムスリップか異世界かどちらかに絞れるはずだ。
私、石垣から落ちている最中に、死にたくないと願ったよ。それに、私の不注意で落ちたのも間違いないから、文句を言える立場でもないのもわかっている。でもさ、願いを叶えてくれるなら、こんな世界に飛ばさないで、元の世界で生き返らせてくれればいいじゃない。
神様って存外意地が悪いのかも。
こうなったものは、しょうがない。五体満足でいられるだけでも感謝しましょう。と無理やり思い込んだ。
それに、新たな地で城巡りをするのも、悪くない!ここにはどんなお城があるのかな~?しまった。地図をもらってくれば来れば良かった。いや、この文明レベルでは、手軽に手に入らないだろうし、測量技術だって発達していなさそうだから、いい加減な地図しかなさそう。だったら自分で作るか?いいや、紙だってかなり高価なはずだし、インクだって負けず劣らず高価なもののはず。あのお家の人は文字の読み書きができなさそうだから、置いてないだろう。
読み書きで連想したことだけど、私は日本語を話しているはずなのに、なんで通じるんだろう?あの女の人が喋っている言葉も日本語に聞こえた。まあいいか。通じるから通じる。それ以上、考える必要はない。
とにかく、城を探そう♪探しながら、この土地がどんな所なのかも調べよう。
私は自分の持てる全ての妄想力を使って、想像した。
これだけ広い畑があると、実りを奪おうとする者がでてくる。必然的にそれを守る存在がいるはずだ。つまり支配者的な存在、領主がいるはず。
彼らは館か、城に住んでいるはずだ。そして城といえば、高台だ。
私は、歩きながらあたりを見た。遠くに森がはあるけど、丘はこの近くにないようだった。
堀の代わりになる川や湖ならと軽く探して見たけれど、有るのは用水路ばかりでそう言ったものはなかった。
あとは遠出をして探すしかないけど、車もない、自転車もないこの世界でどうすばいいのか。しかも、幼い体だよ。
日差しの下で歩いたせいか、喉が乾いた。冷たい飲み物が欲しい。自販機ないのかなぁ…あるわけないか。あ、あそこにあるのは井戸かな。
石で囲った低めの壁が見える。
現役の井戸を観るのは初めてだ。行ってみよ。
私は走り寄った。
その時に初めて気付いた。体が軽い!
なんてことでしょ。現代では、横断歩道を走って渡るだけで息切れをおこしたのに、今はなんてことない。
翼を授ける赤い雄牛なんて、目じゃないよ。ホントに翼が生えているよう♪
私は数年ぶりにスキップしたが、何だが足がもつれる感覚があったので数回で止めて、普通に走った。若返っても、無器用さは改善せれなかったようだ。
井戸の壁は私の顎の高さまであった。覗くのには少しばかり高くて、何度かジャンブをして壁の上によじ登り、お腹を支点に中を覗き込んだ。
井戸の中はひんやりしていて不気味だ。底の水面に私自身のの顔が映っている。
あれが私…なんか、かわいい。
自分で言うのもなんだけど、緊張感のない感想が浮かぶ。でも、自分の顔がとんな造りなのか気にならない人間なんていないでしょ。
「アンナ、危ないぞ!」
不意に大きな声が聞こえた。切羽詰まったその声に驚いた私は、バランスを崩し井戸に落ちそうになる。
「あっ!」
と言う声とともに、何者かが私の腰を掴んだ。
ちょっと、ドサクサに紛れてどこ触ってんのよ!と思わなくはなかったが、そのお陰で井戸に落ちないで済んだ。
私を掴まえてくれたのは、小学4年生位の男の子だった。
「危ないじゃないか!」
顔を合わせるなり言われた言葉は、お叱りのことばだった。
でも、おかしくない?あなたがいきなり声を発するから、私は落ちかけたのだ。
「あんたが急に声を掛けるからでしょ!」
「お前、助けてもらったクセになんだよ」
「お前って言うな!」
私は反論した。そして思い出した。この子は私の名前を呼んだよね。
「ごめん、あなた私のことをなんて呼んだ?」
全く予想していない言葉をかけられて、男の子はキョトンとした。
「お前、何言ってるんだ?」
「だから、お前じゃなくて、名前を呼んでよ」
「…名前って、お前、アンナだろ」
私、アンナって名前なんだ。なんか素朴ね。言われて見れば、母親らしき女の人がそんな風に呼んでいた気がする。
忘れない様にしなきゃ。アンナ、アンナ、アンナ…。
「お前、大丈夫か?」
そんな私の様子をみて、男の子は不思議そうな顔をしている。
面倒な事にならないように、この場を立ち去ろうっと。
「大丈夫、大丈夫。助けてくれてありがとね」
私は言いながら走り去った。
なんだか声を掛けられているようだけど、無視を決め込んだ。子供の相手なんかしてられない。私は城を探すのだ。
丘もない、堀の代わりになる川や湖もない。だったら交通の要衝らしき街道はどうかと思ったが、それも見当たらなかった。
ここは畑意外に何もないのか?たしか森があったな。ただ、森の中の城なんて聞いた覚えはないけれど、もしかしたら隠し拠点として森に砦を築いているかもしれない。かの有名なロビンフッドも、シャーウッドの森を拠点にしていた。まあ、あれは伝説だけど。
よし、行ってみよう♪
私は歩きだした。
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