病んでる僕は、

蒼紫

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始まり《改訂版》

加奈川くん

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「「さようなら」」

帰りのホームルームが終わる。


「……ねぇ、夜霧くん」
「何ですか」

返事をすると驚いたような表情が返ってきた。

「怒って、ないのぉ……?」
「……何にですか?」

というか、用が無いのなら話しかけてこないでくれ。

「でもぉ……」
悩ましげに眉間にしわを寄せる加奈川くん。

「何?」
イライラしてきた。
僕はハッキリしてないのは嫌いだ。

「用が無いのなら僕は帰るけど?」
荷物を持って彼に背中を向けると彼は慌てたように待って、と走って着いてきた。

「……さっき大丈夫だったぁ?」
「別に。よくあることですから。」

言い方を間違えたかな?
加奈川くんがそうなんだ、と何かを悟ったような表情で見てくる。

「それより……加奈川くんは生徒会が嫌いなんですか?」
「そうだねぇ、嫌いかなぁ。」

しばらく沈黙が続く。

不意に、加奈川くんが何かを決意したかのような顔でこちらを見た。

「?」

「ほんとに……あれはやりすぎたって思ってるっていうか、とにかく、ごめんねぇ?」

……一体なんの話しだろう。

「僕は……加奈川くんに何かされましたか?」

そう聞くと心底驚いたようにこちらを見る。
なんでそんなに驚いているんだろう。

「ぼ、僕が夜霧くんを巻き込んだからぁ、みんなに嫌われちゃったし、ああなったんだよぉ?」

なんだ、その事か。
「別に、その事は気にしてません。巻き込まれようが嫌われようが、僕には関係無いので。」

さらに困惑した様子の加奈川くん。

僕は別に怒ってもないし、特になんとも思ってない。
そんなこと心底どうでもいいのだ。


「あの……なんていうか、本当にごめんねぇ」

しかし、何故か加奈川くんは眉を八の字にしてまた謝る。
「……はぁ。うん、そうだね。」
このままじゃいつまでも謝り続けそうだ。それも鬱陶しい。

「あ、夜霧くん、こっちが寮だよぉ」

加奈川くんが指さす方向へ、頷いてついて行く。

寮はやはり、この辺りにそぐわない都会の高級ホテルのような建物だった。
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