病んでる僕は、

【改訂前】なんて面倒くさい…

鬱陶しい視線。

その後、体育館に戻ってきた。
どうやら加奈川くんは逃げ切ったようだ。

「やっほー、夜霧くん！」
「…どうも。」
相変わらず元気だな…。
「夜霧くんはどうだったのぉ？今回。」
「色々あって疲れました。」
「そっかー。僕はぁ木に登ってずぅっと寝てたからぁ、一片の疲れも感じてないよぉ～」
えへへーなどと笑う加奈川くんに少し悪意を感じてしまうのは気のせいだろうか。きっとそうに違いない。

「…なんかさっきから視線感じるねぇ」
「…いつもじゃないですか？」
「分かってるくせにぃー」
はぁ、と溜息を着いてまた前に視線を戻す加奈川くんを一瞥して僕はチラッと風紀委員の方に目をやる。
あの時、教室に来てた数人と目が合いばっと目をそらされる。
なんだ、言いたいことがあるなら言えよ。

むっとしつつ今度は父さんへ目を向ける。
心配そうな顔でこちらを見つめていた。
…まただ。また心配させてしまった。

ニコッと笑いかけるとぱあっと子供みたいに笑顔になる。

「きゃぁっ、今理事長が僕の方見て笑ってくれたぁ！」
「今の笑顔素敵ぃ！」
「かっこいい！！」

そうだ、理事長は人気なんだった…。


『あーあー、集計が終わりました。皆さんお静かに。』
ふいに、副会長の声が体育館内に響く。
そうそう。
先程入口にて一人一人鉢巻きを回収されたのだ。

その知らせに体育館内はまたざわざわと騒がしくなる。
「会長様の鉢巻き取りたかったぁ～」
「書記様は誰が取ったのかな？」
「翼様の鉢巻きはどうなされたのでしょうか…」
「それより聞いた？ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ…」

なんか、柳瀬先輩の鉢巻きも貰ったのは流石に不味かったな…。
会長様のもだけど。
バレたら殺されそうだ…。

『栄えある第一位は、』
あ、聞き逃していた。

鉢巻きを取った数だろう。

そんなことより、早く部屋に帰りたい。
今日は疲れた。

そんなことを考えながら僕が欠伸を噛み殺していた時だ。