病んでる僕は、

蒼紫

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【改訂前】なんて面倒くさい…

地獄の時間のはじまりだ

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「二人とも、生徒会の皆さんや駿河様、新渡戸様、翼様達に近付かないでよ!」
「あんた達みたいなのが皆様と並ぶなんて図々しいにも程があるの!」
「身の程弁えて!」
…毬藻は知らないけど僕の場合不可抗力だと思う。
そんなことを言おうものなら今度は殴られかねないので黙っておく。

「おいおい、早くしろっつったのお前らだろ。とりあえず、サンドバッグでいいよな」
「つか、サンドバッグ以外有り得ないだろ!」
「それな、こんなのとヤるとか有り得ねーし」
「「ギャハハハハハ!!」」
下卑た笑い声をあげる男達。
なんて胸糞悪い。

少しだけ昔の記憶がフラッシュバックして嫌な汗が背中を伝う。

ふいに一人の男が毬藻の髪を指差した。
「つーかよ、この髪マジでウケんだけど!」
「それなぁ!」
そしてまた笑う。
当の本人は馬鹿にされて顔を真っ赤にして怒っている。
茹で蛸みたいだ。

お前ら、愉快なやつだな。
人生楽しそうで何よりだ。

冷めた目でそいつ達を見つめていると別の男が毬藻の髪を引っ張った。
そして驚くことが起きた。

毬藻の髪が抜けた。
いや、鬘が取れたのだ。

「えっ、」
「おいおい嘘だろ」
「漫画かよ!」
そこには鬘が取れた拍子に眼鏡のずり落ちた元毬藻が居た。

生徒会に負けず劣らずの美少年だった。

これ、なんの茶番ですか?

「まじかよぉ!」
一気に盛り上がった男達。

「こいつなら普通にヤレるわ!」
「俺も俺も!」
大声でそんなことを叫ばないで欲しい。
アニメや漫画ならピーという音で訂正が入るのだろうが、生憎ここは現実世界。
はぁ、と溜息を吐く。

「ちょっ、ちょっと!」
「まっ、待ってよ!」
まさか、毬藻が美少年だったなんて…と慌てる親衛隊達。

しかし、男達は目先の獲物しか見えていない。
ジュルッと音を立てて舌舐めずりをする男達に悪寒が走る。
気持ち悪い。

「おい、誰かあいつも相手してやれよ可哀想だろ!」
忘れてなかったのかよ。
内心舌打ちしているがこういう時、僕は表情が剥がれ落ちる。
ピクリともせずにただ黙って男達を見つめた。
「えぇー、こいつは普通にサンドバッグっしょ」
僕の方を見て鼻で笑う男。
「おい、田中と山瀬、こいつの相手しろ」
リーダーのような男が二人に命令する。

「ちぇっ、後で俺達にもまわせよ」
「仕方ねーな、こいつで我慢してやるか」
パキパキっ、ポキッと腕を鳴らす田中と山瀬。

「なんだよ、さっきからずっと黙っちゃってさぁ」
「何何、大人しくしてたら返すと思った?」

違う。
どれだけ抵抗したって変わらないから。
これは所謂諦めというやつだ。

グイッと前髪を掴まれ無理矢理に立たされる。
そうして腕の縄は解かれる。



また、地獄の時間のはじまりだ。

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