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【改訂前】うるさい
生贄交代〜夜霧side〜
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教室に戻ると毬藻やその他大勢から好奇の目を向けられた。
黒板に文字を書いていた先生に一礼し席に着くと何処か疲れたようにおかえり、と口を動かす加奈川くん。
どうしたの?と言うように目を向けると分かってるだろ、と睨まれる。
ああ、毬藻か。
その後、4時間授業を受けて分かった。
これは疲れる。
毬藻は授業などどうでもいいようで加奈川くんに媚を売るように話しかけている。
その声がデカい。
発表してる生徒の声も遮るから子鹿のような顔の少年が涙目でプルプル震えていた。
今日は加奈川くんが生贄だ。
最初はなんとか僕を巻き込もうとしていたが保険医によって大袈裟に巻かれた包帯をチラつかせると悔しそうに引き下がってくれた。
その点では保健医に感謝だ。
どうせ今日は授業にならないだろう。
ヘッドホンを付けて机に突っ伏し、そのまま寝ることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4時間目終了のチャイムが鳴り、身体を起こして加奈川くんの方を見てぎょっとする。
どうやら彼にとってかなりの地獄の4時間だったみたいだ。
生気のない顔で恨めしそうに僕を見ている。
しかし、すぐに顔を明るくさせ、僕に話しかける。
「夜霧くん、手を怪我してたら色々不便だよねぇ?一緒に食堂行こっかぁ」
悪魔の笑みとはこういうものを言うのではないか。
「…御勝手に。」
そう答えると何故か怪我した方とは反対側の手を握られた。
ぎっちりと。
ひっ、となんとも失礼な悲鳴が起こる。
「あっ!翼とお前!なんで手繋いでんだよ!」
「チッ」
…舌打ち聞こえてるよ。
呆れながらもどうすることも出来ず視線をぼんやりとうろつかせていると急に外が騒がしくなった。
ん?
怪訝そうに加奈川くんと顔を見合わす。
静かにドアを開けて入ってきたのはあの無口の男だった。
「書記様っ!?」
「なんでここに!?」
「素敵…!」
あの人書記だったんだ。
ざわざわと騒がしいなか書記さんは僕達の方に近付く。
「あず…や」
僕?
「何ですか?…あ、先程はありがとうございました。」
「だいじょ、ぶ。…い、しょ…しょくど、行こ?」
はぁ…。
「別に、こっち来てからまだリスカやってないし、今日のはたまたまで自分でやったわけじゃないし、監視しなくても大丈夫ですよ」
「ま、だ…?」
僕は何か言っただろうか。
書記さんの目付きが険しいものに変わる。
「また…やる、つも…?」
「…多分。」
「…めっ!」
この男、思ったよりも手が早いみたいだ。
置いてあったノートで僕の頭を軽く叩く。
酷い。
面倒臭いので加奈川くんに手を引かれ、書記さんに見つめられながら食堂に向かった。
勿論、いつも以上に周囲からの殺気を感じたし、書記さんがいることで困惑したような視線も混じっていた。
ああ、そうそう。
毬藻はクラスの別の美形二人と知り合ったらしく仲良さそうに、というよりかは強引に引きずられて───恐らく加奈川くんや僕と関わらせたくないのだろう───教室を出ていった。
黒板に文字を書いていた先生に一礼し席に着くと何処か疲れたようにおかえり、と口を動かす加奈川くん。
どうしたの?と言うように目を向けると分かってるだろ、と睨まれる。
ああ、毬藻か。
その後、4時間授業を受けて分かった。
これは疲れる。
毬藻は授業などどうでもいいようで加奈川くんに媚を売るように話しかけている。
その声がデカい。
発表してる生徒の声も遮るから子鹿のような顔の少年が涙目でプルプル震えていた。
今日は加奈川くんが生贄だ。
最初はなんとか僕を巻き込もうとしていたが保険医によって大袈裟に巻かれた包帯をチラつかせると悔しそうに引き下がってくれた。
その点では保健医に感謝だ。
どうせ今日は授業にならないだろう。
ヘッドホンを付けて机に突っ伏し、そのまま寝ることにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
4時間目終了のチャイムが鳴り、身体を起こして加奈川くんの方を見てぎょっとする。
どうやら彼にとってかなりの地獄の4時間だったみたいだ。
生気のない顔で恨めしそうに僕を見ている。
しかし、すぐに顔を明るくさせ、僕に話しかける。
「夜霧くん、手を怪我してたら色々不便だよねぇ?一緒に食堂行こっかぁ」
悪魔の笑みとはこういうものを言うのではないか。
「…御勝手に。」
そう答えると何故か怪我した方とは反対側の手を握られた。
ぎっちりと。
ひっ、となんとも失礼な悲鳴が起こる。
「あっ!翼とお前!なんで手繋いでんだよ!」
「チッ」
…舌打ち聞こえてるよ。
呆れながらもどうすることも出来ず視線をぼんやりとうろつかせていると急に外が騒がしくなった。
ん?
怪訝そうに加奈川くんと顔を見合わす。
静かにドアを開けて入ってきたのはあの無口の男だった。
「書記様っ!?」
「なんでここに!?」
「素敵…!」
あの人書記だったんだ。
ざわざわと騒がしいなか書記さんは僕達の方に近付く。
「あず…や」
僕?
「何ですか?…あ、先程はありがとうございました。」
「だいじょ、ぶ。…い、しょ…しょくど、行こ?」
はぁ…。
「別に、こっち来てからまだリスカやってないし、今日のはたまたまで自分でやったわけじゃないし、監視しなくても大丈夫ですよ」
「ま、だ…?」
僕は何か言っただろうか。
書記さんの目付きが険しいものに変わる。
「また…やる、つも…?」
「…多分。」
「…めっ!」
この男、思ったよりも手が早いみたいだ。
置いてあったノートで僕の頭を軽く叩く。
酷い。
面倒臭いので加奈川くんに手を引かれ、書記さんに見つめられながら食堂に向かった。
勿論、いつも以上に周囲からの殺気を感じたし、書記さんがいることで困惑したような視線も混じっていた。
ああ、そうそう。
毬藻はクラスの別の美形二人と知り合ったらしく仲良さそうに、というよりかは強引に引きずられて───恐らく加奈川くんや僕と関わらせたくないのだろう───教室を出ていった。
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