病んでる僕は、

蒼紫

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【改訂前】始まり

謝らないと…

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わしゃわしゃと乱暴に髪を拭きドライヤーで乾かす。


そういえば、今何時だ?

今更ながら時計を見ると20時前を指している針。

そこにぐぅぅっとお腹が鳴る。

「夕飯、まだだったな…」

服を着てヘッドホンを首にかけマスクをつける。

よく考えたら加奈川くんには悪いことをした。
何もしてない彼の手を払うなんて。
きっと気分を害したに違いない。

もし彼に会ったら謝ろう。

ガチャッ

「あっ」


『あっ』?

横に目をやると加奈川くんがいた。
今まさにインターホンを押そうとしたみたいで出てきたことにびっくりしてこちらを見ている。
何だ?ここは僕の部屋なんだ。
僕が出てきてもおかしくないだろう。

「…何か用ですか?」
「あ、…えと、、、」

言いにくいこと?
謝罪の催促か?

「…先程はすみませんでした。」

ゆっくりと頭を下げると何故か驚かれる。

「うぇっ、あっ、えっ?な、何でぇ?」
何でって…、
「…わざわざついてきてくださったのにあんなことで取り乱して先に帰ってしまいましたし、加奈川くんの手を八つ当たりのように払ってしまいました。」

すると加奈川くんは眉間にしわを寄せてあんなこと…と反芻した。

「それで、加奈川くんは僕に何か用事があったのでは?」
「あっ…、えっと…その、夜霧くんさえ良ければなんだけどぉ…一緒に食堂行かない……?」

おずおずと僕の顔色を窺うように聞く。

「別に構いませんが…」

この人がよく分からない。


いや、人全般が分からない、の方が正しいか。

…人の心なんて読みたくも読まれたくもないや。

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