病んでる僕は、

蒼紫

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【改訂前】始まり

お前なんか嫌いだ

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なんですか?と怪訝そうに近づくとグイッと腰を寄せられる。
「っ!?」

びっくりして思わず目を瞑ってしまった。
次の瞬間、唇に柔らかい感触が…。

「!?何をしっ…ふぁっ、んむぅ、んんっ、やめっ」
貪るように僕の唇を食む寮長。
段々と力が抜けていく。
呼吸が上手くできなくて、離そうとすればまた舌を絡め取られる。
まったく意味をなさないということは分かっているけどせめてもの抵抗に、と寮長の胸を叩く。

「ちょっ!寮長なにしてるの!?」
慌てて加奈川くんが寮長の腕を引っ張ると腰に回された手が離れいやらしくリップ音を立てて唇も離れた。へなへなと床に座り込む。

「ご馳走様」
ニヤリ、と笑ってペロッと口周りについた唾液を舐める寮長に顔を俯かせふるふると震える。

「大丈夫夜霧くん…!?」
「!!」

「あんたなんか大っ嫌いだ!」

差し出された加奈川くんの手を振り払って思いっきり寮長を睨めつけると鞄と鍵を持って出ていく。

バタンっ

随分大きな音が響いて少し視線を集めてしまったが僕はいろんな感情がごちゃ混ぜになって気付かなかった。


なんなんだあいつは。

混乱した頭を落ちつけるように早足で廊下を歩く。
速すぎて数人がぎょっとしたように見てきたけど、そんなことはどうでもいい。

意味がわからない。
僕を巻き込まないでくれ。

というか、相手の合意も無しにキスなんて最悪じゃないか。
思わずゴシゴシと口を擦る。

ほんと、有り得ないにも程がある。

自分勝手で横暴で…

そこまで考えると急激に頭が冷めてきた。
ああ、それは僕だったか。

ふぅ、とため息をつき、今度はゆっくりと歩き始める。

鍵を見ると[603]と書いてあった。

6階、確か2人部屋なんだよな。
同室者もまともじゃないやつだったら…

そこまで考えてゾッとする。
いけないな、悪い方向に考えるのは僕の悪い癖だ。

そこでやっぱり役に立つのが精神安定剤。
今度は酸っぱかった。
レモン味だ。
でも今はこの酸っぱさがちょうどいい。

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