病んでる僕は、

【改訂前】始まり

なんなんだよこいつ

「それでぇ、こっちがロビー。よく生徒達が集まったりしてるねぇ。」

今僕は加奈川くんから軽く寮の説明を受けていた。

「でぇ、こっちが寮長室だよぉ～」
そう言うと寮長室の扉をノックするが反応がない。

どうやら留守みたいだ。
諦めて帰ろう、と加奈川くんのシャツをクイッと引っ張ってみたが彼はニヤリとどこか怪しい笑みを浮かべている。


「…？」
すると、何を思ったのか加奈川くんはインターホンを連打しだした。

ﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟﾝﾎﾟﾝﾋﾟ「だぁーっ！うっせーなっ！！」
「やっぱいたんじゃぁん」

物凄い形相で睨む男の人に対して涼しげな顔で返事をする加奈川くん。


「チッ、てめぇかよ。」
「そんなことよりぃ、転入生の鍵、くれなぁい？」
「あ？転入生？」
スッと前に出て男に近づくとアレ特有の臭いがする。

「臭…」
思わず顔を顰めると相手も「あ？」と眉間に皺を寄せた。

「ていうか、邪魔だなその髪。どけろ。」
「なぜ命令されなきゃいけないんですか？」
「あ？チッ」

不快だ。食堂の偉そうなやつといい、なんなんだここの生徒は。

すると今度は手を伸ばして僕の前髪を掻き揚げようとする。

パシッ
「イカ臭い手で触るな」

本当になんなんだこいつら。


「チッ、いちいち癪に障るやつ。」

そちらこそ。
声には出さないものの、脳内で滅茶苦茶に罵っておく。

「それよりも、早く鍵を…あ、もちろん手を洗ってから」
にこり、と効果音がつきそうなくらい完璧な笑顔を作ってそう言うとまじまじと僕の顔を凝視する。

「お前…」
「なんですか？」
「フツーに笑ってた方が年相応で「余計なお世話です」
おめでとう、早速僕の黒表ブラックリストに載ることが確定しましたよ。
ああ、名前知らないけどあの偉そうなやつも載せとかないとな。

「ま、それより。俺はこの寮の寮長で高一の稲郷 凜零(ﾄｳﾄﾞｳﾘｵ)。お前は？」
「…東屋夜霧です。というか、この寮の、って…？」
「あぁ、この学園は学年で一つの寮を使っててぇ、高校生からはその学年の代表が寮長を務めるんだよぉ」

確かに、父さんが他の高校より学年の人数とか多いって言ってたもんな。

「ふぅん…。」