病んでる僕は、

【改訂前】始まり

馴れ合うつもりは無い

ホームルームが終わると、早速数人が群がってきた。

ああ、なんてめんどくさいんだろう。

「俺、中屋 唯斗(ﾅｶﾔﾕｲﾄ)って言うんだ。よろしく！」
「僕は翡翠 六花(ﾋｽｲﾘｯｶ)！よろしく」
僕は顔を上げてまたゲッソリした。
爽やかな笑顔をうかべる少年と、天使のような笑顔を振りまく二人はもちろん美形と言うやつなわけで。


中屋くんは黒髪黒目で、少し焼けた肌がなんとも爽やかで、いわゆるスポーツ少年、という感じだ。
腕にも程よい筋肉がついてるし、体型もシュッとしてる。これはさぞモテることだろう。
翡翠くんは小柄で、栗色のふわふわの髪と綺麗な黒瞳と雪のように白い肌、頬を淡く桃色に染めていて、街で歩いていたら女の子と間違えられそうだ。


「…。」
僕はわざとらしく目を逸らした。
内心は何度もため息をついてるけど。


「「えっと……、、？」」
二人はわかりやすく戸惑っていた。

めんどくさいのだ。
人と関わってもいいことは無いし、一人も虚しいだけ。

どっちにしても嫌だけど僕としては一人の方がいい。好きなことが出来るし。

そう、人間なんて僕にとってはストレス製造機でしかないのだ。

二人とも僕が何も言わないからか、何だかモジモジしている。
二人で目を合わせたり逸らしたり。


落ち着かない。
僕から離れてくれ。

次第に、二人が気まずそうにしてるのを見てあちこちから批判が飛ぶ。

「せっかく唯斗くんと六花くんが話しかけてくれたのに」
「最低」
「なにあの態度」
「礼儀もマナーもなってないじゃん」
「てことは、あいつ庶民なわけ？」
「そうでしょ、だって東家なんて聞いたことないよ。」
クスクスクスッ


そうやって口々に思ったことを言い合って、肯定して笑って。
それこそ品がないと思うけどね。

僕は動かずにまだ突っ立ってる二人が嫌になって立ち上がった。
ガタッ

別に、ただ立ち上がっただけなのに。
いちいち静かにならなくてもいいのに。

僕は二人に目を向けて、「失礼します。」と小さく呟くと教室を出たのだった。