女子中学生と魔法使い

青村砂希

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第5章

05-02 この施設の正体は

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 127さんは言った。
「現在、あるチャンネルを通して、相手側と交渉しております。皆さんは、しばらくそこで待機して下さい」
 そして、ホットライン通話機のディスプレイには、『オフライン』の文字が表示された。

 あまりにも急に起きた事で、みんな動揺している。
 私は、この部屋を確認した。

 壁に取り付けられたディスプレイは、外部に設置された各カメラを操作する事が出来る。
 各カメラは広角レンズによって広いエリアを映し出している。
 また、その1部をズームする事で、細かい所まで確認出来る。
 そして、さまざまな所に設置されたカメラの映像を切り替える事や、マルチ表示する事も出来る。

 次に、M1と書かれた扉を確認した。
 この扉は、数字キーを入れないと開かないようだ。

 最後に、壁に固定されたボックスを確認した。
 前面パネルを開くと、その中には、工具類がセットされていた。

 BMさんが、その中からドライバーを取り出した。
 そして、壁に耳を当てながら、ドライバーの後ろで壁を叩いている。

 BMさんは言った。
「この壁、コンクリート製です……それも、かなり分厚い」

 B子さんが言った。
「この『M1』と書かれた扉、開かないでしょうか。何処かに数字キー、書かれていませんか」
 みんなで何か無いか探し始めた。

 再びB子さんが言った。
「電源がダウンした時の為に、物理的な解除方法もあるはずです」

 私は、工具ボックスにセットされた工具類を全部取り外した。
 その奥に、この工具ボックスを壁に固定するネジが見える。

 そのネジをドライバーで外し、固定された工具ボックスを壁から外した。
「ありました」

 私の声に、みんな集まって来た。
 固定された工具ボックスの裏側の壁に大きな四角い穴が開いている。
 その奥にハンドルが見える。
 そして、『M1非常用開閉ハンドル』と書かれている。

 私は皆に問いかけた。
「これを回して良いか。つまり、この扉を開けて良いか。この扉の先を、私たちは見ても良いものか」
 みんな複雑な表情を浮べた。

「全員一致で決めましょう。扉を開ける事に賛成の人」
 6人中4人、手を上げた。
 CMさんとC子さんは、手を上げない。

「では、不成立という事で」
 と言って、その穴を工具ボックスで塞ごうとした時、
「ちょっと、待ってください」
 CMさんが声をあげた。

「扉を開ける事、反対ではない。ただ、もう少し、127さんからの連絡を待ってからで、いいんじゃないかな」
 C子さんも発言した。
「私もその考えです。ここで私たちが見てはいけないものを見てしまうと、見る前には戻れない」

 私は訊いた。
「では、どのくらいの時間、待ちましょうか? 127さんの組織は、あるチャンネルを通して相手側と交渉すると言われてました。長丁場になる可能性もあると思います。この部屋には水も無ければ食料も無い。そしてトイレも無い」

 A子(詩織)が言った。
「こちらから127さんに連絡出来ませんか? そして、この扉を開けて良いか、その承諾を得られれば……」

 しかし、通話機はオフラインを表示したままで、こちらからアクセスしても応答がない。
 おそらく127さんの組織も、相当混乱しているようだ。

 CMさんは言った。
「どうでしょう2時間、127さんからの連絡を待つというのは」

 C子さんも言った。
「はい。2時間待って、127さんとの連絡が取れない場合は、私も扉を開ける事に賛成します」

 という事で、127さんとのコンタクトを待つ事になった。
 モニター画面では、正体不明の者が、色々探索している。

 ・・・・・・

 そして、私たちがここに閉じ込められてから2時間が経過した。
 未だ127さんと連絡が取れない。

「では、扉を開けましょうか」

 私が言った時、BMさんが割り込んだ。
「ちょっと待って下さい。本当に、この扉の先を我々が見てしまって良いものか、もう一度考えてみましょう」

 A子(詩織)が訊いた。
「何か……あるのですか?」

 BMさんが話しを続けた。
「127さんは、この施設の正体を我々に隠しています。この扉の先、我々には見せられないものでしょう。しかし、この扉の先に何があるか、私とB子は見当が付いています。今、我々が乗っているこの床は、資材を運ぶ為の大型エレベーターです。この扉の先には、食料庫、及び生活に必要な環境が整っているでしょう。本当にこの扉の先を我々は見てしまって良いか、今一度考えて下さい」

 みんなは沈黙してBMさんの話しを聞いている。

 BMさんが言った。
「この施設の正体は……核シェルターです」

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