【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

文字の大きさ
上 下
80 / 88
第7章

7-09 深夜の検討会議

しおりを挟む
 会社に着くと、みんなテンションが高い。
 なんだろう。
 過酷な毎日が、これから始まるというのに。

・・・・・・

 主に、碧と助手役の綾乃は、実験棟で実験している。
 午前0時に近づいた頃、私は二人が居る実験室を訪ねた。

「どんな感じ?」
「あ、主任、お疲れ様です」
 綾乃が応えてくれた。

「今、3回目の測定を行っています。後30分ほどで、終わります」
「じゃあ、今日はそのぐらいにして、寮の食堂で今の状況、聞かせてもらえるかな」
「了解しました」

「軽く、飲み物でも用意して」
 綾乃との会話に、碧が割り込んできた。
「宴会ですね」
「あ、ああ……明日にひびかない程度に……ね」

 作業が終了したらメールを送ってもらう事にして、それをみんなに伝えて今日は解散とした。
 各自、自分の部屋へ向かう。
 綾乃から実験終了のメールが届いた。

 私は、自分の部屋で楽な恰好に着替え、寮の食堂へ向かった。
 社員寮は、南側を向いた建物で、その真ん中に食堂が造られており、その食堂から東側が男性寮、西側が女性寮となっている。

 食堂は、午後8時までの営業となっているが、それ以降でも、テーブルや椅子は、自由に利用して良い。
 だが、さすがに午前0時を過ぎた深夜、利用している人はいない。

 私は、落とされた照明の中で、端の照明だけ点灯し、その下のテーブルに座った。
 するとリーダー君とインテリ君が、途中のコンビニで食べ物を買い込んで現れた。
 ああ、やはり宴会を始めるつもりだ。

 一足遅れて、千広が私服に着替えて現れた。
 会社は、男性も女性も制服はない。
 各自、適切な服装で出勤する。
 よって、あまりラフな装いで出勤する社員はいない。

 千広の私服姿、初めてである。
 なんと刺激的な装い……いや、本人に、その自覚はないのだろう。
 決してスカートが短い訳でも、生地が薄い訳でもない。

 ただ、体の線が綺麗に出ている。
 普段、潔癖な千広だからこそ、この装いにはドキドキさせられる。

 優しい胸の膨らみ、すらりと引き締まったウエスト。
 リーダー君とインテリ君を見ると、二人とも視線を外している。
 おいおい、君たち、DT君かぁ?

 碧と綾乃も現れた。
 二人とも急いで来たようで、残念ながら職場での服装のままである。
 まあ、これ以上、ラフな装いを見せられると、目のやり場に困ってしまう。

 碧は、いきなりカップの清酒を取り出した。
 それだけは、しっかり買ってきたようだ。

「では、お疲れ様でした」
 私が挨拶すると、宴会が始まってしまった。
 お酒を飲みながら、仕事の意見交換を行う。

 以前、みんなから出て来たアイデイアは、何か的外れであった。
 しかし先日、碧の論文のレクチャーを行ったお陰で、出て来るアイディアはフォーカスが合っている。
 有意義な議論が繰り広げられるようになった。

 しばらくすると、警備員が懐中電灯を照らして現れた。
 私は慌てて警備員に伝えた。
「あ、すみません。今仕事から上がりました。後30分ぐらいで解散します」

 それに対して警備員は、笑顔で返してくれた。
「了解しました。会社から皆さんの特例対応、連絡を受けています。お疲れ様です」
 彼は去っていった。

 それからというもの、深夜の宴会は、毎日となった。
 深夜、警備員がやってきて、「お疲れ様」と、声をかけてくれる。
 日に日にお酒と食べ物が増えてくる。

 ……なんだろう。
 会社帰りに行う飲み会と、何かが違う。
 そう、後は寝るだけ、というところだ。

 では、自宅で飲むお酒と何が違う。
 それは、明里がまだ飲めない為、私一人で飲んでいるという事だ。

 今は、一緒に飲める仲間がいる。
 すばらしい。

 ……いかん、いかん。
 我々は、宴会する為に、ここへ寝泊りしている訳ではない。
 睡眠時間をきちんと取る為、深夜宴会は午前2時まで、とする事にした。

 充実した毎日である。
 社員寮で深夜の宴会を始めてから、基礎実験も目的とした結果が得られるようになってきた。

 ・・・・・・

 日曜の昼過ぎ、帰宅すると、明里は飛びついてきた。
 何の言葉もなく……
 一緒に夕食を頂いたが……会話がない。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:私にだって、プライドがある
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...