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第7章
7-09 深夜の検討会議
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会社に着くと、みんなテンションが高い。
なんだろう。
過酷な毎日が、これから始まるというのに。
・・・・・・
主に、碧と助手役の綾乃は、実験棟で実験している。
午前0時に近づいた頃、私は二人が居る実験室を訪ねた。
「どんな感じ?」
「あ、主任、お疲れ様です」
綾乃が応えてくれた。
「今、3回目の測定を行っています。後30分ほどで、終わります」
「じゃあ、今日はそのぐらいにして、寮の食堂で今の状況、聞かせてもらえるかな」
「了解しました」
「軽く、飲み物でも用意して」
綾乃との会話に、碧が割り込んできた。
「宴会ですね」
「あ、ああ……明日にひびかない程度に……ね」
作業が終了したらメールを送ってもらう事にして、それをみんなに伝えて今日は解散とした。
各自、自分の部屋へ向かう。
綾乃から実験終了のメールが届いた。
私は、自分の部屋で楽な恰好に着替え、寮の食堂へ向かった。
社員寮は、南側を向いた建物で、その真ん中に食堂が造られており、その食堂から東側が男性寮、西側が女性寮となっている。
食堂は、午後8時までの営業となっているが、それ以降でも、テーブルや椅子は、自由に利用して良い。
だが、さすがに午前0時を過ぎた深夜、利用している人はいない。
私は、落とされた照明の中で、端の照明だけ点灯し、その下のテーブルに座った。
するとリーダー君とインテリ君が、途中のコンビニで食べ物を買い込んで現れた。
ああ、やはり宴会を始めるつもりだ。
一足遅れて、千広が私服に着替えて現れた。
会社は、男性も女性も制服はない。
各自、適切な服装で出勤する。
よって、あまりラフな装いで出勤する社員はいない。
千広の私服姿、初めてである。
なんと刺激的な装い……いや、本人に、その自覚はないのだろう。
決してスカートが短い訳でも、生地が薄い訳でもない。
ただ、体の線が綺麗に出ている。
普段、潔癖な千広だからこそ、この装いにはドキドキさせられる。
優しい胸の膨らみ、すらりと引き締まったウエスト。
リーダー君とインテリ君を見ると、二人とも視線を外している。
おいおい、君たち、DT君かぁ?
碧と綾乃も現れた。
二人とも急いで来たようで、残念ながら職場での服装のままである。
まあ、これ以上、ラフな装いを見せられると、目のやり場に困ってしまう。
碧は、いきなりカップの清酒を取り出した。
それだけは、しっかり買ってきたようだ。
「では、お疲れ様でした」
私が挨拶すると、宴会が始まってしまった。
お酒を飲みながら、仕事の意見交換を行う。
以前、みんなから出て来たアイデイアは、何か的外れであった。
しかし先日、碧の論文のレクチャーを行ったお陰で、出て来るアイディアはフォーカスが合っている。
有意義な議論が繰り広げられるようになった。
しばらくすると、警備員が懐中電灯を照らして現れた。
私は慌てて警備員に伝えた。
「あ、すみません。今仕事から上がりました。後30分ぐらいで解散します」
それに対して警備員は、笑顔で返してくれた。
「了解しました。会社から皆さんの特例対応、連絡を受けています。お疲れ様です」
彼は去っていった。
それからというもの、深夜の宴会は、毎日となった。
深夜、警備員がやってきて、「お疲れ様」と、声をかけてくれる。
日に日にお酒と食べ物が増えてくる。
……なんだろう。
会社帰りに行う飲み会と、何かが違う。
そう、後は寝るだけ、というところだ。
では、自宅で飲むお酒と何が違う。
それは、明里がまだ飲めない為、私一人で飲んでいるという事だ。
今は、一緒に飲める仲間がいる。
すばらしい。
……いかん、いかん。
我々は、宴会する為に、ここへ寝泊りしている訳ではない。
睡眠時間をきちんと取る為、深夜宴会は午前2時まで、とする事にした。
充実した毎日である。
社員寮で深夜の宴会を始めてから、基礎実験も目的とした結果が得られるようになってきた。
・・・・・・
日曜の昼過ぎ、帰宅すると、明里は飛びついてきた。
何の言葉もなく……
一緒に夕食を頂いたが……会話がない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:私にだって、プライドがある
なんだろう。
過酷な毎日が、これから始まるというのに。
・・・・・・
主に、碧と助手役の綾乃は、実験棟で実験している。
午前0時に近づいた頃、私は二人が居る実験室を訪ねた。
「どんな感じ?」
「あ、主任、お疲れ様です」
綾乃が応えてくれた。
「今、3回目の測定を行っています。後30分ほどで、終わります」
「じゃあ、今日はそのぐらいにして、寮の食堂で今の状況、聞かせてもらえるかな」
「了解しました」
「軽く、飲み物でも用意して」
綾乃との会話に、碧が割り込んできた。
「宴会ですね」
「あ、ああ……明日にひびかない程度に……ね」
作業が終了したらメールを送ってもらう事にして、それをみんなに伝えて今日は解散とした。
各自、自分の部屋へ向かう。
綾乃から実験終了のメールが届いた。
私は、自分の部屋で楽な恰好に着替え、寮の食堂へ向かった。
社員寮は、南側を向いた建物で、その真ん中に食堂が造られており、その食堂から東側が男性寮、西側が女性寮となっている。
食堂は、午後8時までの営業となっているが、それ以降でも、テーブルや椅子は、自由に利用して良い。
だが、さすがに午前0時を過ぎた深夜、利用している人はいない。
私は、落とされた照明の中で、端の照明だけ点灯し、その下のテーブルに座った。
するとリーダー君とインテリ君が、途中のコンビニで食べ物を買い込んで現れた。
ああ、やはり宴会を始めるつもりだ。
一足遅れて、千広が私服に着替えて現れた。
会社は、男性も女性も制服はない。
各自、適切な服装で出勤する。
よって、あまりラフな装いで出勤する社員はいない。
千広の私服姿、初めてである。
なんと刺激的な装い……いや、本人に、その自覚はないのだろう。
決してスカートが短い訳でも、生地が薄い訳でもない。
ただ、体の線が綺麗に出ている。
普段、潔癖な千広だからこそ、この装いにはドキドキさせられる。
優しい胸の膨らみ、すらりと引き締まったウエスト。
リーダー君とインテリ君を見ると、二人とも視線を外している。
おいおい、君たち、DT君かぁ?
碧と綾乃も現れた。
二人とも急いで来たようで、残念ながら職場での服装のままである。
まあ、これ以上、ラフな装いを見せられると、目のやり場に困ってしまう。
碧は、いきなりカップの清酒を取り出した。
それだけは、しっかり買ってきたようだ。
「では、お疲れ様でした」
私が挨拶すると、宴会が始まってしまった。
お酒を飲みながら、仕事の意見交換を行う。
以前、みんなから出て来たアイデイアは、何か的外れであった。
しかし先日、碧の論文のレクチャーを行ったお陰で、出て来るアイディアはフォーカスが合っている。
有意義な議論が繰り広げられるようになった。
しばらくすると、警備員が懐中電灯を照らして現れた。
私は慌てて警備員に伝えた。
「あ、すみません。今仕事から上がりました。後30分ぐらいで解散します」
それに対して警備員は、笑顔で返してくれた。
「了解しました。会社から皆さんの特例対応、連絡を受けています。お疲れ様です」
彼は去っていった。
それからというもの、深夜の宴会は、毎日となった。
深夜、警備員がやってきて、「お疲れ様」と、声をかけてくれる。
日に日にお酒と食べ物が増えてくる。
……なんだろう。
会社帰りに行う飲み会と、何かが違う。
そう、後は寝るだけ、というところだ。
では、自宅で飲むお酒と何が違う。
それは、明里がまだ飲めない為、私一人で飲んでいるという事だ。
今は、一緒に飲める仲間がいる。
すばらしい。
……いかん、いかん。
我々は、宴会する為に、ここへ寝泊りしている訳ではない。
睡眠時間をきちんと取る為、深夜宴会は午前2時まで、とする事にした。
充実した毎日である。
社員寮で深夜の宴会を始めてから、基礎実験も目的とした結果が得られるようになってきた。
・・・・・・
日曜の昼過ぎ、帰宅すると、明里は飛びついてきた。
何の言葉もなく……
一緒に夕食を頂いたが……会話がない。
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次回:私にだって、プライドがある
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