【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第7章

7-04 第1研プロジェクト

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 さて、いよいよ新しいプロジェクトが始まる。

 絶対に、大変なプロジェクトに違いない。
 このプロジェクトに参加するチームの代表が2名ずつ、第1研の会議室に集められた。
 ストロベリーからは、私と碧で会議室に向かった。

 今日は、単に顔合わせである。
 会議室に入ると、机が四角形の形に並べられており、向かい合う形で座るように配置されていた。
 全部で30席ぐらいだ。

 各チームの代表2人ずつの参加からみると、10チーム以上で進めるプロジェクトのようだ。
 事業部ならともかく、研究所の中でこれだけの人数を専任させるプロジェクトは初めてである。

 各机には、このプロジェクトに招集されたチームの名札が置かれている。
 正面の一辺は、取締役、所長、部長の席で、左右の両辺は、正面から離れるに従い、格下のチームといった序列で並ばれている。

 研究職に携わる人は、あまり序列にこだわらないように思われがちだが、決してそのような事はない。
 研究者は、序列にこだわる。
 それは、上席に就いてふんぞり返りたいからではない。

 序列によって、取ってこれる予算が桁違いだからである。
 予算が取れず研究が進められない。
 そう言っているうちに、他社に先を越されてしまい、涙を飲んだ研究員を何人も知っている。
 だから、研究職に就く者は、自分の序列にこだわる。

 さて、私のチームの席は? と下から探していった。
 元々第1研のプロジェクトである。
 第1研に常駐している第3研の私達は、言わばお手伝い。
 お手軽実験で結果を出して、このプロジェクトを成功させたい。

 ところが、ストロベリーの名札が無い。
 碧が左列一番前の席で、手を振っている。
 いや~な予感しかしない。
 そこに名札があった。
 
 会議が始まった。
 分厚い資料が配られる。
 各チームのメンバーに対しては、電子データーをダウンロードするようにとの事だ。

 そして、各チームの紹介。
 ここは第1研なので、青色のストラップ。
 私と碧だけは第3研なので、紺色ストラップ。
 私は、お手伝いですよ~を賢明にアピールする。

 今回のプロジェクトの統括は、右側の最上席に座っているチームスコッチの主任。
 元、碧の上司だ。
 紹介とともに、拍手がわいた。

 そして、副統括として、私の名前があげられた。
 いやいやいや、冗談はやめましょうよ。
 会議室は、静まり返った。

 そりゃそうだ。
 なんなんでしょう。
 これは、私に対する嫌がらせですかぁ?
 こういった事、普通前もって、連絡来ますよね。
 
 そして、具体的な内容の説明が、スコッチの主任から行われた。
 このプロジェクトは、スコッチの主任が立ち上げたようだ。
 彼が統括になるのは当然である。
 しかし、何で私?

 説明が続いた。
 すると、突然碧が手を挙げた。
「この右下のグラフ、どのように測定されたのでしょう」
 スコッチの主任が慌てている。

「このような結果には、ならないはずです」
 あ、碧さん?
「ここは、非常に重要な所です。 このプロジェクトの根幹に関わる事です」

 慌てて所長が間に入った。
 会議は中断し、解散となった。
 ……なんなんだろう。

 どうやらこのプロジェクト、碧が博士号を取った研究内容が基礎になっているようだ。
 なるほど、だからこのプロジェクト、碧の参加が大前提。
 碧の上司である私が副統括。
 やれやれ。

 私は解散した後の会議室に残っている。
 碧とスコッチの主任は所長の前で議論している。
「こんな感じになるだろう」
「いえ、これは、そんなに簡単な問題ではありません」
 ……まあ、この件に関しては、碧が神様だ。

 そして、このプロジェクトの骨格を見直す事になった。
 それを、なんとチーム・ストロベリーに回ってきた。
 はい、そこ、おかしいから。
 そ~でしょ~

 私と碧は、深刻な表情を浮かべて会議室を後にした。
 私は研究室に戻る途中、碧に相談した。
「どうしよう」

 深刻な顔をしていた碧は、にっこり笑って答えた。
「大丈夫ですよ」
 ああ、これは、頭の中に、あてがあるようだ。

 研究室に戻り、メンバーに概要を説明した。
 碧が言った。
「1週間下さい。確認項目と今後のスケジュールを組み立てます」
「ああ、よろしくお願いします。みんなは、この資料に目を通しておいてください」

 そんな感じで、定時に解散した。

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 次回:司令塔
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