【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第7章

7-02 いつも明里さんに

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 あきらめて帰ろうとした時、神様の声が聞こえた。
「お子様おつれのお客様は、左側にお並び下さい」
 なんと、そんなシステムが組まれていたのか。

 早速、その列に並ぶと前から2番目。
 一般の右側列と左側列で交互に入れている。
「どのくらい待つのでしょう」
 係の人にたずねると、
「ただ今、2席空きましたので、2~3分でご案内出来ると思います」
 との事だ。

 ケンタ君の目の高さまでしゃがんで話し掛けた。
「あと、ちょ~っと、がまん出来るかな?」
 ケンタ君は無言で力強くうなずいた。
 ……やばい、泣き出すギリギリの所まで来ている。

「お待たせしました、お席へご案内いたします」
 執事の恰好をした男性部員によって、案内されたテーブルに座った。
 部屋は薄暗く、幻想的な音楽が流れる中、お手軽プラネタリウムによって、天井に星を映している。

 ケンタ君を見ると、キラキラした光を見て、意外と楽しそうだ。
 よかった。
 薄暗い部屋へ入って、泣き出してしまう事も考えていなければいけなかった。

 私は椅子から振り向いて明里を探した。
 『ただ今明里は、休憩時間で不在です』っておちじゃないよな~

 すると後ろで
「おねーちゃん」
「あれ、ケンタ君、どうしたの」

 私が振り向くと、明里がいた。
 私は固まった。
 明里は私を見ると凍り付いた。

 黒のメイド服に白のエプロン。
 そして猫耳カチューシャ。
 ん~やはり、けしからんじゃないかぁ。

 明里は気を取り直して一般客に対するように言った。
「いらっしゃいませ。こちらがメニューとなっております」
「ありがとう。おすすめは何でしょう?」

「え~お客様でしたら、ミルキーウェイコーヒーとギャラクシーケーキなどはいかがでしょうか。小さなお子様には、ミルクシェーキとバナナケーキが喜ばれております」
「ああ、じゃあ、それでお願いする」
「かしこまりました」

 明里は私に会釈して店の奥に向かった。
 ん~ここでは「ご主人様ぁ」とか「もえもえきゅ~ん」はナシのようだ。

 しかし天井に映し出された星を改めて見ると、星雲を映している。
 これではプラネタリウムとは言えないのではないだろうか?

 注文したものを明里が運んできてくれた。
 すると隣のテーブルに座っていた高校生ぐらいの男子3人、その中の1人がスマホを向けて写真かビデオを撮ろうとしている。
 すると黒のスーツを着た女性が駆け付けた。

「申し訳ございません。撮影はご遠慮いただいておりますので、これはお詫びとしてのサービスです。よろしければお召し上がり下さい」
 と言って3人にコーヒーゼリーのような物を配っている。
 その高校生は頭を下げて嬉しそうに頂いている。
 こりゃ~絶対、学校で自慢するだろ~

 長居してはいけないので早々に退室した。
 私としては、けしからん明里の姿を見る事が出来たので満足である。
 後は帰るだけ。
 非常に気持ちも軽くなった。

 何やら色々なグッズが売られている。
 ケンタ君に「何か欲しい物ない?」と尋ねると、「たこ焼き」と答えた。
 いや~そんなに食べられないだろう、と思ったら「持って帰る」と言った。
「そうか。じゃあ、お父さんとお母さんの分も一緒に、お土産にしよう」
 と言ったら嬉しそうに頷いてくれた。

 たこ焼きを3皿買って帰ろうとした時、ケンタ君の服に取り付けたスマホが鳴った。
 明里からの電話だった。
 明日もあるから今日はあがっていいとの事で、一緒に帰ろうとの話だった。

 校門で待ち合わせて一緒に帰った。
 私とケンタ君と明里と、3人で手を繋いで歩いた。
 マンションに戻ったのは4時を過ぎていた。
 少し早いが3人で夕食を頂いた。

 今日の私は、なんだったのだろう。
 明里の装いを見たいだけで、ケンタ君を巻き込んで、タクシー飛ばして……。
 しかし身勝手だが、今の私は明里の装いを見れた事に満足している。
 これは、病気と言われても仕方ない。

 やがてケンタ君のおとうさんが迎えに来た。
 ケンタ君と明里は手を振って別れた。
 ケンタ君が帰ると、3人いた部屋が、2人になった。
 明里がコーヒーを入れてくれた。
 なんとなく寂しそうである。

 私は話し掛けた。
「明里は子供好きだよね」
 明里は頷いて、にっこり笑って答えた。
「おじさんとの子供が欲しいです」
「……」

 私は……いつも明里さんに壊される。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 明里さんは、おじさんと家庭を築きたいようです。

 次回:頭の中で……
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