【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第6章

6-13 休日出勤

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 今日、明里は学祭の準備で、かり出されている。
 そして私も、休日だが出勤している。

 2日後、この3Dプリンターのデモが予定されている。
 先週はインテリ君、先々週はリーダー君に、休日出勤をお願いした。

 男女平等と言うが、私は女性に休日出勤の要請はしない。
 これは、男女差別ではない。男女区別である。
 差別してはいけないが、区別はしなければいけない。

 とまあ本当は、そこまで切羽詰まっていないので、休日出勤を要請しなかっただけである。

 3Dプリンターで、ターゲットを1体作るのに、約2時間かかる。
 サンプルモデルとして、8体の実験を予定した。
 残り3体、今日中に作りたい。

 ただ待っているだけの作業なので、まったく難しい仕事ではない。
 9時に出社して作業を開始したから、造形物の情報入れ替え作業を含めても、5時前には、終わりそうだ。

 休日の会社は、静かでいい。
 ただ、規則的なプリンターの音だけが鳴り響く。
 つい、眠くなってしまう。

 うとうとしていると、研究室の扉が開いた。
 慌てて体を起こすと、綾乃が入ってきた。

「あれ、どうしたの?」
「今日、主任が休日出勤との事で、差し入れです」
 何か色々な物を買ってきてくれたようだ。

「いや~悪いねえ」
「何かお手伝い出来る事ありませんか?」
「ああ、沢山あるよ~でもそれは来週から。休日はちゃんと休みとってね」
「はあい」
 私は30分ぐらい、綾乃と他愛のない話をして、彼女を帰した。

 12時になった。
 出社する前にコンビニへ寄って、買った弁当を食べた。
 食べ終えた弁当を片付けていると、またこの部屋の扉が開いた。
 入ってきたのは、千広だった。

「あれ、どうしたの?」
「今日、主任が休日出勤との事で、差し入れに来ました」
 色々な物を買ってきてくれたようだ。

「いや~悪いねえ」
「何かお手伝い出来る事ありませんか?」
「ああ、沢山あるよ~でもそれは来週から。休日はちゃんと、休みとってね」
「わかりました」

 ……何か、同じ時間を繰り返しているようだ。
 私は30分ぐらい、千広と他愛のない話をして、彼女を帰した。

 私は、ちょっと気になって、チームの出勤情報をアクセスした。
 この部屋に入る際、扉の前で社員証をかざさないと扉を開ける事は出来ない。
 よって、誰が何時に来て、何時に帰ったかを知る事が出来る。

 この情報をアクセス出来るのは主任以上で、部下に対する健康管理を目的としたものだ。

 先週の休日、この部屋に入ったのは、休日出勤をお願いしたインテリ君と、おお、碧が来ている。
 碧の滞在時間は30分、差し入れに来てくれたのかな。

 そして、先々週は、休日出勤をお願いしたリーダー君と、おお、この日も碧が来ている。
 碧の滞在時間は30分。
 この日も差し入れに来てくれたようだ。

 しかし、先週も先々週も、綾乃と千広は来ていない。
 ん~。

 予定した最後のサンプルモデルの作成を開始した時、この部屋の扉が開いた。
 今度入ってきたのは、碧だった。

「お疲れさまです」
「ああ、君もか」
「そのご様子だと、綾乃さんですか、千広さんですか」
「二人だ」
「あ~あっ」

「どうしたらいい?」
 情けない声を出してしまった。
「ご自分で、お考え下さい」
 ばっさりだった。

「サンプルモデルの作成中ですね」
「ああ」
「じゃあ」
 といって、碧は缶ビールを取り出した。

「いや~ まあ、平日は、さすがに出来ないよね」
「でしょ~」
「じゃ~軽く一杯」
 といった調子で、研究室で酒盛りが始まってしまった。

「乾杯」
「一度、ここで、飲みたかったんですよ」
 ……という事は、先週、先々週、ここへ来ての酒盛りは無かったようだ。

「何か、社員旅行で、主任と抜け出してホテルへ行った時の事、思い出しますね」
「……ああ」
 そして、碧とも30分ぐらい、他愛のない話をした。

「では、来週からも、よろしくおねがいします」と言って、碧は帰っていった。

 そして、最後のサンプルを完成させて、私も退社した。

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 次回:学祭準備
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