【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第6章

6-08 なんで気付かなかった

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 自宅へ帰ると、明里はいつものようにキッチンテーブルで勉強していた。
 来週から試験前の授業が始まり、大体は質問の受付となる。
 明里は来週からの質問をまとめている所だった。

 速やかに片付け、夕食を準備してくれた。
 明里と夕食を頂きながら、明里が現状を話してくれた。

「今日で過去問の答え合わせ、終了しました」
「そう、お疲れ様」

「これが残念グラフの結果です」
「おお、相変わらず明里がトップ(一番悪い)だけど、2位との差、あまりなくなったね」

「はい。競争すれば、必ず誰かはビリになります」
「ただ、ぶっちぎりのビリではない」

「でしょ~、良い所まで迫ったでしょ~、一時は2位にもなったんですよ~」
「すばらしい」

 明里は恥かしそうに下を向いて言った。
「あの2人に、付いていけないんじゃないかと、一時は思いました」
「……そうなんだ」

「……」
「せっかく出来た友達だも……ね」
 明里は、静かに頷いた。

 夕食を終えて、明里が後片付けを始めた。
 私は玄関にむかいながら明里に伝えた。
「ちょっと、外出する」
「……はい」

 私は、近くのスーパーへ行き、いつものケーキを買って戻った。

「はい。一緒に食べよう」
 明里は、キッチンテーブルで、勉強を始めていた。
「え?……どうしたんですか?」

「過去問400題完走お疲れ様」
「え~、小学生じゃあるまいし」

「脳は、糖しか栄養に出来ない。その上、脳は大飯食らいなんだ」
 等と、単にお茶したいだけなのだが、もっともらしい事を言った。

 明里は、テーブルの上のノートや本を閉じた。
「待ってて、すぐにコーヒーをいれます」
 そして、明里と一緒にケーキとコーヒーを頂いた。

 次に
「脳を働かせる為には、きちんと休憩しなければいけない」
 等と、もっともらしい事を言った。

 そして、付け加えた。
「どお、久しぶりに、ベッドでまったりと」
「……すぐ行きます」

 明里は、テーブルの上を片付け始めた。
「はやっ!」

 私は、急いで入浴を済ませた。
 明里は私と入れ替わりにバスルームへ入った。

 私は、自分の部屋でエアコンをつけて、少し寒いぐらいの温度まで下げた。
 明里が枕を抱いて、部屋をノックした。

「どうぞ」
 明里は私の布団に入ってヒンヤリした感触に「気持ちい~」と言った。

 私は、ベッドの中で、今の私の仕事を話した。
 本来、機密情報であり、私には守秘義務があるのだが、まあ明里だし、他言厳禁を言い渡して話をした。

 二つの液体が混ざると、急速に固体化する試薬がある。
 その特性を利用して、3Dプリンターの開発を進めている。

 その話を聞いて、明里が言った。
「その試薬に3色の色を付けられれば、3Dカラープリンターが出来ますね」

 私は飛び起きた。
「おじさん?」

 なんで気付かなかった。
 この試薬を開発したチーム、未だに慌ただしい。
 おそらくその研究をしている。

 そして、おそらくその目途がたったんだ。
 だから、今の私のデモに会社は注目している。

 おそらく、私のグループが開発した今のプリンターの商品化は無い。
 今回のデモを確認して、うまく行きそうなら、それをカラーにするのは可能だ。

 会社は、3Dカラープリンターとして、発表するつもりだ。
 ……だとすれば……まだ時間は……取れるかもしれない。

「おじさん?」
「ああ、ありがとう。さすがに明里は勘がいいな~」
「……?」

 その日、明里を帰した後、明日の事を考えた。
「まだ、デモの日程は、調整出来るかもしれない」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:こんなんでいいの?
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