【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第6章

6-02 夏祭り

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 約束の場所に着くと、明里は浴衣を着て待っていた。
 以前、夜の散歩に着て来た浴衣だ。

 明里は私を見つけると、嬉しそうに挨拶してくれた。
「お疲れ様です」
「お待たせ」
「おじさんと、夏祭りに来たかったです」
「……ああ」

 明里に会うと、憂鬱の気分が晴れやかになる。
 単に、現実逃避である事は承知しているが、今の私は、それでもいい。

 この時間になると、それほど蒸し暑くない。
 涼しい風が通り過ぎる。
 明里と一緒に屋台の並ぶ通りを歩いた。

 夏祭り。
 何年振りだろう。
 子供の頃を思い出す。
 裕子と夏祭りに行った事は……なかった。
 そう、1人で来る所ではない。

 明里は私の手を握って恋人繋ぎをする。
 すれ違う男どもが振り返る。
 彼女連れの男まで振り返る。
 なんだろう、偉くなったような気がするから不思議だ。

 明里が訊ねた。
「綿菓子、買ってきて、いい?」
「……ああ」

 明里は綿菓子をちぎりながら、食べ歩いた。
 時々小さくちぎって、私の口に入れてくれる。
 なんか、明里は、嬉しそうだ。

 しかし私の頭の中は前回同様、明里の浴衣の中で一杯である。
 下着を付けているのだろうか?

 そっと上から、胸元を覗き込んだ。〔←変態おじさんに高速チェンジ〕
 しかし、無い胸の明里は、襟元がぴっちり閉じられている。
 ん~ 気になる。
 私の脳内では、浴衣が透けて、下着を付けていない明里が見えて来た。

 私の私自身をなだめながら歩いていると、神社の境内に着いた。
 明里がおみくじを引きたいと言った。
 私はあまり好きではないのだが、明里に付き合って私も引いた。

 明里は大吉、私は小吉。
 出来れば末吉を引きたかったのだが、小吉。
 実に私らしい。

 『おみくじを結ばれる方は、この木の枝にお結び下さい』と書かれた木があり、みんなその木の枝に結んでいる。
 おみくじを木に結ぶのは、願い事がしっかり結ばれますようにという思いらしい。

 私はさっそく、その木の枝に結んだ。
 すると明里は私の正面に立ち、私と同じ枝に自分のおみくじも結ぼうとしている。

 明里にとって、少し高い位置だ。
 背伸びして、両腕をあげて……。
 明里が倒れないように、帯の上から両手で支えた。

 近い……近い……。
 私の心拍数が、一気に跳ね上がった。
 浴衣の袖の奥が……見えそ~で……見えないっ!

 ・・・・・・

 明里は、不思議そうに私を見ている。

 明里さん。
 これからも……ドキドキさせて下さい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 やれやれ……。
 変態さんには困ったものです。
 
 次回:検討会議
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