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第5章
5-01 うわぁ~睨んでる
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チーム・ストロベリーが第1研に引っ越してから、1週間が経った。
いつものように出勤すると、私の上司である第3研の部長から連絡があり、打ち合わせたいとの事だ。
ただ、打ち合わせ場所が第1研の打合せ室との事で、なんだろうと思いながら、ノートPCだけ持って打合せ室へ向かった。
そこには、私の上司の他に第1研の部長と、一人の女性がいた。
その女性は、青色のネックストラップを下げている。
私の上司が話し始めた。
「こちら、第1研究所に籍をおいている佐伯千広さん。今後君のチームに常駐させてもらう事になった」
第1研の部長が、話し出した。
「所属は違うが、君の部下と思って佐伯君を指導してもらいたい」
「はい」
彼女は、私に挨拶した。
「初めまして、佐伯千広です。今後、チーム・ストロベリーでお仕事させて頂く事になりました。よろしくお願い致します」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
非常に潔癖そうな女性だ。
身長は、碧ぐらいか?
スリムな体型。
髪型はショートカット。
眼鏡は掛けていないが、委員長タイプの感じだ。
私は、委員長タイプの女性には苦手意識を持っている。
常に私は、叱られる側の人間だったからだ。
さて、これからこの女性と、うまくやっていけるのだろうか。
「まあ、そういう事だから、佐伯君の事、よろしく頼むよ」
「はい、了解しました」
それだけ伝えると、第1研の部長は退室した。
「この打合せ室は、10時までとってあるから、あとはよろしく」
そう言って、私の上司も退室した。
打合せ室は会議室と違い、大きな透明ガラスが壁になっていて、廊下から中が見える部屋になっている。
男性社員と女性社員が2人で打ち合わせをする際、会議室ではなく、打合せ室を利用する事となっている。
私は、佐伯さんに話かけた。
「よろしくお願いします」
「……はい」
「で、」
「はい?」
「何か、納得のいかない様相が伺えるのですが」
「え……いえ、そんな事、ありません」
「そうですか」
「そうです!」
……何か少し、私を睨んでいるような……
「では、よろしくお願いします」
「それ、3回目です」
「ハハハ……そうですね、なんか綺麗な女性の前に立つと上がってしまって」
「はぁ?」
「いえ、失礼しました」
「……」
「ちょっと色々と、お話させて頂きたいのですが、良いでしょうか?」
「……はい」
「では、座りましょう」
「はい」
私は持ってきたパソコンを起動して、彼女の社内情報を確認した。
社員番号:*********
名前:佐伯千広(さえき ちひろ)
年齢:……リーダー君の2つ下で、インテリ君の1つ下。
入社:**年4月(入社3年目)
所属:第1研究所
〇〇大学大学院修士課程修了
専攻:物性物理
社内総合評価
1年:A
2年:A
「すばらしいですね~ 社内総合評価、入社してから全てA」
「いえ、水瀬さんは全てS評価です」
……何か、碧に対抗意識、持ってる?
「あ~入社年度は、水瀬さんと同じですね」
「ええ、ですが水瀬さんは博士課程卒ですので、私より3つ上になります」
「いや~私は入社してから今まで、いつも評価C、ああ、1回だけBもらった事があったかなぁ」
「しっC評価って、その下のD評価になると、異動の対象と聞きましたが?」
「まあ、よくこんな私を、主任にしてくれたもんだ」
「……」
……うわぁ~睨んでるよぉ。
「いや~あなたのような優秀な方が、私のチームに入って頂けるとは、助かるな~」
「……」
……うわぁ~睨んでる、睨んでる。
千広を私の研究室に案内して扉を開けると、千広は固まってしまった。
私の研究室は、今やホテルのバイキング会場のようになっていた。
壁側に設置した机の上にマルチホットプレートが置かれ、エプロン付けた綾乃が、おでんをぐつぐつ煮ている。
その脇からリーダー君がよそっている。
綾乃が叱った。
「リーダー先輩、食べすぎです!」
「だって、あ、大根、もういいんじゃない?」
私は声を掛けた。
「はい、みなさん注目! こちら佐伯千広さん。ストロベリーの新メンバーです」
千広は、挨拶した。
「はい、本日付けで、こちらのチームに常駐させて頂く事になりました。第1研究所の佐伯千広です。今後ともよろしくお願い致します」
一同、拍手で迎えた。
それから、各自、自己紹介を行った。
千広は不安そうな面持ちである。
私は聞いた。
「あれ、水瀬さんは?」
綾乃が答えた。
「あ~ちょっと席外しています」
それを聞いた千広は、納得の表情を浮かべていた。
水瀬さんならこんなチーム、早くも抜け出したに違いない……と?
千広は尋ねた。
「あの、私の席は何処でしょうか?」
その机は、ホットプレートを乗せたバイキングテーブルになっていた。
綾乃が謝った。
「ごめんなさい、5人しかいないのに、なんで机6台あるのかな~って」
リーダー君も謝った。
「すみませんねぇ……ほら、机の上の食べ物を実験テーブルに移動して……」
千広は下を向いて、手を握りしめていた。
千広の机を綺麗に拭き、我々と同じ事務机コーナーに移動した。
リーダー君が私に言った。
「主任、代わりのバイキング テーブル買って来ます」
千広は、驚いている。
私は答えた。
「ああ、少し大きめのテーブルを、お願いする」
千広は、更に驚いた表情を見せた。
その時、碧が両手一杯に食材を買って帰ってきた。
「みんな~ごめ~ん、遅くなって~」
千広は固まった。
私は、碧に紹介した。
「こちら、本日付けで、このチームのメンバーになった、佐伯千広さん」
碧は言った。
「はい。第1研でしたから良く知ってます。これからもよろしくね」
リーダー君が言った。
「今日、佐伯さんの歓迎会しましょう」
碧が言った。
「今度はオシャレな居酒屋さんにしましょうよ~」
千広は下を向いて言葉を漏らした。
「……ここにいたらダメになる」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ついに……ついに千広さん、怒り爆発!
次回:何なんですか、あなた達は!
いつものように出勤すると、私の上司である第3研の部長から連絡があり、打ち合わせたいとの事だ。
ただ、打ち合わせ場所が第1研の打合せ室との事で、なんだろうと思いながら、ノートPCだけ持って打合せ室へ向かった。
そこには、私の上司の他に第1研の部長と、一人の女性がいた。
その女性は、青色のネックストラップを下げている。
私の上司が話し始めた。
「こちら、第1研究所に籍をおいている佐伯千広さん。今後君のチームに常駐させてもらう事になった」
第1研の部長が、話し出した。
「所属は違うが、君の部下と思って佐伯君を指導してもらいたい」
「はい」
彼女は、私に挨拶した。
「初めまして、佐伯千広です。今後、チーム・ストロベリーでお仕事させて頂く事になりました。よろしくお願い致します」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします」
非常に潔癖そうな女性だ。
身長は、碧ぐらいか?
スリムな体型。
髪型はショートカット。
眼鏡は掛けていないが、委員長タイプの感じだ。
私は、委員長タイプの女性には苦手意識を持っている。
常に私は、叱られる側の人間だったからだ。
さて、これからこの女性と、うまくやっていけるのだろうか。
「まあ、そういう事だから、佐伯君の事、よろしく頼むよ」
「はい、了解しました」
それだけ伝えると、第1研の部長は退室した。
「この打合せ室は、10時までとってあるから、あとはよろしく」
そう言って、私の上司も退室した。
打合せ室は会議室と違い、大きな透明ガラスが壁になっていて、廊下から中が見える部屋になっている。
男性社員と女性社員が2人で打ち合わせをする際、会議室ではなく、打合せ室を利用する事となっている。
私は、佐伯さんに話かけた。
「よろしくお願いします」
「……はい」
「で、」
「はい?」
「何か、納得のいかない様相が伺えるのですが」
「え……いえ、そんな事、ありません」
「そうですか」
「そうです!」
……何か少し、私を睨んでいるような……
「では、よろしくお願いします」
「それ、3回目です」
「ハハハ……そうですね、なんか綺麗な女性の前に立つと上がってしまって」
「はぁ?」
「いえ、失礼しました」
「……」
「ちょっと色々と、お話させて頂きたいのですが、良いでしょうか?」
「……はい」
「では、座りましょう」
「はい」
私は持ってきたパソコンを起動して、彼女の社内情報を確認した。
社員番号:*********
名前:佐伯千広(さえき ちひろ)
年齢:……リーダー君の2つ下で、インテリ君の1つ下。
入社:**年4月(入社3年目)
所属:第1研究所
〇〇大学大学院修士課程修了
専攻:物性物理
社内総合評価
1年:A
2年:A
「すばらしいですね~ 社内総合評価、入社してから全てA」
「いえ、水瀬さんは全てS評価です」
……何か、碧に対抗意識、持ってる?
「あ~入社年度は、水瀬さんと同じですね」
「ええ、ですが水瀬さんは博士課程卒ですので、私より3つ上になります」
「いや~私は入社してから今まで、いつも評価C、ああ、1回だけBもらった事があったかなぁ」
「しっC評価って、その下のD評価になると、異動の対象と聞きましたが?」
「まあ、よくこんな私を、主任にしてくれたもんだ」
「……」
……うわぁ~睨んでるよぉ。
「いや~あなたのような優秀な方が、私のチームに入って頂けるとは、助かるな~」
「……」
……うわぁ~睨んでる、睨んでる。
千広を私の研究室に案内して扉を開けると、千広は固まってしまった。
私の研究室は、今やホテルのバイキング会場のようになっていた。
壁側に設置した机の上にマルチホットプレートが置かれ、エプロン付けた綾乃が、おでんをぐつぐつ煮ている。
その脇からリーダー君がよそっている。
綾乃が叱った。
「リーダー先輩、食べすぎです!」
「だって、あ、大根、もういいんじゃない?」
私は声を掛けた。
「はい、みなさん注目! こちら佐伯千広さん。ストロベリーの新メンバーです」
千広は、挨拶した。
「はい、本日付けで、こちらのチームに常駐させて頂く事になりました。第1研究所の佐伯千広です。今後ともよろしくお願い致します」
一同、拍手で迎えた。
それから、各自、自己紹介を行った。
千広は不安そうな面持ちである。
私は聞いた。
「あれ、水瀬さんは?」
綾乃が答えた。
「あ~ちょっと席外しています」
それを聞いた千広は、納得の表情を浮かべていた。
水瀬さんならこんなチーム、早くも抜け出したに違いない……と?
千広は尋ねた。
「あの、私の席は何処でしょうか?」
その机は、ホットプレートを乗せたバイキングテーブルになっていた。
綾乃が謝った。
「ごめんなさい、5人しかいないのに、なんで机6台あるのかな~って」
リーダー君も謝った。
「すみませんねぇ……ほら、机の上の食べ物を実験テーブルに移動して……」
千広は下を向いて、手を握りしめていた。
千広の机を綺麗に拭き、我々と同じ事務机コーナーに移動した。
リーダー君が私に言った。
「主任、代わりのバイキング テーブル買って来ます」
千広は、驚いている。
私は答えた。
「ああ、少し大きめのテーブルを、お願いする」
千広は、更に驚いた表情を見せた。
その時、碧が両手一杯に食材を買って帰ってきた。
「みんな~ごめ~ん、遅くなって~」
千広は固まった。
私は、碧に紹介した。
「こちら、本日付けで、このチームのメンバーになった、佐伯千広さん」
碧は言った。
「はい。第1研でしたから良く知ってます。これからもよろしくね」
リーダー君が言った。
「今日、佐伯さんの歓迎会しましょう」
碧が言った。
「今度はオシャレな居酒屋さんにしましょうよ~」
千広は下を向いて言葉を漏らした。
「……ここにいたらダメになる」
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