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第4章
4-09 明里の試験勉強
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昨日、私の勝手な妄想が、一晩中1人歩きしていた。
おかげで今日は、寝不足である。
会社から帰宅して、いつものように明里と夕食を頂いた。
明里が「見て~」と言って、紙袋を渡してくれた。
中に入っていたのは、過去の問題のコピーだった。
「今日、さっそく、天文研の先輩に連絡して、『あの~過去の問題ってありますか?』って尋ねたら『あるよ~』って」
「良かったね~」
「先輩から、『来週のミーティングで、あげようと思って、でも、いま部室にいるけど、来な~い?』って言われて、早く欲しかったから『行きます』って言ってもらってきちゃいました」
「それにしても……すごい量だね」
「部室に行ったら、各部の部長さんが集まっていて、今年の学祭の打ち合わせしていて、そこで私を紹介されちゃいました」
「うわ~各部長さんとの繋がりを頂いたんだ」
「先輩が過去問取りに行ったら、『じゃあ、うちの部が集めている過去問もあげるよ』って各部長さんから言われて、沢山の過去問が集まっちゃいました」
「それは良かった」
「今年の学祭で、うちの天文部からはプラネタリウム喫茶を行うからプラネタリウムの作成、手伝ってって頼まれちゃいました」
「お~楽しそうだね」
「前期試験が終わるの9月末で、学祭は10月末だから、1ヵ月しかありません」
「まあ、その期間で作れるものでしょう……って、プラネタリウム喫茶といいました?」
「はい」
「あの、喫茶というと、誰か給仕するのですよね」
「ええ、部員の男性は執事の装いで、女性はメイドさんの装いで」
「な、なんですかぁ、高校生ですかぁ、高校の文化祭ですかぁ」
「ええ、私も同じ事言ったんですが、うちの学生、勉強三昧の高校時代を送って来た人が多いようで、失った青春を大学の学祭に求めているようで……」
……まあ、学祭の模擬店で居酒屋を出して、給仕する人が作務衣や着物で和を演出しているのは見た事があるが。
「……そうですか」
「で、女性はネコ耳カチューシャを付けるかどうかで騒いでいて……」
「け、けしからん!」
「まあ、うちの部長、女性だから、どうなるかな~」
「……」
……明里のネコ耳メイドコスプレ~??? 見に行きたい!
「で」
「はい」
「過去問は手に入ったんだけど、模範解答が無くって」
「そりゃそうだ」
もらって来た過去問のコピーを見ると、その中に何枚か鉛筆書きで式と答えが書いてある。
この過去問を提供した学生が書いた回答なのだろう。
私は、明里に伝えた。
「どうも、この回答、怪しい」
「そうなんです。それで友達と一緒に回答作りをする事にしました」
「おお、大学でいい友達、出来た?」
「はい。私は最初、教室の1番前の席に座って1人で授業受けていたのですが、そのうち女子が2人来て、今では、いつもその3人で、1番前の席で授業受けています」
「すばらしいです」
「友達の2人に過去問の話しをしたら欲しいって言われて、今日、この過去問を3人で分けてコピー。大変でした」
「だよね」
「で、3人別々に問題解いて、答え合わせしましょうって話になりました」
「いいですね~」
「で、3人とも解らない問題は、質問日に聞きましょうって」
「まあ、これだけの量の問題こなせば、勉強になりますよ」
「そう思います」
夕食後、明里はテーブルの上を片付け、早速ノートを広げて過去問に取り組み始めた。
私は熱燗を用意して、明里が一生懸命勉強している脇で、ゆっくりと飲み始めた。
寝不足の状態で飲むお酒。
後は寝るだけ。
至福のひと時だった。
……しかし、私はまだ知らなかった。
明里が、この先に向けて動き始めた時、
既に碧も、この先に向けて動いていた事を。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:やっちまったか!
おかげで今日は、寝不足である。
会社から帰宅して、いつものように明里と夕食を頂いた。
明里が「見て~」と言って、紙袋を渡してくれた。
中に入っていたのは、過去の問題のコピーだった。
「今日、さっそく、天文研の先輩に連絡して、『あの~過去の問題ってありますか?』って尋ねたら『あるよ~』って」
「良かったね~」
「先輩から、『来週のミーティングで、あげようと思って、でも、いま部室にいるけど、来な~い?』って言われて、早く欲しかったから『行きます』って言ってもらってきちゃいました」
「それにしても……すごい量だね」
「部室に行ったら、各部の部長さんが集まっていて、今年の学祭の打ち合わせしていて、そこで私を紹介されちゃいました」
「うわ~各部長さんとの繋がりを頂いたんだ」
「先輩が過去問取りに行ったら、『じゃあ、うちの部が集めている過去問もあげるよ』って各部長さんから言われて、沢山の過去問が集まっちゃいました」
「それは良かった」
「今年の学祭で、うちの天文部からはプラネタリウム喫茶を行うからプラネタリウムの作成、手伝ってって頼まれちゃいました」
「お~楽しそうだね」
「前期試験が終わるの9月末で、学祭は10月末だから、1ヵ月しかありません」
「まあ、その期間で作れるものでしょう……って、プラネタリウム喫茶といいました?」
「はい」
「あの、喫茶というと、誰か給仕するのですよね」
「ええ、部員の男性は執事の装いで、女性はメイドさんの装いで」
「な、なんですかぁ、高校生ですかぁ、高校の文化祭ですかぁ」
「ええ、私も同じ事言ったんですが、うちの学生、勉強三昧の高校時代を送って来た人が多いようで、失った青春を大学の学祭に求めているようで……」
……まあ、学祭の模擬店で居酒屋を出して、給仕する人が作務衣や着物で和を演出しているのは見た事があるが。
「……そうですか」
「で、女性はネコ耳カチューシャを付けるかどうかで騒いでいて……」
「け、けしからん!」
「まあ、うちの部長、女性だから、どうなるかな~」
「……」
……明里のネコ耳メイドコスプレ~??? 見に行きたい!
「で」
「はい」
「過去問は手に入ったんだけど、模範解答が無くって」
「そりゃそうだ」
もらって来た過去問のコピーを見ると、その中に何枚か鉛筆書きで式と答えが書いてある。
この過去問を提供した学生が書いた回答なのだろう。
私は、明里に伝えた。
「どうも、この回答、怪しい」
「そうなんです。それで友達と一緒に回答作りをする事にしました」
「おお、大学でいい友達、出来た?」
「はい。私は最初、教室の1番前の席に座って1人で授業受けていたのですが、そのうち女子が2人来て、今では、いつもその3人で、1番前の席で授業受けています」
「すばらしいです」
「友達の2人に過去問の話しをしたら欲しいって言われて、今日、この過去問を3人で分けてコピー。大変でした」
「だよね」
「で、3人別々に問題解いて、答え合わせしましょうって話になりました」
「いいですね~」
「で、3人とも解らない問題は、質問日に聞きましょうって」
「まあ、これだけの量の問題こなせば、勉強になりますよ」
「そう思います」
夕食後、明里はテーブルの上を片付け、早速ノートを広げて過去問に取り組み始めた。
私は熱燗を用意して、明里が一生懸命勉強している脇で、ゆっくりと飲み始めた。
寝不足の状態で飲むお酒。
後は寝るだけ。
至福のひと時だった。
……しかし、私はまだ知らなかった。
明里が、この先に向けて動き始めた時、
既に碧も、この先に向けて動いていた事を。
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次回:やっちまったか!
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