【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第4章

4-08 おじさんの目的

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「1つ考えてみましょう。中学、高校の先生は、教育者です」
「はい」

「でも、大学の先生は、教育者ではないのです」
「えぇ?」

「大学の先生は、研究者なのです」
「……はい」

「中学、高校は、ある意味、受動的に教えてもらえました。しかし、大学は能動的に学びに行く所です」
「理解しています」

「ですので、ほとんどの大学の先生は、学生への教育よりも、自分の研究に軸足を置いています。学生は先生の研究に参加させて頂いて、そこから能動的に学ばなければいけません」
「……はい」

「つまり乱暴な言い方をすると、大学の先生は、片手間に授業を受け持っているのです」
「……」
「そして、試験も行わなければなりません」
「……はい」

「試験問題についてですが、あまり基礎的な問題を出す訳にはいかない。しかし学生の出来が悪いと、これも具合悪いのです」
「……なんだか、イケナイお話しが始まりそうです」

「3つあります。
 ① 学生が点数取れるように、過去に出した問題と同じ問題を出す先生がいます。
 ② 自分の書いた本の中の演習問題を、そのまま出す先生がいます。
 ③ 出す問題を教えてくれる先生がいます」
「マジですか?」

「だったらいいな~?」
「……了解しました」

「で、①については、どこかのクラブに入って先輩から過去問を入手しましょう」
「私、女性の先輩に誘われて、天文研に入りました。来週ミーティングが予定されています」
「それは良かった。後輩の為に、各先生が出した問題、収集してくれているといいですね」
「先輩に聞いてみます」

「まったく違う問題を出す先生もいますので、そこから傾向を掴むといい」
「わかりました」

「次に、②についてだが、大学の先生にもなると、自分が書いた本を出されているので、ただ、あまり売れるものでもないから、大きな書店へ行っても置いてないでしょう。注文するか、ネットで調べて購入しましょう」
「……はい」

「そして、③ 試験前に1週間、質問受け付けとしての授業が予定されていると思います。この日、出す問題を匂わせてくれる先生がいます。質問に対しての受け答えから読み取りましょう。でも、きちんと勉強していないと解りません。きちんと勉強して一番前の席で受けましょう」
「うわ~」

「このへんはね、大学入試と、ちょっと違うのですよ。入試の場合、決められた人数に合わせて合格者を選別しなければいけませんが、単位認定試験の場合、十分な点数であれば、全員合格でも良いのです」
「なるほどです」

「しかしながら、今の話に頼らずに、まじめに勉強する事が絶対です。ただ、同じ勉強するなら、先生の書いた本で、また、過去の問題を演習問題として勉強するのは、いかがでしょう」
「なんか……良い結果を出せる気が、してきました」
「おいおい」

・・・・・・

 明里は、その日の夜も、ネットで色々調べているようだ。
 私は、1人ベッドに寝転がりながら、色々な事を考えていた。
 そ~かぁ~、明里が大学院へ進みたいとは……。
 そして、私と同じ職場に就職したいと言い出した。

 本当にそれが叶えば、それもまた楽しいかもしれない。
 社内恋愛で結婚する人は珍しくない。
 うちの会社、居心地いいから結婚しても、そのまま夫婦で働いている人、何人もいる。
 寿退社する人と半々ぐらいじゃないだろうか?

 明里と一緒に朝食を頂く。
 そのまま一緒に出社する。
 そして、何処かで待ち合わせて一緒に帰宅する。

 明里がストロベリーに入れば、どうなっちゃうんだろう。
 でも、明里が第1研究所勤務になったら、明里に頭、あがらないな~。
 いや、そうしたら、明里に食べさせてもらおう。

 私が子供を育てて家事を行い、子供と手を繋いでスーパーへ食材の買い物。
 子供と一緒に夕飯を作って、子供と一緒に明里の帰りを待つ。
 な……なんて素晴らしい人生なのだろう。

 子供が手を離れたら、今の職場に再就職させてもらって、その頃、明里に役職が付いていれば、明里の下で実験助手など……素晴らしい……

 その日、私の1人歩きした妄想は、とどまる事を知らなかった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 はい。 
 ようやくここで、おじさんの目的が明かされました。

 拾った娘を大切に育てて、その娘に将来、食べさせてもらおうとの魂胆。
 ……実にけしからん!

 明里ちゃんが、大黒柱だね!

 次回:明里の試験勉強
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