【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

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第4章

4-07 熾烈な競争が既に始まっている

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 次の日、明里は大学へ行って大学院進学についての質問を色々してきたようだ。
 私は、仕事を終えて帰宅すると、明里は昨日の会議の続きとしての情報を整理していた。
 夕食及び入浴を済ませ、昨日の続き、明里の今後に向けての検討会議を始めた。

 まず、明里が大学から仕入れてきた情報を報告してもらった。
 卒業後の進路は、就職40% 進学60%との事。
 やはり明里の大学の理工学部では、大学院へ進む学生が多いようだ。

 進学60%の内訳として、
 他大学入試進学:10%
 学内推薦進学 :40%
 学内入試進学 :10%
 との事。

 次に、学内推薦をもらう為の成績は、1年から3年までの必修科目の成績総合点による学科内順位上位50%との事。
 順位は各期の試験ごと、成績と共に通知される。
 つまり、真ん中以上の順位であれば、無試験で進学出来るようだ。

 広き門とも言えるが、ギリギリの成績で入学出来た明里にとっては簡単ではない。
 前期と後期、年に2回の試験を、1年から3年まで、つまり、全部で6回ある。
 乱暴なイメージになるが、1年の前期試験の順位がビリであれば、3年の後期試験の順位は1番の成績を取らないと、3年間の総合順位、上位50%の中に入れない。

 その事を、明里はしっかりと認識した。
 ギリギリで入った明里にとって、夏休みの後に行われる前期試験は非常に重要であり、アルバイトしてる余裕等ない。

 また、4年から入る研究室についても、どの研究室に入れるか、これも3年間の総合順位によって、希望した研究室に入れるかどうかが決まるとの事だ。
 つまり、熾烈な競争が既に始まっている。

 明里は私に質問した。
「研究職って、院卒しか採らないの?」
「研究職といっても、学部卒で採る会社もあるよ。それと逆に、院卒者が、みんな研究職に就く訳じゃない。実際のところ、ほんの1部だよ」

「うわ~狭き門なんだ」
「いや、その多くは研究職を本人が希望しない。事業部の方がいいと考える人が大勢いる。会社組織の中で、研究職ってちょっと特殊なんだ」
「……そうなんだ」

「明里は、大学で実験とか、始まっているのかな?」
「ええ、前期に基礎実験(1)がありました」
「この実験って実験と言いながら、結果の解っている実験だよね」
「ええ」

「この実験で大発見があったなんて、聞いた事ない」
「そりゃそうだ」
「つまり、ここでの実験とは、実験の仕方を学びましょうという事で、本来の結果と違う結果が出た場合、実験方法に誤りがあるのではないですか?という事です」
「なるほどです」

「で、本当の意味での実験は、研究室に入ってからです」
「そうなんだ~」

「学生は研究室に入って、研究の仕方を学びます」
「研究の仕方?」
「仮説から実験、結果、検証、そして結論。その結論は飛躍していないか?その根拠に誤りは無いか? それを、先生を含めて研究室のメンバーで議論する」
「カッコいい」

「これがね~ 学部卒で就職する人は4年で研究室に入って、就職活動、国家試験、公務員採用試験等を行いながら……なかなか研究に専念出来ない。まあ、研究職に就く考えでなければ、それでもいいんだけど」
「たしかに」

「だから、もしも研究職に就く事を希望するなら、大学院まで行って、しっかりと研究の仕方を学ぶ事を勧めます」
「あ~大学院、上位50%、なんとか入りたいです」

「まずは、夏休み明けの試験に向けて頑張らないと」
「はい。少しでも良い成績を残していかないと」
「そこで、作戦をたてましょう」
「作戦?……そんなのあるのですか?」

「基本は真面目に勉強しましょう。これが絶対です」
「はい。……それが作戦ですか?」

「今から話す内容は、運が良ければラッキ~といった話しですので、この話に頼ってはいけません」
「……はい」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 おじさん、また明里さんに、怪しい話しを吹き込もうとして……

 次回:おじさんの目的
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