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第4章
4-01 ネックストラップ
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会議室に各主任が集められ、管理部から妙なお達しが伝えられた。
各社員は、会社の正門、及び、各フロアーの扉に対して社員証をかざす事で入出が可能となる。
この社員証は、通常首からぶら下げているのだが、そのヒモ(ネックストラップ)に対して、組織別に色分けを行う事になった。
ネックストラップは幅9㎜の帯のような形状で、帯の色は部としての識別を表し、真ん中に入る3㎜の線の色は、課としての識別を表す。
この2種類の色によって、社員証のヒモを見ただけで、人事部〇〇課の人だ、経理部〇〇課の人だ、と解るようだ。
私の第3研究所は、全ての部に対して帯の色に紺色が割り充てられた。
次に、真ん中に入る色についてだが、研究所は課としての組織はなく、主任(主任研究員)を中心とした班がその位置付けにある。
よって、主任単位で、チームネーム(班名)とチームカラーを決めてほしいとの事だ。
チームネームは、何でもいいのですか?
という質問に対して、
「チームネームは、社外に公表するものではありません。社内での管理を目的とした、言わば記号ですので、本当に何でも良いです。……それこそ、チーム・エベレスト、とか」
会議室に、お付き合いの笑いが、ぽつぽつと出た。
「本来、仕事の内容がイメージしやすい、チーム・ビデオカメラとか、チーム・ロボット掃除機、等といった名前が付けられれば良いのですが、研究開発のチームは事業部と違って、それに特化したチームではないと理解しています。今までは、各主任の名前で、佐藤班とか、鈴木班と呼んでいましたが、主任が異動の際、引き継いだ主任にチームを継承してもらいたい事から、チームネームを付けてもらう事になりました」
との事だ。
次に、チームカラーの色が別のチームと重なった場合は、どうするのですか?
という質問に対して、
「藍色、青色、水色は別の色として扱いますので、原色に近い色よりも混合色にして、なるべく他のチームと重ならないように色を選んで下さい。それでも似ている色の場合は、話し合いの上で色を変えて下さい。こちらでは、色と名前で登録します」
との回答だった。
遠い昔の中学生の頃、班決め等を行った時の記憶が蘇る。
・・・・・・
チームネームとチームカラーを部下に丸投げしている主任もいる。
評判悪くても、自分は責められない計算である。
私も部下に丸投げしたいのだが、新人の綾乃では困らせてしまうだろう。
リーダー君かインテリ君か……なんか2人とも、私に目を合わせない。
自分に振られないよう、警戒しているのか?
4人しかいないんだ、皆で話し合ってみよう。
私は、3人の部下に向けて、チームネームとチームカラーの件を説明し、アイディア募集のメールを送った。
すると、
リーダー君から
『主任にお任せします。私、ネーミングセンス良くないと、まわりから言われますもので』
インテリ君から
『チームネームといっても、単に記号との事ですので、主任が適当に付けて下さい』
綾乃から
『主任にお願いします。主任のセンス興味あります。楽しみにしています』
ん~ 後で不愉快な顔、向けないでくれよ~
しょうがないので、私が考える事にした。
・・・・・・
昼食時、いつものように碧を混ぜて、5人でテーブルを囲んでいた。
インテリ君が遠慮がちに、碧に訊ねた。
「第3研へ毎日来られて、大丈夫でしょうか?いえ、私はご一緒出来て嬉しいのですが、第1研の皆さんが、水瀬さんをどのように見ておられるのか?」
碧は平然と答えた。
「ご心配頂きまして、ありがとうございます。……いいんですよ。私は来年、第3研の主任の下へ異動願いを出しますから」
「ええっ!」
私を除いた3人は、一斉に声を上げた。
リーダー君が訊ねた。
「主任、そういった話になってるんですか?」
「いや、そんな事、通る訳ないだろ!」
すると碧が返した。
「通らなければ退職願い出すだけです」
3人は言葉を失った。
「ですので、来年度からは、皆さんが先輩ですので、よろしくお願い致します」
3人は、碧の言葉に固まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今後は仕事上でのパートナーとして、 碧さんは おじさんの下での仕事を望んでいるようです。
碧さんは、主任への想いを整理しているようです。
……ただ。
次回:幸せな時間
各社員は、会社の正門、及び、各フロアーの扉に対して社員証をかざす事で入出が可能となる。
この社員証は、通常首からぶら下げているのだが、そのヒモ(ネックストラップ)に対して、組織別に色分けを行う事になった。
ネックストラップは幅9㎜の帯のような形状で、帯の色は部としての識別を表し、真ん中に入る3㎜の線の色は、課としての識別を表す。
この2種類の色によって、社員証のヒモを見ただけで、人事部〇〇課の人だ、経理部〇〇課の人だ、と解るようだ。
私の第3研究所は、全ての部に対して帯の色に紺色が割り充てられた。
次に、真ん中に入る色についてだが、研究所は課としての組織はなく、主任(主任研究員)を中心とした班がその位置付けにある。
よって、主任単位で、チームネーム(班名)とチームカラーを決めてほしいとの事だ。
チームネームは、何でもいいのですか?
という質問に対して、
「チームネームは、社外に公表するものではありません。社内での管理を目的とした、言わば記号ですので、本当に何でも良いです。……それこそ、チーム・エベレスト、とか」
会議室に、お付き合いの笑いが、ぽつぽつと出た。
「本来、仕事の内容がイメージしやすい、チーム・ビデオカメラとか、チーム・ロボット掃除機、等といった名前が付けられれば良いのですが、研究開発のチームは事業部と違って、それに特化したチームではないと理解しています。今までは、各主任の名前で、佐藤班とか、鈴木班と呼んでいましたが、主任が異動の際、引き継いだ主任にチームを継承してもらいたい事から、チームネームを付けてもらう事になりました」
との事だ。
次に、チームカラーの色が別のチームと重なった場合は、どうするのですか?
という質問に対して、
「藍色、青色、水色は別の色として扱いますので、原色に近い色よりも混合色にして、なるべく他のチームと重ならないように色を選んで下さい。それでも似ている色の場合は、話し合いの上で色を変えて下さい。こちらでは、色と名前で登録します」
との回答だった。
遠い昔の中学生の頃、班決め等を行った時の記憶が蘇る。
・・・・・・
チームネームとチームカラーを部下に丸投げしている主任もいる。
評判悪くても、自分は責められない計算である。
私も部下に丸投げしたいのだが、新人の綾乃では困らせてしまうだろう。
リーダー君かインテリ君か……なんか2人とも、私に目を合わせない。
自分に振られないよう、警戒しているのか?
4人しかいないんだ、皆で話し合ってみよう。
私は、3人の部下に向けて、チームネームとチームカラーの件を説明し、アイディア募集のメールを送った。
すると、
リーダー君から
『主任にお任せします。私、ネーミングセンス良くないと、まわりから言われますもので』
インテリ君から
『チームネームといっても、単に記号との事ですので、主任が適当に付けて下さい』
綾乃から
『主任にお願いします。主任のセンス興味あります。楽しみにしています』
ん~ 後で不愉快な顔、向けないでくれよ~
しょうがないので、私が考える事にした。
・・・・・・
昼食時、いつものように碧を混ぜて、5人でテーブルを囲んでいた。
インテリ君が遠慮がちに、碧に訊ねた。
「第3研へ毎日来られて、大丈夫でしょうか?いえ、私はご一緒出来て嬉しいのですが、第1研の皆さんが、水瀬さんをどのように見ておられるのか?」
碧は平然と答えた。
「ご心配頂きまして、ありがとうございます。……いいんですよ。私は来年、第3研の主任の下へ異動願いを出しますから」
「ええっ!」
私を除いた3人は、一斉に声を上げた。
リーダー君が訊ねた。
「主任、そういった話になってるんですか?」
「いや、そんな事、通る訳ないだろ!」
すると碧が返した。
「通らなければ退職願い出すだけです」
3人は言葉を失った。
「ですので、来年度からは、皆さんが先輩ですので、よろしくお願い致します」
3人は、碧の言葉に固まった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
今後は仕事上でのパートナーとして、 碧さんは おじさんの下での仕事を望んでいるようです。
碧さんは、主任への想いを整理しているようです。
……ただ。
次回:幸せな時間
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