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第3章
3-06 適当な話を
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そのあと、ソファーに座ったまま、うたた寝してしまったようだ。
目を覚ますと、碧は私の右側で、私に寄りかかって眠っていた。
碧の髪からシャンプーの香り。
バスローブ越しに石鹸の香り。
そして、バスロープ胸元の奥に見える、優しい胸のふくらみ。
これは……いかん!
私は碧を起こさないようにソファーから離れ、冷蔵庫から冷たいジュースを取り出して飲んだ。
よ~し、大丈夫だ。
私の私自身が、おさまって来た。 〔←忙しい、おじさんだなぁ〕
しばらくすると、碧も目を覚ました。
「おはよう」
「あっ……おはようございます」
「昨日は、飲んだね」
「はい、本当に楽しかったです」
私は、ここのホテル代等を払うから、後で領収書見せてほしいと言うと、碧は「私が誘って勝手に注文したものですから、気にしないで下さい」と言ってきた。
いや、そういう訳にはいかない。と私が言うと、「では、折半にしましょう。領収書の写真をメールで送りますので、プライベートメールアドレスを教えて下さい」と言われた。
私はメアドを送ると、碧は嬉しそうに受け取った。
碧は私の前で、両腕を上に曲げて、胸を反らすように大きく体を伸ばした。
「えいっ」
そして、飛びつくように、私に抱き付いてきた。
「告白です」
こっ……この柔らかな感触は……。
私は、慌てて言い訳をした。
「ハグ、ハグ、ハグ」
その後、チェックアウトを済ませ、タクシーに乗って社員旅行のホテルへ向かった。
部屋に着くと、他の連中は朝食に行ったようで顔を合わせる事は無かった。
私は朝食を取る気分でもなく、荷物をまとめてロビーへ行った。
みんな勝手に解散しているようで、私もホテルを後にした。
新幹線に乗って自宅マンションへ向かう。
この2日間、なんだったのだろう。
碧といい……綾乃といい……。
・・・・・・
私が自宅マンションに着いたのは、正午を少し過ぎた頃だった。
「ただいま」
「おかえりなさい」
明里は私に抱き付いてきた。
……大丈夫だ。碧とホテルで過ごした時は、浴衣と羽織を着ていた。
その後、私服に着替えたから、碧の移り香は残っていない。
「昨日は夜明かしして飲んだから、早く寝たい」
「了解しました、夕飯は早めに」
「ありがとう」
明里は浴槽に湯を張って夕飯の支度を始めた。
私は荷物の整理を行い、衣類を洗濯機に入れて入浴した。
風呂から出たのは3時半、そして4時から夕飯を頂いた。
その日、ベッドに入ったのは、6時だった。
明里が部屋をノックした。
「おじさんが寝たら、自分の部屋で寝るから」
と言って、ふとんに入ってきて、いきなり私に抱き付いて言った。
「昨日はさびしかったよ~」
明里に抱き付かれながら、碧を思い出してしまった……いかん、いかん。
・・・・・・
次の日、目を覚ました私は、リビングに向かった。
テーブルの上に置き忘れたスマホが、メール着信の点滅をしている。
私は、パスワードを入れて開くとメールは2通。
1通目は、同僚から、昨日の宴会で綾乃が清酒を注いでくれている写真と、二人でカメラに向かった写真。
『犯罪者にならないように』とのコメントが書かれていた。
綾乃は院卒の修士だから、現役であれば24歳。
34の私が24の娘に手を出したら犯罪者と見なされるのであれば、18の娘を囲っている私は、おそらく社会から抹殺されるだろう。
私は『ありがとう、犯罪者にならないよう、気を付けます』と書いて返信した。
そして、2通目は碧からだった。
『お約束の領収書の写真、メールで送ります。昨日は本当に楽しかったです。またメールして良いですか?』
私は、早速返信を送った。
『領収書のメールありがとう。お支払いしたいのですが会社では具合悪いので、お会い出来ませんか』
すると、すぐに碧からメールが返ってきた。
『私は、今日1日大丈夫です。待ち合わせの時刻と場所を指定してください』
私は少し考え、メールを送った。
『待ち合わせは17時、場所は〇〇駅南口の〇〇喫茶店でいかがでしょう』
するとまた、すぐに返信が届いた。
『了解しました。またお会い出来て嬉しいです。楽しみにしています』
・・・・・・
しばらくすると、明里が起きてきた。
「おじさん、おはよう。ごめんなさい、すぐに朝食作りますね」
「あ、今日ちょっと夕方から外出するから」
「えっ?買い物だったら、私も一緒に行きたい」
「いや……昨日の社員旅行で、同期が結婚した事を報告して……彼の家で、結婚披露会が開かれる事になって……私にも声がかかったから、お祝いに行ってこようと思って」
「そうなんだ~、じゃあ私は行く訳にはいかないね~」
「そうだね~、ごめん」
「おじさんは、会社の方とのお付き合い、大切にして下さい」
「ああ、だから、今日は夕飯いらないから」
「わかりました」
私は適当な話をつくりあげて、外出する事を明里に伝えた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
おじさんは、息を吐くように、嘘をつくようです。
次回:何が残っているのだろう
目を覚ますと、碧は私の右側で、私に寄りかかって眠っていた。
碧の髪からシャンプーの香り。
バスローブ越しに石鹸の香り。
そして、バスロープ胸元の奥に見える、優しい胸のふくらみ。
これは……いかん!
私は碧を起こさないようにソファーから離れ、冷蔵庫から冷たいジュースを取り出して飲んだ。
よ~し、大丈夫だ。
私の私自身が、おさまって来た。 〔←忙しい、おじさんだなぁ〕
しばらくすると、碧も目を覚ました。
「おはよう」
「あっ……おはようございます」
「昨日は、飲んだね」
「はい、本当に楽しかったです」
私は、ここのホテル代等を払うから、後で領収書見せてほしいと言うと、碧は「私が誘って勝手に注文したものですから、気にしないで下さい」と言ってきた。
いや、そういう訳にはいかない。と私が言うと、「では、折半にしましょう。領収書の写真をメールで送りますので、プライベートメールアドレスを教えて下さい」と言われた。
私はメアドを送ると、碧は嬉しそうに受け取った。
碧は私の前で、両腕を上に曲げて、胸を反らすように大きく体を伸ばした。
「えいっ」
そして、飛びつくように、私に抱き付いてきた。
「告白です」
こっ……この柔らかな感触は……。
私は、慌てて言い訳をした。
「ハグ、ハグ、ハグ」
その後、チェックアウトを済ませ、タクシーに乗って社員旅行のホテルへ向かった。
部屋に着くと、他の連中は朝食に行ったようで顔を合わせる事は無かった。
私は朝食を取る気分でもなく、荷物をまとめてロビーへ行った。
みんな勝手に解散しているようで、私もホテルを後にした。
新幹線に乗って自宅マンションへ向かう。
この2日間、なんだったのだろう。
碧といい……綾乃といい……。
・・・・・・
私が自宅マンションに着いたのは、正午を少し過ぎた頃だった。
「ただいま」
「おかえりなさい」
明里は私に抱き付いてきた。
……大丈夫だ。碧とホテルで過ごした時は、浴衣と羽織を着ていた。
その後、私服に着替えたから、碧の移り香は残っていない。
「昨日は夜明かしして飲んだから、早く寝たい」
「了解しました、夕飯は早めに」
「ありがとう」
明里は浴槽に湯を張って夕飯の支度を始めた。
私は荷物の整理を行い、衣類を洗濯機に入れて入浴した。
風呂から出たのは3時半、そして4時から夕飯を頂いた。
その日、ベッドに入ったのは、6時だった。
明里が部屋をノックした。
「おじさんが寝たら、自分の部屋で寝るから」
と言って、ふとんに入ってきて、いきなり私に抱き付いて言った。
「昨日はさびしかったよ~」
明里に抱き付かれながら、碧を思い出してしまった……いかん、いかん。
・・・・・・
次の日、目を覚ました私は、リビングに向かった。
テーブルの上に置き忘れたスマホが、メール着信の点滅をしている。
私は、パスワードを入れて開くとメールは2通。
1通目は、同僚から、昨日の宴会で綾乃が清酒を注いでくれている写真と、二人でカメラに向かった写真。
『犯罪者にならないように』とのコメントが書かれていた。
綾乃は院卒の修士だから、現役であれば24歳。
34の私が24の娘に手を出したら犯罪者と見なされるのであれば、18の娘を囲っている私は、おそらく社会から抹殺されるだろう。
私は『ありがとう、犯罪者にならないよう、気を付けます』と書いて返信した。
そして、2通目は碧からだった。
『お約束の領収書の写真、メールで送ります。昨日は本当に楽しかったです。またメールして良いですか?』
私は、早速返信を送った。
『領収書のメールありがとう。お支払いしたいのですが会社では具合悪いので、お会い出来ませんか』
すると、すぐに碧からメールが返ってきた。
『私は、今日1日大丈夫です。待ち合わせの時刻と場所を指定してください』
私は少し考え、メールを送った。
『待ち合わせは17時、場所は〇〇駅南口の〇〇喫茶店でいかがでしょう』
するとまた、すぐに返信が届いた。
『了解しました。またお会い出来て嬉しいです。楽しみにしています』
・・・・・・
しばらくすると、明里が起きてきた。
「おじさん、おはよう。ごめんなさい、すぐに朝食作りますね」
「あ、今日ちょっと夕方から外出するから」
「えっ?買い物だったら、私も一緒に行きたい」
「いや……昨日の社員旅行で、同期が結婚した事を報告して……彼の家で、結婚披露会が開かれる事になって……私にも声がかかったから、お祝いに行ってこようと思って」
「そうなんだ~、じゃあ私は行く訳にはいかないね~」
「そうだね~、ごめん」
「おじさんは、会社の方とのお付き合い、大切にして下さい」
「ああ、だから、今日は夕飯いらないから」
「わかりました」
私は適当な話をつくりあげて、外出する事を明里に伝えた。
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おじさんは、息を吐くように、嘘をつくようです。
次回:何が残っているのだろう
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