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第1章
1-14 高校卒業
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明里は今日、高校の卒業式を迎えた。
式を終えた後、実家の母と義父に高校卒業を報告しに行くと言っていた。
私は仕事を終えて帰宅すると、明里は高校の制服を着たまま、玄関まで出迎えてくれた。
そして明里は、床に正座して手を付いて頭を下げた。
「おじさんのおかげで、大学に入る事が出来ました。こんなに嬉しい気持ちで卒業式を迎えられたのは、全ておじさんのおかげです。本当にありがとうございます」
私もあわてて床に正座した。
そして明里の目の高さに合わせて言った。
「はい。卒業おめでとう。……ああ、今日はここで、ゆっくりと食事しよう」
「はい」
明里は夕食の準備を整えていてくれた。
食事をしながら、明里が話かけてきた。
「今日実家へ、卒業した事を報告しに行ったら、お母さんもお義父さんも、とても喜んでくれました」
「それは良かった」
「お母さん、今のお義父さんと、幸せそうでした」
「それは良かった」
「今思い返すと、あの日、おじさんと出会ってなければ、私どうなっていたんだろう」
「怖いもの知らずだったよね」
「本当は、怖くて怖くて死にそうでした」
「……私が?」
「……これからの事が」
「……」
「おじさん。私の前から、いなくなったり、しないよね」
「いゃあ、明里が私の前から、いなくなると思っている」
「そんな事、絶対にない!」
「……うん……昔、そう言ってくれた人がいた」
「……おじさん?」
私は、話題を変えようと、明里に提案した。
「無事、卒業式を終えたという事で、お祝いに、明日どこかで夕食でもしようか?」
「うれし~、待ち合わせは? 何処? 何時?」
「じゃあ、サ〇シャインの展望ラウンジでいいかな」
「すご~い」
「予約出来るかな?」
私は、早速電話で予約した。
「明日20時、私の名前で予約した。私は仕事終わってから向かうから、少し遅れてしまうかもしれない。先にお店に入ってて」
「了解です」
・・・・・・
次の日、私は予約した時刻に遅れる事なくお店に着いた。
名前を伝え、予約したテーブルに案内された。
そのテーブルに1人の女性の後ろ姿を見た。
明里だ、私より先に着いていた。
初めて見る服だ。
以前のように、援交に見られないよう、高校生には見られないような装いで来てくれたのだろうか。
私が明里の正面に回って席に着こうとした時、私は一瞬固まった。
スラッとした薄い体、控えめな薄化粧、シックなドレス……5年前の記憶がよみがえる。
「あっ、お疲れ様です」
明里が恥かしそうな表情を浮かべて挨拶してくれた。
「あっ、ありがとう」
「援交に見られないように、装いして来ました」
「あっ、ああ……でも、高校を卒業した今、援交もないよ」
「そうですね」
明里は静かに笑っている。
「毎月頂いているお小遣いを貯めていましたので、おじさんとデート出来るように新調しました。
本当は、おじさんと一緒に服を見てまわりたかったのですが……今度一緒に」
「ああっ」
「この装い、どうですか?」
「ああっ、明里は普段から綺麗だから、少し驚いた」
私は、オプションメニューとしてビールを頼んだ。
明里はジンジャエール。
コース料理が運ばれてきた。
二人で乾杯して食事を始めた。
私は話題をひねり出して、明るく振舞った。
しかし明里との会話が弾まない。
「なんか今日のおじさん、私の更に後ろを見ているみたい」
「……明里の後ろには……誰もいないよ」
明里は振り向きもせず、まっすぐ私を見て言った。
「そぉ?」
いかん、勘のいい明里だ。色々な事を考え始めている。
「……」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:(第1章最終話)私のしている事
式を終えた後、実家の母と義父に高校卒業を報告しに行くと言っていた。
私は仕事を終えて帰宅すると、明里は高校の制服を着たまま、玄関まで出迎えてくれた。
そして明里は、床に正座して手を付いて頭を下げた。
「おじさんのおかげで、大学に入る事が出来ました。こんなに嬉しい気持ちで卒業式を迎えられたのは、全ておじさんのおかげです。本当にありがとうございます」
私もあわてて床に正座した。
そして明里の目の高さに合わせて言った。
「はい。卒業おめでとう。……ああ、今日はここで、ゆっくりと食事しよう」
「はい」
明里は夕食の準備を整えていてくれた。
食事をしながら、明里が話かけてきた。
「今日実家へ、卒業した事を報告しに行ったら、お母さんもお義父さんも、とても喜んでくれました」
「それは良かった」
「お母さん、今のお義父さんと、幸せそうでした」
「それは良かった」
「今思い返すと、あの日、おじさんと出会ってなければ、私どうなっていたんだろう」
「怖いもの知らずだったよね」
「本当は、怖くて怖くて死にそうでした」
「……私が?」
「……これからの事が」
「……」
「おじさん。私の前から、いなくなったり、しないよね」
「いゃあ、明里が私の前から、いなくなると思っている」
「そんな事、絶対にない!」
「……うん……昔、そう言ってくれた人がいた」
「……おじさん?」
私は、話題を変えようと、明里に提案した。
「無事、卒業式を終えたという事で、お祝いに、明日どこかで夕食でもしようか?」
「うれし~、待ち合わせは? 何処? 何時?」
「じゃあ、サ〇シャインの展望ラウンジでいいかな」
「すご~い」
「予約出来るかな?」
私は、早速電話で予約した。
「明日20時、私の名前で予約した。私は仕事終わってから向かうから、少し遅れてしまうかもしれない。先にお店に入ってて」
「了解です」
・・・・・・
次の日、私は予約した時刻に遅れる事なくお店に着いた。
名前を伝え、予約したテーブルに案内された。
そのテーブルに1人の女性の後ろ姿を見た。
明里だ、私より先に着いていた。
初めて見る服だ。
以前のように、援交に見られないよう、高校生には見られないような装いで来てくれたのだろうか。
私が明里の正面に回って席に着こうとした時、私は一瞬固まった。
スラッとした薄い体、控えめな薄化粧、シックなドレス……5年前の記憶がよみがえる。
「あっ、お疲れ様です」
明里が恥かしそうな表情を浮かべて挨拶してくれた。
「あっ、ありがとう」
「援交に見られないように、装いして来ました」
「あっ、ああ……でも、高校を卒業した今、援交もないよ」
「そうですね」
明里は静かに笑っている。
「毎月頂いているお小遣いを貯めていましたので、おじさんとデート出来るように新調しました。
本当は、おじさんと一緒に服を見てまわりたかったのですが……今度一緒に」
「ああっ」
「この装い、どうですか?」
「ああっ、明里は普段から綺麗だから、少し驚いた」
私は、オプションメニューとしてビールを頼んだ。
明里はジンジャエール。
コース料理が運ばれてきた。
二人で乾杯して食事を始めた。
私は話題をひねり出して、明るく振舞った。
しかし明里との会話が弾まない。
「なんか今日のおじさん、私の更に後ろを見ているみたい」
「……明里の後ろには……誰もいないよ」
明里は振り向きもせず、まっすぐ私を見て言った。
「そぉ?」
いかん、勘のいい明里だ。色々な事を考え始めている。
「……」
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次回:(第1章最終話)私のしている事
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