【完結】家出女子高生に生活支援

青村砂希

文字の大きさ
上 下
7 / 88
第1章

1-07 朝もやの中を

しおりを挟む
 〇〇森林公園へ向かう。

 新宿から〇〇線に乗り換え、約1時間。
 そこから歩いて約10分。
 〇〇森林公園に到着した。

 入園して、最初に公園の地図をもらう。
 次に、レンタル自転車センターへ向かった。

 レンタル料は、1日借りても大した事ない。
 自転車を2台かりて出発した。

 昨日は雨が降り続いたが、本日は晴天。
 ひんやりとした空気の中、暖かい日差しが降り注いでいる。
 緑の中、涼しい風を切って、朝もやの中を走りまわった。
 明里は、とても気持ち良さそうだ。

 いろいろなエリアがある。
 その都度自転車を止めて散策した。
 園内には、売店やレストラン等も沢山あり、適当な場所を見つけては、そこで休み、食事した。

 明里は、ソフトクリームを買ってきてくれた。
 それを食べながら、次にまわるエリアを相談した。

「私、こんなに楽しいの、生まれて初めて」
「おおげさだな」
「本当だよ」

「今日の目的は、頭と体のリフレッシュ」
「うん、また来ようね」
「まだ、お昼まわったところだよ。閉園まで4時間以上ある」

「だって、今日1日じゃ、全部まわりきれない。いや、全部まわっても、もっと1つ1つ、ゆっくりとまわってみたい」
「わかったわかった。明里が気に入ってくれて良かったよ」

・・・・・・

 それから閉園の17時まで、自転車に乗って走りまわった。
 閉園後、新宿に戻ったのは、6時を過ぎた頃だった。
 明里は、両腕を上げて、大きく背伸びをした。

「あ~あ、今日は本当に楽しかった」
 明里にとって、楽しい1日が終わってしまった。
 訪れる虚しさを追い払うような感だ。

「今日はまだ終わってないよ」
「えっ」
「これから渋谷に出て、夜のショッピングと食事をしよう」
 明里は、固まっている。

「それとも、疲れたのなら、まっすぐ帰る?」
「いくいくいく」
 明里は大喜び、私の腕を両手で掴んで
「……でも……渋谷で夜の食事っていったら……高いよ」
「大丈夫だよ」
「でも……」

 渋谷についてからは、明里が私をひっぱって歩く。
 正直、私は渋谷をあまりよく知らない。
 さすがに女子高生だけあって、色々な店を知っている。

 何か欲しい物があれば買ってあげようと思っていたが、そんな様子もない。
 私と一緒に見てまわるのが楽しいらしい。

「おじさんと、こんなデート、したかった」
「こんな事でよければ、また来よう」
「本当?」
 明里は、嬉しそうに笑顔を返した。

「そろそろどこかで食事しないか?」
「別の駅に移動して、ファミレスへ行きたい」
「渋谷でもいいよ、どこか入ってみたいお店、ないの?」
「ファミレスの方がいいな~……」

 明里の提案を受け入れて、2つ先の駅へ移動し、ファミレスに入った。
 明里と同じような高校生がたくさん居る。
 何かしら、良からぬ視線を感じる。

「何だろ~な~」
 私の独り言に、明里が返す。
「視線感じる?」
「……どのように見られてるんだろ?」
「親子」

「だったら、いいな~」
「エンコー」
「……」

 さすがにこの装いで、それもファミレスで援交もないだろう。
 そんな事を自分に言い聞かせ、冷やかな視線を無視して食事を終えた。

 マンションに着いたのは10時をまわっていた。
 その日の夜も、明里は私の布団に入って来た。

 私は、明里に話しかけた。
「明日から、また忙しい毎日が始まる」
「大丈夫、今日、元気一杯手に入れたから」

「明日からは2週間目という事で、だいぶ体も慣れてきたと思う」
「うん。なんとなくそんな感じする」
「来週中に、厳選英文0.7倍速ですらすら読めるようになるといいな」
「がんばります」

「それが出来たら、来週またどこかへ遊びに行こう」
 明里は布団から飛び起きて、私に抱き付いてきた。
 明里の頬から熱を帯びた感情が伝わってくる。

 ……別に明里を束縛している訳ではない。
 遊びたければ、自由に遊びに行けばいい。
 明里にとっては、私と遊びに行く事が、嬉しいのだろうか?

「今日は疲れただろうから、早く寝よう」
「はい」
「この1週間、がんばったね」
「おじさんのおかげです」
「来週もがんばろう」
「絶対がんばります」

 明里はベッドから降りて、自分の部屋へ帰っていった。
 今日は、いい運動になった。
 その後、私はすぐに眠りについた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:約束のご褒美
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語

六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

処理中です...