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第1章
1-06 最初の1週間
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明里には、最初の1週間が一番つらいと伝えた。
私の言葉を信じて、最初の1週間を乗り超える事に強く意識を向けた。
しかし始めて5日目、このまま続ける自信がないと言ってきた。
3日坊主という言葉がある。
人間は生活リズムを大きく変えると、精神と体に変調をきたす。
防衛本能が働いて、3日以上続けられないように出来ている。
しかし、それを乗り越えなければならない時、自分を騙さなければならない。
苦しいのは、最初の1週間と伝えた。
それに対して、5日間続けられた。上出来である。
「苦しいのは最初の1週間、あと2日だから、がんばろうよ」
「がんばりたいけど、頭がパンクしそう」
問題は英語である。
おこなっている英語の勉強は、言わばトレーニング。
だから頭がパンクする事はない。
言ってみればストレスである。
しかし、90分間の音読と、付箋紙を貼った文の繰り返しの音読。
並大抵の精神力では、続かない。
「わかった、あと2日乗り越えたら、次の日の日曜日、どこか遊びに行こう」
「えっ、本当」
明里は体を乗り出した。
「いくいくいく。おじさんとデート」
「あと2日、がんばれそう?」
「なんか、急に鬱の気持ちが晴れてきたみたい」
「1週間続ければ、この生活にも慣れてくる」
「どこ行く?渋谷かな~六本木もいいな~ショッピングしてランチして~でもその前に着ていく服どうしよう。友達に会ったら何て言い訳しよう。そうだ、私ってわからないように変装すれば……」
「〇〇森林公園へ行こう」
「……何それ」
「ここから1時間半ぐらい」
明里は、拍子抜けしたようだ。
まあ、女子高生が遊びに行く所ではない。
本来なら、お洒落な街でのショッピングや食事が定番だろう。
「明里は自転車乗れる?」
「……乗れるけど」
「たまには、おじさんに付き合ってよ」
「……」
明里は、しばらく下を向いていたが、顔を上げて言った。
「しょうがないな~このJKが、おじさんに付き合ってあげる」
明里は、私に対して負い目を感じているようだ。
それで『おじさんに付き合ってよ』という私の言葉が、明里には嬉しかったようだ。
・・・・・・
勢いに乗って、最初の1週間を乗り越えた。
その日の夜、明里は私のベッドに入ってきた。
「おじさんのお布団に入ってお話しするの、しばらくぶり。明日だね」
「ショッピングじゃなくて、残念?」
「ネットで〇〇森林公園を調べた。ちょっと楽しそう」
「とても広い公園だよ。そこを自転車借りて走り回るんだ」
「天気が心配、今日雨だから明日あがってくれるといいな」
「開園は9時30分だから、雨でなければ、明日8時出発。少し早いけど、生活リズム壊したくないから、いつもどおり6時起床」
「はいっ」
「それから、ゆっくり朝食をとって、準備して……準備っていっても、何もないけどね」
しばらく布団の中で話をした後、明里はベッドから降りた。
「おじさん、おやすみなさい。明日楽しみだね」
「ああ、おやすみ」
明里は自分の部屋へ帰って行った。
布団には、明里のぬくもり……それと明里の移り香が残っている。
湯上り後のシャンプーと石鹸の匂い……。
やれやれ……明里の無自覚さには、困ったものである。
……いかん、私の私自身が……。
これでは、眠れないではないか……。
私がようやく寝ついたのは2時をまわった頃だった。
・・・・・・
次の日、目を覚ますと7時を過ぎていた。
リビングへ向かうと、明里は朝食の準備を整えていた。
「すまん、寝過ごした」
「いいよ、おじさん疲れてるでしょう」
身支度を済ませ、明里と一緒に朝食を頂いた。
その後、コーヒーを入れてくれた。
こんなにゆっくりとした朝は、ひさしぶりである。
昨日の雨はあがってる。
「行こう!おじさん!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:朝もやの中を
私の言葉を信じて、最初の1週間を乗り超える事に強く意識を向けた。
しかし始めて5日目、このまま続ける自信がないと言ってきた。
3日坊主という言葉がある。
人間は生活リズムを大きく変えると、精神と体に変調をきたす。
防衛本能が働いて、3日以上続けられないように出来ている。
しかし、それを乗り越えなければならない時、自分を騙さなければならない。
苦しいのは、最初の1週間と伝えた。
それに対して、5日間続けられた。上出来である。
「苦しいのは最初の1週間、あと2日だから、がんばろうよ」
「がんばりたいけど、頭がパンクしそう」
問題は英語である。
おこなっている英語の勉強は、言わばトレーニング。
だから頭がパンクする事はない。
言ってみればストレスである。
しかし、90分間の音読と、付箋紙を貼った文の繰り返しの音読。
並大抵の精神力では、続かない。
「わかった、あと2日乗り越えたら、次の日の日曜日、どこか遊びに行こう」
「えっ、本当」
明里は体を乗り出した。
「いくいくいく。おじさんとデート」
「あと2日、がんばれそう?」
「なんか、急に鬱の気持ちが晴れてきたみたい」
「1週間続ければ、この生活にも慣れてくる」
「どこ行く?渋谷かな~六本木もいいな~ショッピングしてランチして~でもその前に着ていく服どうしよう。友達に会ったら何て言い訳しよう。そうだ、私ってわからないように変装すれば……」
「〇〇森林公園へ行こう」
「……何それ」
「ここから1時間半ぐらい」
明里は、拍子抜けしたようだ。
まあ、女子高生が遊びに行く所ではない。
本来なら、お洒落な街でのショッピングや食事が定番だろう。
「明里は自転車乗れる?」
「……乗れるけど」
「たまには、おじさんに付き合ってよ」
「……」
明里は、しばらく下を向いていたが、顔を上げて言った。
「しょうがないな~このJKが、おじさんに付き合ってあげる」
明里は、私に対して負い目を感じているようだ。
それで『おじさんに付き合ってよ』という私の言葉が、明里には嬉しかったようだ。
・・・・・・
勢いに乗って、最初の1週間を乗り越えた。
その日の夜、明里は私のベッドに入ってきた。
「おじさんのお布団に入ってお話しするの、しばらくぶり。明日だね」
「ショッピングじゃなくて、残念?」
「ネットで〇〇森林公園を調べた。ちょっと楽しそう」
「とても広い公園だよ。そこを自転車借りて走り回るんだ」
「天気が心配、今日雨だから明日あがってくれるといいな」
「開園は9時30分だから、雨でなければ、明日8時出発。少し早いけど、生活リズム壊したくないから、いつもどおり6時起床」
「はいっ」
「それから、ゆっくり朝食をとって、準備して……準備っていっても、何もないけどね」
しばらく布団の中で話をした後、明里はベッドから降りた。
「おじさん、おやすみなさい。明日楽しみだね」
「ああ、おやすみ」
明里は自分の部屋へ帰って行った。
布団には、明里のぬくもり……それと明里の移り香が残っている。
湯上り後のシャンプーと石鹸の匂い……。
やれやれ……明里の無自覚さには、困ったものである。
……いかん、私の私自身が……。
これでは、眠れないではないか……。
私がようやく寝ついたのは2時をまわった頃だった。
・・・・・・
次の日、目を覚ますと7時を過ぎていた。
リビングへ向かうと、明里は朝食の準備を整えていた。
「すまん、寝過ごした」
「いいよ、おじさん疲れてるでしょう」
身支度を済ませ、明里と一緒に朝食を頂いた。
その後、コーヒーを入れてくれた。
こんなにゆっくりとした朝は、ひさしぶりである。
昨日の雨はあがってる。
「行こう!おじさん!」
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次回:朝もやの中を
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