【完結】おじさんが家出少女を自宅で囲う

青村砂希

文字の大きさ
上 下
6 / 88
第1章

1-06 最初の1週間

しおりを挟む
 明里には、最初の1週間が一番つらいと伝えた。
 私の言葉を信じて、最初の1週間を乗り超える事に強く意識を向けた。
 しかし始めて5日目、このまま続ける自信がないと言ってきた。

 3日坊主という言葉がある。
 人間は生活リズムを大きく変えると、精神と体に変調をきたす。
 防衛本能が働いて、3日以上続けられないように出来ている。

 しかし、それを乗り越えなければならない時、自分を騙さなければならない。
 苦しいのは、最初の1週間と伝えた。
 それに対して、5日間続けられた。上出来である。

「苦しいのは最初の1週間、あと2日だから、がんばろうよ」
「がんばりたいけど、頭がパンクしそう」

 問題は英語である。
 おこなっている英語の勉強は、言わばトレーニング。
 だから頭がパンクする事はない。
 言ってみればストレスである。

 しかし、90分間の音読と、付箋紙を貼った文の繰り返しの音読。
 並大抵の精神力では、続かない。

「わかった、あと2日乗り越えたら、次の日の日曜日、どこか遊びに行こう」
「えっ、本当」
 明里は体を乗り出した。

「いくいくいく。おじさんとデート」
「あと2日、がんばれそう?」
「なんか、急に鬱の気持ちが晴れてきたみたい」
「1週間続ければ、この生活にも慣れてくる」

「どこ行く?渋谷かな~六本木もいいな~ショッピングしてランチして~でもその前に着ていく服どうしよう。友達に会ったら何て言い訳しよう。そうだ、私ってわからないように変装すれば……」
「〇〇森林公園へ行こう」

「……何それ」
「ここから1時間半ぐらい」

 明里は、拍子抜けしたようだ。
 まあ、女子高生が遊びに行く所ではない。
 本来なら、お洒落な街でのショッピングや食事が定番だろう。
「明里は自転車乗れる?」
「……乗れるけど」
「たまには、おじさんに付き合ってよ」
「……」

 明里は、しばらく下を向いていたが、顔を上げて言った。
「しょうがないな~このJKが、おじさんに付き合ってあげる」

 明里は、私に対して負い目を感じているようだ。
 それで『おじさんに付き合ってよ』という私の言葉が、明里には嬉しかったようだ。

 ・・・・・・

 勢いに乗って、最初の1週間を乗り越えた。
 その日の夜、明里は私のベッドに入ってきた。

「おじさんのお布団に入ってお話しするの、しばらくぶり。明日だね」
「ショッピングじゃなくて、残念?」
「ネットで〇〇森林公園を調べた。ちょっと楽しそう」
「とても広い公園だよ。そこを自転車借りて走り回るんだ」

「天気が心配、今日雨だから明日あがってくれるといいな」
「開園は9時30分だから、雨でなければ、明日8時出発。少し早いけど、生活リズム壊したくないから、いつもどおり6時起床」
「はいっ」
「それから、ゆっくり朝食をとって、準備して……準備っていっても、何もないけどね」

 しばらく布団の中で話をした後、明里はベッドから降りた。
「おじさん、おやすみなさい。明日楽しみだね」
「ああ、おやすみ」
 明里は自分の部屋へ帰って行った。

 布団には、明里のぬくもり……それと明里の移り香が残っている。
 湯上り後のシャンプーと石鹸の匂い……。
 やれやれ……明里の無自覚さには、困ったものである。

 ……いかん、私の私自身が……。
 これでは、眠れないではないか……。
 私がようやく寝ついたのは2時をまわった頃だった。

・・・・・・

 次の日、目を覚ますと7時を過ぎていた。
 リビングへ向かうと、明里は朝食の準備を整えていた。

「すまん、寝過ごした」
「いいよ、おじさん疲れてるでしょう」

 身支度を済ませ、明里と一緒に朝食を頂いた。
 その後、コーヒーを入れてくれた。
 こんなにゆっくりとした朝は、ひさしぶりである。
 昨日の雨はあがってる。

「行こう!おじさん!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 次回:朝もやの中を
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

明智さんちの旦那さんたちR

明智 颯茄
恋愛
 あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。  奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。  ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。  *BL描写あり  毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

とある高校の淫らで背徳的な日常

神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。 クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。 後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。 ノクターンとかにもある お気に入りをしてくれると喜ぶ。 感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。 してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

兄になった姉

廣瀬純一
大衆娯楽
催眠術で自分の事を男だと思っている姉の話

処理中です...