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第1章
1-04 明里のこれから
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明里との生活を始めてから2週間がたった。
夕食を終えた後、私は明里に話しかけた。
「明里は高校卒業したら、どうするの?」
「うん……どこかに就職して……お給料もらえるから、本当の意味で自立出来る。それからは、おじさんに迷惑かける事もなくなるね」
「別に迷惑とは思ってないけど、そっか、自立するんだ」
「変態おじさんに襲われる前に、ここから逃げ出すんだ~」
「そうか……うん……それがいい。応援するよ」
「……」
明里は下を向いたまま黙り込んでしまった。
しばらく、沈黙が続いた。
「……どうした?」
「……私、このまま、ここに居ちゃダメですか」
眼に涙をためている。
「ちゃんと働いて生活費払いますから、卒業した後も、ここに居ちゃダメですかぁ」
明里の眼は、涙で溢れていた。
「明里、少し落ち着いて話し合おう。まずは顔を洗ってきなさい。少し頭を冷やして、今後の事について話をしよう」
明里は顔を洗い、落ち着いた様子を見せた。
「では、今後の事について話をしましょう。明里は高校を卒業したら就職したいと言ったけど……それは私に迷惑かけたくない、という気持ちが大きいのかな」
明里は下を向いたまま、うなずいた。
「さっきも言ったように、私は迷惑だなんて思ってないよ。たしかに生活費は私が出しているが、そんなお金、大した事ない。明里と一緒に暮らす事で、私は明里からそれ以上のものを受け取っている」
明里は顔を上げた。
「私、何もしていません」
「いや、明里と暮らしはじめてから、行き詰ってた今の仕事に対して、色々なアイディアが浮かぶようになった」
明里は、何を言っているのか解らない様子。
「まあ、わからなくていいです」
「……」
「さて、話を戻すけど、私は明里がここで生活する事に対して、迷惑だなんて思っていません。その事を踏まえた上で私からの提案なんだけど、大学への進学……考えてみない?」
「……えっ」
明里は、思いも寄らない提案に驚いている。
「明里が通っている高校は、進学に力、入れてるよね。みんな大学へ行くんじゃないの?」
「だって!……大学に入るお金ないし」
「お金については心配しなくていい。私が提供しよう」
「そんなぁ、大学卒業までの学費って、大金ですよ!」
「人生の中で考えれば、それは大した問題じゃあない」
しばらく沈黙が続いた。
「でも……今からじゃ受験勉強、間に合わない」
「まだ、受験まで8ヵ月ある。明里は大学行きたくないの?」
「行きたいよ! 本当は、すんごく行きたいよ!」
「だったら、ここにチャンスがあると考えよう。それを掴むか諦めるかは明里次第」
明里は下を向いている。
「学校の友達も、みんな大学へ行くんじゃない?大学で学ぶ事で、見方、考え方、捉え方が養われる。それは、一方的に先生が生徒に教える高校までの授業とは、また1つ違うよ。それと、大学で色々な人との出会いの中で、色々学んでほしい。明里が大学へ行きたいと言うなら、応援するよ」
明里は、真剣に考え始めた。
「で、明里は、どこの大学目指したいの?」
「……大学なんて、高2で諦めたから、全然考えてなかった」
「理系か文系か?どっちだろう」
「高1までは、まじめに勉強してたけど、自分はどっちへ行きたいとかも、考えてこなかった……」
「わかった。明日、試験しよう。そして今後の計画を立てよう」
「え~っ、私、全然勉強してないよ~」
「わかっている。だからこれから勉強するの!」
・・・・・・
次の日、英、数、国、理、社の試験を行った。
結果としては、特に良い科目もなければ、悪い科目もない。
苦手な科目が無い事を考えると国公立を目指すのもアリだが、全国模試レベルで評価すると偏差値はだいたい40台前半。
今からなら、都心の私立の方が良いかな……。
「わかりました。今現在、明里が特に目指したい大学がないという事で、目標大学は、〇〇大学レベルとしましょう」
「えええええ~〇〇大学なんて絶対無理だよ!今の私は学年で下の下だし、私の高校だったら上の上でないと受からないよ~」
「まあ、〇〇大学っていったら難関大学としての位置付けだからね。明里はこの先の8ヵ月で、そこまで成績を上げるんだ」
「全然なんとかなる気がしない!」
「まずは、理系、文系、どちらに進むか決めよう。理系なら私が教えられるが、文系なら予備校に通った方がいいだろうな」
「えっ、おじさんが教えてくれるの?」
「教えられるけど、受験勉強のアドバイザーと考えてほしい」
「私、理系にします!」
「おい、そんなに簡単に決めちゃっていいの?」
「中学の時、理科部でした」
「そ、そう……。でも、今から理系の受験勉強、大変だよ」
「今からなら、理系も文系も変わらない」
「……わかった」
私は、今後のスケジュールを立てた。
受験日までを逆算して、なんとか合格する為のスケジュールだ。
そして明里に、ざっくりと伝えた。
「むりむりむりむりむり、絶対無理、死んじゃうよ~」
「この程度が無理なら、変態おじさんに、ついて来れない!」
「そんなの、ついて行かないよぉ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:過酷な生活の始まり
明里さん!変態おじさんに、ついて行きましょう!
夕食を終えた後、私は明里に話しかけた。
「明里は高校卒業したら、どうするの?」
「うん……どこかに就職して……お給料もらえるから、本当の意味で自立出来る。それからは、おじさんに迷惑かける事もなくなるね」
「別に迷惑とは思ってないけど、そっか、自立するんだ」
「変態おじさんに襲われる前に、ここから逃げ出すんだ~」
「そうか……うん……それがいい。応援するよ」
「……」
明里は下を向いたまま黙り込んでしまった。
しばらく、沈黙が続いた。
「……どうした?」
「……私、このまま、ここに居ちゃダメですか」
眼に涙をためている。
「ちゃんと働いて生活費払いますから、卒業した後も、ここに居ちゃダメですかぁ」
明里の眼は、涙で溢れていた。
「明里、少し落ち着いて話し合おう。まずは顔を洗ってきなさい。少し頭を冷やして、今後の事について話をしよう」
明里は顔を洗い、落ち着いた様子を見せた。
「では、今後の事について話をしましょう。明里は高校を卒業したら就職したいと言ったけど……それは私に迷惑かけたくない、という気持ちが大きいのかな」
明里は下を向いたまま、うなずいた。
「さっきも言ったように、私は迷惑だなんて思ってないよ。たしかに生活費は私が出しているが、そんなお金、大した事ない。明里と一緒に暮らす事で、私は明里からそれ以上のものを受け取っている」
明里は顔を上げた。
「私、何もしていません」
「いや、明里と暮らしはじめてから、行き詰ってた今の仕事に対して、色々なアイディアが浮かぶようになった」
明里は、何を言っているのか解らない様子。
「まあ、わからなくていいです」
「……」
「さて、話を戻すけど、私は明里がここで生活する事に対して、迷惑だなんて思っていません。その事を踏まえた上で私からの提案なんだけど、大学への進学……考えてみない?」
「……えっ」
明里は、思いも寄らない提案に驚いている。
「明里が通っている高校は、進学に力、入れてるよね。みんな大学へ行くんじゃないの?」
「だって!……大学に入るお金ないし」
「お金については心配しなくていい。私が提供しよう」
「そんなぁ、大学卒業までの学費って、大金ですよ!」
「人生の中で考えれば、それは大した問題じゃあない」
しばらく沈黙が続いた。
「でも……今からじゃ受験勉強、間に合わない」
「まだ、受験まで8ヵ月ある。明里は大学行きたくないの?」
「行きたいよ! 本当は、すんごく行きたいよ!」
「だったら、ここにチャンスがあると考えよう。それを掴むか諦めるかは明里次第」
明里は下を向いている。
「学校の友達も、みんな大学へ行くんじゃない?大学で学ぶ事で、見方、考え方、捉え方が養われる。それは、一方的に先生が生徒に教える高校までの授業とは、また1つ違うよ。それと、大学で色々な人との出会いの中で、色々学んでほしい。明里が大学へ行きたいと言うなら、応援するよ」
明里は、真剣に考え始めた。
「で、明里は、どこの大学目指したいの?」
「……大学なんて、高2で諦めたから、全然考えてなかった」
「理系か文系か?どっちだろう」
「高1までは、まじめに勉強してたけど、自分はどっちへ行きたいとかも、考えてこなかった……」
「わかった。明日、試験しよう。そして今後の計画を立てよう」
「え~っ、私、全然勉強してないよ~」
「わかっている。だからこれから勉強するの!」
・・・・・・
次の日、英、数、国、理、社の試験を行った。
結果としては、特に良い科目もなければ、悪い科目もない。
苦手な科目が無い事を考えると国公立を目指すのもアリだが、全国模試レベルで評価すると偏差値はだいたい40台前半。
今からなら、都心の私立の方が良いかな……。
「わかりました。今現在、明里が特に目指したい大学がないという事で、目標大学は、〇〇大学レベルとしましょう」
「えええええ~〇〇大学なんて絶対無理だよ!今の私は学年で下の下だし、私の高校だったら上の上でないと受からないよ~」
「まあ、〇〇大学っていったら難関大学としての位置付けだからね。明里はこの先の8ヵ月で、そこまで成績を上げるんだ」
「全然なんとかなる気がしない!」
「まずは、理系、文系、どちらに進むか決めよう。理系なら私が教えられるが、文系なら予備校に通った方がいいだろうな」
「えっ、おじさんが教えてくれるの?」
「教えられるけど、受験勉強のアドバイザーと考えてほしい」
「私、理系にします!」
「おい、そんなに簡単に決めちゃっていいの?」
「中学の時、理科部でした」
「そ、そう……。でも、今から理系の受験勉強、大変だよ」
「今からなら、理系も文系も変わらない」
「……わかった」
私は、今後のスケジュールを立てた。
受験日までを逆算して、なんとか合格する為のスケジュールだ。
そして明里に、ざっくりと伝えた。
「むりむりむりむりむり、絶対無理、死んじゃうよ~」
「この程度が無理なら、変態おじさんに、ついて来れない!」
「そんなの、ついて行かないよぉ!」
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次回:過酷な生活の始まり
明里さん!変態おじさんに、ついて行きましょう!
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