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第1章
1-02 まあ、こんなもんだろう
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私は、リビング テーブルの上で、買ってきた弁当を2つに分け、冷蔵庫にあった食材を付け足した。
コーヒーカップは1つしかない為、ガラスのコップにミルクを入れて温めた。
明里は入浴を済ませ、私が貸したトレーナーを着てバスルームから出てきた。
「おなかすいてるでしょう、どうぞ」
「すみません、ありがとうございます」
「明日から、ここから学校へ通う事になるのかな?」
「ご迷惑をお掛けします」
「あれ?学校の教科書なんかは?」
「教室のロッカーに入れてあります」
「そう。必要な物は明里に提供した部屋へ持ってきていいから」
「ありがとうございます」
「私が帰宅するのは8時頃だから、それまでテレビ見るなり、勉強するなり、自由に過ごしなさい。
勉強机は用意出来ないから、このテーブルを使うように。
それと、私にも社会的立場というのがあるから、この事はご内密に。
マンションで他の住人に会ったら、私の姪という事にしておいて」
「わかりました」
その日、ささやかな夕食を済ませ、12時をまわった頃、解散した。
・・・・・・
次の朝、起きてリビングに向かうと、明里も部屋から出てきた。
「おはようございます。おじさん」
「ああ、おはよう。昨日は寝れた?」
「……ちょっと……寝れませんでした」
「大丈夫?」
「平気です」
「枕、合わなかった?」
「いえ……おじさん、来ると思って」
「え?」
「いえ、なんでもないです」
「朝食、トーストとコーヒーだけど、我慢してね」
「いえ、ありがとうございます」
私は朝食を済ませ、出勤の支度をした。
「私は、もう出るから、玄関のカギよろしく」
私は明里を残して会社へ向かった。
・・・・・・
その日、帰宅すると、部屋は真っ暗だった。
テーブルの上に用意したお金は、なくなっている。
まあ、こんなもんだろう。
ある意味、面倒事から解放された事に、ほっとしていた。
その一方で……いつものリビングが広く感じられた。
「あれ?」
炊飯器の保温ランプが付いている。
開けると炊き立てのご飯が入っていた。
その時、玄関でガチャというカギが開く音がした。
「ごめんなさい。7時までに帰って夕食の支度しようと思ってたのに、勝手がつかめなくて、遅くなっちゃった」
「夕食?」
「おじさん、夕食これからでしょう」
「何作るの?」
「カレーライス。その為の食材買ってきた」
「……大丈夫?」
「大丈夫。用意していただいたお金で、食材と、私の着替え、パジャマ、エプロンを買ってきました」
明里は、買ってきたエプロンを付けてキッチンに向かった。
女子高の制服にエプロン姿、それだけで反則である。
明里は馴れた手つきで、ニンジン、じゃがいもの皮をむいている。
夕食が出来上がったのは9時を過ぎた頃だった。
キッチンテーブルに夕食が並べられた。
明里と向かい合わせに座り、二人で「いただきます」と言って食事を始めた。
……ちょっと変わった味だ。
「隠し味に、ココアが入ってます」
「なるほど」
……悪くない……これが今どきの女子高生の料理か。
夕食を済ませ、明里には先に入浴するよう伝えた。
明里はキッチンを片付け、食器を食器洗浄機に入れてバスルームに向かった。
私は、これから必要になりそうな物をネットで検索した。
しばらくすると、明里がバスルームから出てきた。
今日買ったと思えるパジャマを着ている。
色は薄い緑、何の模様もない少し大きめのシンプルなパジャマだ。
「お風呂頂きました」
「はい。ではおやすみなさい」
「……おやすみなさい」
明里は軽く会釈して、自分の部屋へ入っていった。
私は入浴を済ませ、自分の部屋のベッドに入って寝た。
・・・・・・
朝起きるとリビングの方から音がする。
リビングに向かうと明里が朝食の準備をしてくれていた。
明里は私を見るなり「おはようございます」と挨拶してくれた。
「ああ、おはよう」
「野菜トーストサンド作ってみました。おじさん苦手な物ありますか?」
「いや、特に好き嫌いはない。ありがとう」
私は朝の身支度を済ませ、テーブルに着いた。
テーブルに降りそそぐ日差しが心地よい。
キッチンに広がるトーストの香りとコーヒーの香り。
いつもの朝食と変わりないのだが……。
・・・・・・
仕事を終えて帰宅すると、明里が玄関まで出迎えてくれた。
明里は夕食の支度を終えて待っていてくれた。
明里と向かい合わせてテーブルに着く。
「いただきます」と言って夕食を頂く。
一人で生活をしていると、食事前の挨拶すら、おろそかになってしまう。
明里と一緒に食事をする。
こんな生活も……良いものだ。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次回:おじさんは変態さん
コーヒーカップは1つしかない為、ガラスのコップにミルクを入れて温めた。
明里は入浴を済ませ、私が貸したトレーナーを着てバスルームから出てきた。
「おなかすいてるでしょう、どうぞ」
「すみません、ありがとうございます」
「明日から、ここから学校へ通う事になるのかな?」
「ご迷惑をお掛けします」
「あれ?学校の教科書なんかは?」
「教室のロッカーに入れてあります」
「そう。必要な物は明里に提供した部屋へ持ってきていいから」
「ありがとうございます」
「私が帰宅するのは8時頃だから、それまでテレビ見るなり、勉強するなり、自由に過ごしなさい。
勉強机は用意出来ないから、このテーブルを使うように。
それと、私にも社会的立場というのがあるから、この事はご内密に。
マンションで他の住人に会ったら、私の姪という事にしておいて」
「わかりました」
その日、ささやかな夕食を済ませ、12時をまわった頃、解散した。
・・・・・・
次の朝、起きてリビングに向かうと、明里も部屋から出てきた。
「おはようございます。おじさん」
「ああ、おはよう。昨日は寝れた?」
「……ちょっと……寝れませんでした」
「大丈夫?」
「平気です」
「枕、合わなかった?」
「いえ……おじさん、来ると思って」
「え?」
「いえ、なんでもないです」
「朝食、トーストとコーヒーだけど、我慢してね」
「いえ、ありがとうございます」
私は朝食を済ませ、出勤の支度をした。
「私は、もう出るから、玄関のカギよろしく」
私は明里を残して会社へ向かった。
・・・・・・
その日、帰宅すると、部屋は真っ暗だった。
テーブルの上に用意したお金は、なくなっている。
まあ、こんなもんだろう。
ある意味、面倒事から解放された事に、ほっとしていた。
その一方で……いつものリビングが広く感じられた。
「あれ?」
炊飯器の保温ランプが付いている。
開けると炊き立てのご飯が入っていた。
その時、玄関でガチャというカギが開く音がした。
「ごめんなさい。7時までに帰って夕食の支度しようと思ってたのに、勝手がつかめなくて、遅くなっちゃった」
「夕食?」
「おじさん、夕食これからでしょう」
「何作るの?」
「カレーライス。その為の食材買ってきた」
「……大丈夫?」
「大丈夫。用意していただいたお金で、食材と、私の着替え、パジャマ、エプロンを買ってきました」
明里は、買ってきたエプロンを付けてキッチンに向かった。
女子高の制服にエプロン姿、それだけで反則である。
明里は馴れた手つきで、ニンジン、じゃがいもの皮をむいている。
夕食が出来上がったのは9時を過ぎた頃だった。
キッチンテーブルに夕食が並べられた。
明里と向かい合わせに座り、二人で「いただきます」と言って食事を始めた。
……ちょっと変わった味だ。
「隠し味に、ココアが入ってます」
「なるほど」
……悪くない……これが今どきの女子高生の料理か。
夕食を済ませ、明里には先に入浴するよう伝えた。
明里はキッチンを片付け、食器を食器洗浄機に入れてバスルームに向かった。
私は、これから必要になりそうな物をネットで検索した。
しばらくすると、明里がバスルームから出てきた。
今日買ったと思えるパジャマを着ている。
色は薄い緑、何の模様もない少し大きめのシンプルなパジャマだ。
「お風呂頂きました」
「はい。ではおやすみなさい」
「……おやすみなさい」
明里は軽く会釈して、自分の部屋へ入っていった。
私は入浴を済ませ、自分の部屋のベッドに入って寝た。
・・・・・・
朝起きるとリビングの方から音がする。
リビングに向かうと明里が朝食の準備をしてくれていた。
明里は私を見るなり「おはようございます」と挨拶してくれた。
「ああ、おはよう」
「野菜トーストサンド作ってみました。おじさん苦手な物ありますか?」
「いや、特に好き嫌いはない。ありがとう」
私は朝の身支度を済ませ、テーブルに着いた。
テーブルに降りそそぐ日差しが心地よい。
キッチンに広がるトーストの香りとコーヒーの香り。
いつもの朝食と変わりないのだが……。
・・・・・・
仕事を終えて帰宅すると、明里が玄関まで出迎えてくれた。
明里は夕食の支度を終えて待っていてくれた。
明里と向かい合わせてテーブルに着く。
「いただきます」と言って夕食を頂く。
一人で生活をしていると、食事前の挨拶すら、おろそかになってしまう。
明里と一緒に食事をする。
こんな生活も……良いものだ。
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次回:おじさんは変態さん
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