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第23話 一人ぼっちの魔術師
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あの頃のあたしは度重なる挫折で心が折れかける寸前だった。
故郷では兄の才能に徹底的に打ち負かされ、両親にも期待外れだと落胆される。
魔力量は魔人族では平均レベルではあったが構成は苦手で、他の子に比べて術の覚えが悪く、いつも馬鹿にされていたものだ。
魔人族の存在意義は魔術だ。
魔術の使えない魔人族は魔人に在らずと言われる程に、その力が重要視されていた。
その点では、兄は優秀だった。
数々の魔術を扱い、威力も桁違い。
大規模な魔獣討伐作戦にも子供ながらに出撃し、手柄を立てる程に。
あたしは兄が苦手だった。
両親は優秀な兄を引き合いに出して私を蔑み、兄も兄で出来の悪いあたしをいつも見下していたから。
『お前は本当に愚かだな』
あたしの魔術を見る度に兄はそんな事を口にしていた。
ある時、村が大騒ぎになった。
ある魔獣討伐戦の時に、兄がとんでもない魔術を使用したらしい。
混沌の力を使用した魔術で、あたし達の故郷の側にある地形を変える程の威力の魔術。
大人達は狂喜した。
天才だ。
嘗ての魔王を彷彿させる魔術だと。
興味を示したあたしは、一度兄にその魔術を見せて欲しいとお願いした事がある。
兄は面倒くさそうな顔をしていたが、あたしの目の前でその魔術を使ってみせた。
とんでもない魔術だった。
例えるならば一本の黒い槍。
しかし、その槍は兄の手から離れると、凄まじい速度で飛んでいき、着弾と同時に岩山一つを吹き飛ばした。
大した岩山ではない。
せいぜい小山と例える程度の山だ。
しかし、地形を変えたその術は、明らかにそれまでの術とは常軌を逸していた。
『お前には一生かかっても使えぬだろう』
その言葉に、あたしは初めて兄に対して対抗心を持った。
兄よりももっと強い術ならばみんなに認めてもらえるだろう。
そう思い、兄とは正反対の光の術。それも、剣の魔術を覚えようとした。
しかし、元々構成力に乏しかったあたしにはうまくいかず、ある程度形どった魔力もすぐに霧散させてしまった。
威力。
範囲。
距離。
本来魔力の振り分けに必要な三要素を、威力のみに集中し、投擲することで距離と範囲もカバーする。
理屈はわかる。
だからこそ、あたしも威力のみに魔力を絞った剣を作り出そうとしたが、何度やってもうまくいかなかった。
『お前に才能はない』
兄は何度も口にした。
あたしは悔しかった。
同じ血が流れているのに何が違うのか。
兄よりも努力しているのに、どうしてうまくいかないのか。
そうしているうちに、気がついたらあたしは逃げていた。
兄のいる、家族のいた故郷を捨てて。
あたしは構成力は乏しかったが、治癒魔術だけは得意だった。
だから、最悪の状態になってもなんとかなると、人間族の大陸に渡る船の上でも楽観的に考えていたのは確かだ。
それに、人間に比べればあたし程度の魔術といえども役には立つだろう。そう思っていた。
子供だったんだと思う。
人間族の街について待っていたのは差別と迫害。
痛めつけられて追いかけられて。
なんとか治癒魔術を使いながら逃げて。
自分が魔人族である事を隠して逃げ続けて。
気が付いたら遥か北のフレイランドの山の中まで逃げ込んでいた。
きっかけはその村の住人達は魔人であるあたしに対しても差別しなかったからだ。
公共の馬車にも乗せてもらえないあたしに対しても、普通に接してくれた。馬車で自分達の村まで連れてきてくれた。
あたしは精神的にかなり参っていたこともあり、しばらくその村で暮らそうと思った。
でも、初めての冬で、その思いは打ち砕かれた。
魔大陸にも冬はある。
しかし、氷や雪の精霊は存在しない。
そんな場所から来たあたしにとって、その村の寒さは地獄そのものだった。
村人達は上着を作ってくれたり、暖の取れた家に招待してくれたりしてくれたが、そんなものでは全然我慢できなかった。
我慢できなくなったあたしは、下山する事を試みたが、何度やってもうまくいかなかった。
一度本気で死にかけた。
どうしようもなくなったあたしは、力が削がれる事がわかっていながら、転移魔術用のマーキングをその村に施した。
表面上は特に力を削がれたようには感じなかった。
度重なる挑戦でそれなりに扱える様になっていた炎の魔術も変わらなかった。
大丈夫なんだと安心して下山しようとしたが途中で失敗し、転移魔術を使用して村に戻り、凍傷を癒す為に回復魔術を使用しようとして、気がついた。
回復魔術がうまく使えない。
この日、あたしは絶望した。
数少ない自分の得意なものを取り上げられ、更に、無茶をする為の保険が無くなってしまった事を実感したから。
この日よりあたしは冬の山を降りる事を諦め、下山する事が出来たのは暦が春をゆうに回った頃だった。
サイレントに来たのはそんな頃だ。
力が削がれ、唯一の心の拠り所であった回復魔術が不自由になった。
炎の魔術はなんとか使うことが出来たが、せいぜい、人間の魔術師よりほんの少し強いという程度。
それも魔術だけの話で、実際に戦闘になったらあたしなど簡単に組み伏せられてしまうだろう。
魔人族というのは隠さなければならない。
見つかったら今度はただではすまない。
何しろ、回復魔術の成功率が極端に低くなってしまったのだから。
故郷から持ってきたマジックアイテムや高価な道具は既に売り尽くした。
それにより得たお金も底を尽きかけている。
もう、なにか仕事をしなければ生きていく事が出来ない。
サイレントの人達が異種族に対してあまり偏見を持っていないのは助かった。
常に耳は隠していたものの、真っ赤な目と黒髪は、あたしを魔人族だと意味付けるキーワードであったはずだ。
現に、今まではそこから怪しまれる事が多かったから。
しかし、サイレントでの生活で、そこを突っ込まれる事は無かった。
あたしは簡単な仕事をしながらなんとかその日その日を生きていたが、折れかけた心はどうにもならなかった。
どうして、魔人族たるあたしが、底辺の冒険者がやるような仕事をやっとこなしているのだろう。
どうして、あたしはこんなに弱いのだろう。
そんな日々を暮らしながらも、なんとか堪えていた精神も、ある簡単な依頼を失敗しそうになった時に本気で折れてしまった。
それは本当に簡単な仕事。
隣町まで荷物を運んで、代わりの荷物を持ち帰ってくるだけのお使いだった。
しかし、その途中で出会った野党に、あたしは完膚なきまでに叩きのめされた。
たったの3人だ。
たった3人の、しかも魔術も使えない人間にあたしは手足を拘束された。
拘束されても魔術は使える。
必死になって炎の魔術を連発したが、その度に腹を蹴られ、顔を殴られた。
痛かった。
死にたかった。
血だらけになって何度も「殺して」と叫んだと思う。
しかし、連中は下卑た笑いを浮かべながら、「こいつ幾らで売れるかな?」と口にした。
あたしはもうだめだと思った。
──その時だ。初めてその子に会ったのは。
『何をしている』
その子は言った。
真っ赤な鎧を身に纏った紅蓮の炎を思わせる赤髪。
髪は長く、後頭部で縛った髪が、まるで馬の尻尾のように風にはためいて揺れていた。
両手に剣。
一振りは透き通るような短い白刃。
もう一振りは鎧と同色の真っ赤な刃。
背は低い。恐らく、あたしよりも低かったろう。
童顔で、どこからどう見ても子供だったが、その雰囲気は歴戦の戦士そのもので……。
そう、その雰囲気は兄が纏っているものと同質のものだった。
男たちはギョッとしていた。
会ってはいけない者に会ってしまった者特有の顔。
恐らく逃げようとしたのだろう。
男の一人があたしを担ぎ上げると、残りの男も周りを囲むように走り出す。
人一人担いでいるとは言え、あたしは魔人族の少女。子供だ。
しかも、その日暮しでろくなものも食べていなかったからガリガリにやせ細っていた。
殆ど荷物にもならない重さだったろう。
しかし、その瞬間閃光が奔った。
瞬きをする間にとはこの事だろうか。
少年の体が揺れたと思ったや否や、男たちが倒れふし、あたしの手足の拘束が解かれていたのだ。
男達は3人とも右手を抑えて呻いていた。
抑えた左手の隙間からは赤い血が流れ、手首を切られた痕が見て取れた。
ひょっとしたら、筋でも切ったのかもしれない。
『去れ』
少年は言い放つ。
『今後この少女に手を出してみろ。我が『ソードマスター』の二つ名に掛けて、必ずや貴様等を滅ぼすであろう』
男達は答えない。
ただ、悲鳴を上げて逃げていった。
『大丈夫かい?』
少年はにこやかに微笑みながら手を差し伸べる。
『あ……うん』
あたしはその手を取って立ち上がる。
『この辺は物騒だからね。町まで僕が案内しよう』
『でも……』
『心配しなくてもいい。困った人を助けるのは当然の事だ』
少年はあたしの手を離すと、本当に当然のように歩き出す。
とても強い少年だ。
まるで兄のような。
しかし、兄とは正反対の弱者にも手を差し伸べる優しい性格。
『た、助けてくれてありがとう。名前、聞きたいんだけど……』
そんな少年を追いかけながら、あたしは自らを名乗るのも忘れ、少年の名前を聞いた。
少年はその言葉に振り返ると、柔らかな笑顔を向けて名乗る。
『僕はアスラ。しがない冒険者の一人だけど、ある類の人間には『ソードマスター』と言った方が通りはいいかもね』
ソードマスターアスラ。
彼がこの国を度々救った勇者である事を、あたしはこの後しばらくしてから知る事になる。
サイレントに住み着いて2年も経つ頃には、あたしは人並みの生活が出来るようになっていた。
それは、あたし自身が多少自信を取り戻した事もあったろうが、難しい依頼を受ける時、アスラが助けてくれる事が多かった事も挙げられるだろう。
彼は一介の冒険者と言っていたが、その言葉通り酒場にいる事が多く、あたしが依頼を受けるといつもどんな依頼を受けたか聞いてきた。
そして、あたし一人だと難しいと判断すると、何も言わずについてきてくれるのだ。
それはあたしにだけではなく、他の冒険者に対してもそうだった。
彼自身は殆ど自分で仕事を受ける事はなく、誰かを助ける為に行動していた。
そんな彼に、家族の様な想いを抱いたのは仕方ないことだったのかもしれない。
ひょっとしたら、自分と同い年の少年に、兄の幻影を重ねていただけだったのかもしれないけれど。
彼には妹がいるらしい。
その話を聞いたのは、何度目かの冒険を一緒にした時だった。
病弱だけど、誰にでも優しい娘なんだと、誇らしげに語っていた少年。
いつも兄に邪険にされていた私とは違いすぎて、ちょっとした嫉妬も感じた。
兄に想われる妹。
そんな兄妹象はあたしには無縁であったから。
だからこそ、あたしは決意したのかもしれない。
今度こそ兄と正面から向き合おう。
力は削がれてしまったけれど、この旅で手に入れた炎の力で、少しでもいいから兄に認めてもらいたい。
あたしは最後に大きな依頼を受けると、アスラに同行の願いをした。
彼は快く引き受けてくれた。
あたしにとってこの国での最後の仕事。
兄の影を重ねていた少年に、最後に認めてもらうために。
受けた依頼は幻獣狩り。
未開拓地の多いサイレントは、古代の幻獣が残っている地がまだ数多く存在する。
それはその一つで、数多の冒険者を返り討ちにしたという謂れのある怪物だった。
アスラは当然聞いてきた。
『どうしてこんな依頼を受けた』のかと。
あたしはただ、「自分の力を試したい」と言った。
彼は「そうか」とだけ答えた。
彼にとっては幻獣などものの数ではないのだろう。少なくともあたしはそう思っていた。
彼はこの国どころかどこに行っても恐らく最強クラスの剣士だろう。
兄と正面から渡り合ってもひょっとしたら勝ってしまうのではないかと思うほどだ。
兄は故郷では魔王の再来と言われていた。
対してアスラは勇者と呼ばれる事もある。
勇者が魔王に勝つのは世の常だ。
いかに兄の魔術が強力でも、接近戦でアスラに勝てる存在はそういないはず。
あたしはここまでアスラが苦戦する所など見た事が無かったから、本気でそう思っていたのだ。
やがて森を抜け、山岳地帯に入る。
一度途中で一夜を明かし、山岳地帯にぽっかり空いた洞窟へと入っていく。
かつての遺跡の一つとされているその洞窟は、住み着いた幻獣のせいで調査も進まず野ざらしになっているらしい。
ここの幻獣を討伐すれば調査も一気に進むという事で、破格の報酬がかけられていた。
あたし達は洞窟に入ると、洞窟内の怪物を倒していく。
幻獣ではないが強力だ。
しかし、そんな怪物たちを、アスラは物ともせずになぎ払っていく。
あたしも魔術で援護したが、洞窟内であまり炎の魔術を使用しないほうがいいと言われ、次第に援護の数も減っていった。
炎が使えなければあたしは役立たずだ。
せっかく、自信を付ける為に依頼を受けたというのに、何をやっているのか。
そんな自己嫌悪に陥った頃、そいつはあらわれた。
一つ目の怪物サイクロプスだった。
正直、その程度ならと思った。
アスラは最強の剣士だ。
唯の力自慢に負ける人間ではない。
自分の力が試せないのは仕方ないが、ここはもう彼に任せるしかないと。
しかし、戦いは思いのほか激化した。
サイクロプスの攻撃はアスラには当たらないが、彼の攻撃もそれほど効いているように見えない。
おかしい。
すぐにそう思うが、狭い洞窟の中で大きな火炎魔術を発動させる事の危険性を諭されたばかりだ。
だが、次第に押され始めたアスラに対して、あたしは思い切ってかつてどうしても出来なかった魔術を試みる。
光の剣の魔術だ。
兄に一蹴されて以来試そうともしなかった魔術。
魔力を構成、展開。
しかし、発動前に霧散する。
何度やっても同じ。
あたしは焦った。
今ではアスラが防戦一方になっている。
攻撃は当たっているのだ。
しかし、何故か相手に効いていない。
どうすればいい。
あたしは考えた。
大きな炎の魔術はダメ。
しかし、近接向けの集中魔術も発動できない。
その時あたしは思い出す。
今この瞬間で、何故こんな事を思い出したのか分からない。
しかし、思い出したのだ。
この大陸について早々売り払った武器の中に、あれと同じ材質を持った武器があった。
どうして、初めて会った時に気がつかなかったのだろう。
よく考えたら、自分と同い年の少年が、戦争を止めるだけの力を持つこと自体おかしなことではないか。
魔術師ならともかく、そんな事が出来るのは魔術師くらいでは無いか。
あたしは詠唱する。
先程の光の剣とは違う、しかし、完全には捨て切らない構成で。
あたしの得意なのは炎の魔術。
そして、あたし自身が剣を振るうイメージがつかなかったから、今までの魔術も成功しなかったのだ。
なら、‘使える人間に使ってもらえばいいだけ’。
魔術を発動する。
発動したあたしの魔術は、寸分たがわず狙った場所。魔封石製の彼の持つ白刃に吸い込まれると、轟音を上げて炎が権限した。
彼は一瞬驚いた声を上げるが、すぐに体制を立て直すと、サイクロプスの攻撃を躱しざま、炎の剣を叩き込んだ。
それで終わった。
その、たったひと振りで。
彼は歓喜し、あたしを褒め湛えた。
すばらしい魔術だと。
あたしはそんな彼の言葉を聞きながら、決めた。
故郷に帰り、今度こそ兄に自分の存在を認めさせる。と。
帰り道で彼の装備の事を聞いた。
普段は魔力で発動している彼の鎧と剣も、今回は幻獣との戦いの前に魔力を使いすぎてしまったらしい。
これは完全にあたしのせいだったので、最後に役に立ったとしても帳消しには出来ない失態だ。
しかし、彼はそんな事は気にも止めずにあたしを褒め湛えてくれた。
そして、故郷に戻る旨を告げたあたしに、寂しいと言ってくれた。
だから、あたしは兄を認めさせたらもう一度この国に来ると約束した。
彼は、その時は妹を紹介すると約束した。
あたし達は別れた。
あたしは小さな自信を手にして。
彼は変わらず国を守る小さな勇者として。
別れた後しばらくして、あたしは知った。
きっと彼は、あたしにとって、この大陸で会ったもう一人の兄だったのだと。
故郷では兄の才能に徹底的に打ち負かされ、両親にも期待外れだと落胆される。
魔力量は魔人族では平均レベルではあったが構成は苦手で、他の子に比べて術の覚えが悪く、いつも馬鹿にされていたものだ。
魔人族の存在意義は魔術だ。
魔術の使えない魔人族は魔人に在らずと言われる程に、その力が重要視されていた。
その点では、兄は優秀だった。
数々の魔術を扱い、威力も桁違い。
大規模な魔獣討伐作戦にも子供ながらに出撃し、手柄を立てる程に。
あたしは兄が苦手だった。
両親は優秀な兄を引き合いに出して私を蔑み、兄も兄で出来の悪いあたしをいつも見下していたから。
『お前は本当に愚かだな』
あたしの魔術を見る度に兄はそんな事を口にしていた。
ある時、村が大騒ぎになった。
ある魔獣討伐戦の時に、兄がとんでもない魔術を使用したらしい。
混沌の力を使用した魔術で、あたし達の故郷の側にある地形を変える程の威力の魔術。
大人達は狂喜した。
天才だ。
嘗ての魔王を彷彿させる魔術だと。
興味を示したあたしは、一度兄にその魔術を見せて欲しいとお願いした事がある。
兄は面倒くさそうな顔をしていたが、あたしの目の前でその魔術を使ってみせた。
とんでもない魔術だった。
例えるならば一本の黒い槍。
しかし、その槍は兄の手から離れると、凄まじい速度で飛んでいき、着弾と同時に岩山一つを吹き飛ばした。
大した岩山ではない。
せいぜい小山と例える程度の山だ。
しかし、地形を変えたその術は、明らかにそれまでの術とは常軌を逸していた。
『お前には一生かかっても使えぬだろう』
その言葉に、あたしは初めて兄に対して対抗心を持った。
兄よりももっと強い術ならばみんなに認めてもらえるだろう。
そう思い、兄とは正反対の光の術。それも、剣の魔術を覚えようとした。
しかし、元々構成力に乏しかったあたしにはうまくいかず、ある程度形どった魔力もすぐに霧散させてしまった。
威力。
範囲。
距離。
本来魔力の振り分けに必要な三要素を、威力のみに集中し、投擲することで距離と範囲もカバーする。
理屈はわかる。
だからこそ、あたしも威力のみに魔力を絞った剣を作り出そうとしたが、何度やってもうまくいかなかった。
『お前に才能はない』
兄は何度も口にした。
あたしは悔しかった。
同じ血が流れているのに何が違うのか。
兄よりも努力しているのに、どうしてうまくいかないのか。
そうしているうちに、気がついたらあたしは逃げていた。
兄のいる、家族のいた故郷を捨てて。
あたしは構成力は乏しかったが、治癒魔術だけは得意だった。
だから、最悪の状態になってもなんとかなると、人間族の大陸に渡る船の上でも楽観的に考えていたのは確かだ。
それに、人間に比べればあたし程度の魔術といえども役には立つだろう。そう思っていた。
子供だったんだと思う。
人間族の街について待っていたのは差別と迫害。
痛めつけられて追いかけられて。
なんとか治癒魔術を使いながら逃げて。
自分が魔人族である事を隠して逃げ続けて。
気が付いたら遥か北のフレイランドの山の中まで逃げ込んでいた。
きっかけはその村の住人達は魔人であるあたしに対しても差別しなかったからだ。
公共の馬車にも乗せてもらえないあたしに対しても、普通に接してくれた。馬車で自分達の村まで連れてきてくれた。
あたしは精神的にかなり参っていたこともあり、しばらくその村で暮らそうと思った。
でも、初めての冬で、その思いは打ち砕かれた。
魔大陸にも冬はある。
しかし、氷や雪の精霊は存在しない。
そんな場所から来たあたしにとって、その村の寒さは地獄そのものだった。
村人達は上着を作ってくれたり、暖の取れた家に招待してくれたりしてくれたが、そんなものでは全然我慢できなかった。
我慢できなくなったあたしは、下山する事を試みたが、何度やってもうまくいかなかった。
一度本気で死にかけた。
どうしようもなくなったあたしは、力が削がれる事がわかっていながら、転移魔術用のマーキングをその村に施した。
表面上は特に力を削がれたようには感じなかった。
度重なる挑戦でそれなりに扱える様になっていた炎の魔術も変わらなかった。
大丈夫なんだと安心して下山しようとしたが途中で失敗し、転移魔術を使用して村に戻り、凍傷を癒す為に回復魔術を使用しようとして、気がついた。
回復魔術がうまく使えない。
この日、あたしは絶望した。
数少ない自分の得意なものを取り上げられ、更に、無茶をする為の保険が無くなってしまった事を実感したから。
この日よりあたしは冬の山を降りる事を諦め、下山する事が出来たのは暦が春をゆうに回った頃だった。
サイレントに来たのはそんな頃だ。
力が削がれ、唯一の心の拠り所であった回復魔術が不自由になった。
炎の魔術はなんとか使うことが出来たが、せいぜい、人間の魔術師よりほんの少し強いという程度。
それも魔術だけの話で、実際に戦闘になったらあたしなど簡単に組み伏せられてしまうだろう。
魔人族というのは隠さなければならない。
見つかったら今度はただではすまない。
何しろ、回復魔術の成功率が極端に低くなってしまったのだから。
故郷から持ってきたマジックアイテムや高価な道具は既に売り尽くした。
それにより得たお金も底を尽きかけている。
もう、なにか仕事をしなければ生きていく事が出来ない。
サイレントの人達が異種族に対してあまり偏見を持っていないのは助かった。
常に耳は隠していたものの、真っ赤な目と黒髪は、あたしを魔人族だと意味付けるキーワードであったはずだ。
現に、今まではそこから怪しまれる事が多かったから。
しかし、サイレントでの生活で、そこを突っ込まれる事は無かった。
あたしは簡単な仕事をしながらなんとかその日その日を生きていたが、折れかけた心はどうにもならなかった。
どうして、魔人族たるあたしが、底辺の冒険者がやるような仕事をやっとこなしているのだろう。
どうして、あたしはこんなに弱いのだろう。
そんな日々を暮らしながらも、なんとか堪えていた精神も、ある簡単な依頼を失敗しそうになった時に本気で折れてしまった。
それは本当に簡単な仕事。
隣町まで荷物を運んで、代わりの荷物を持ち帰ってくるだけのお使いだった。
しかし、その途中で出会った野党に、あたしは完膚なきまでに叩きのめされた。
たったの3人だ。
たった3人の、しかも魔術も使えない人間にあたしは手足を拘束された。
拘束されても魔術は使える。
必死になって炎の魔術を連発したが、その度に腹を蹴られ、顔を殴られた。
痛かった。
死にたかった。
血だらけになって何度も「殺して」と叫んだと思う。
しかし、連中は下卑た笑いを浮かべながら、「こいつ幾らで売れるかな?」と口にした。
あたしはもうだめだと思った。
──その時だ。初めてその子に会ったのは。
『何をしている』
その子は言った。
真っ赤な鎧を身に纏った紅蓮の炎を思わせる赤髪。
髪は長く、後頭部で縛った髪が、まるで馬の尻尾のように風にはためいて揺れていた。
両手に剣。
一振りは透き通るような短い白刃。
もう一振りは鎧と同色の真っ赤な刃。
背は低い。恐らく、あたしよりも低かったろう。
童顔で、どこからどう見ても子供だったが、その雰囲気は歴戦の戦士そのもので……。
そう、その雰囲気は兄が纏っているものと同質のものだった。
男たちはギョッとしていた。
会ってはいけない者に会ってしまった者特有の顔。
恐らく逃げようとしたのだろう。
男の一人があたしを担ぎ上げると、残りの男も周りを囲むように走り出す。
人一人担いでいるとは言え、あたしは魔人族の少女。子供だ。
しかも、その日暮しでろくなものも食べていなかったからガリガリにやせ細っていた。
殆ど荷物にもならない重さだったろう。
しかし、その瞬間閃光が奔った。
瞬きをする間にとはこの事だろうか。
少年の体が揺れたと思ったや否や、男たちが倒れふし、あたしの手足の拘束が解かれていたのだ。
男達は3人とも右手を抑えて呻いていた。
抑えた左手の隙間からは赤い血が流れ、手首を切られた痕が見て取れた。
ひょっとしたら、筋でも切ったのかもしれない。
『去れ』
少年は言い放つ。
『今後この少女に手を出してみろ。我が『ソードマスター』の二つ名に掛けて、必ずや貴様等を滅ぼすであろう』
男達は答えない。
ただ、悲鳴を上げて逃げていった。
『大丈夫かい?』
少年はにこやかに微笑みながら手を差し伸べる。
『あ……うん』
あたしはその手を取って立ち上がる。
『この辺は物騒だからね。町まで僕が案内しよう』
『でも……』
『心配しなくてもいい。困った人を助けるのは当然の事だ』
少年はあたしの手を離すと、本当に当然のように歩き出す。
とても強い少年だ。
まるで兄のような。
しかし、兄とは正反対の弱者にも手を差し伸べる優しい性格。
『た、助けてくれてありがとう。名前、聞きたいんだけど……』
そんな少年を追いかけながら、あたしは自らを名乗るのも忘れ、少年の名前を聞いた。
少年はその言葉に振り返ると、柔らかな笑顔を向けて名乗る。
『僕はアスラ。しがない冒険者の一人だけど、ある類の人間には『ソードマスター』と言った方が通りはいいかもね』
ソードマスターアスラ。
彼がこの国を度々救った勇者である事を、あたしはこの後しばらくしてから知る事になる。
サイレントに住み着いて2年も経つ頃には、あたしは人並みの生活が出来るようになっていた。
それは、あたし自身が多少自信を取り戻した事もあったろうが、難しい依頼を受ける時、アスラが助けてくれる事が多かった事も挙げられるだろう。
彼は一介の冒険者と言っていたが、その言葉通り酒場にいる事が多く、あたしが依頼を受けるといつもどんな依頼を受けたか聞いてきた。
そして、あたし一人だと難しいと判断すると、何も言わずについてきてくれるのだ。
それはあたしにだけではなく、他の冒険者に対してもそうだった。
彼自身は殆ど自分で仕事を受ける事はなく、誰かを助ける為に行動していた。
そんな彼に、家族の様な想いを抱いたのは仕方ないことだったのかもしれない。
ひょっとしたら、自分と同い年の少年に、兄の幻影を重ねていただけだったのかもしれないけれど。
彼には妹がいるらしい。
その話を聞いたのは、何度目かの冒険を一緒にした時だった。
病弱だけど、誰にでも優しい娘なんだと、誇らしげに語っていた少年。
いつも兄に邪険にされていた私とは違いすぎて、ちょっとした嫉妬も感じた。
兄に想われる妹。
そんな兄妹象はあたしには無縁であったから。
だからこそ、あたしは決意したのかもしれない。
今度こそ兄と正面から向き合おう。
力は削がれてしまったけれど、この旅で手に入れた炎の力で、少しでもいいから兄に認めてもらいたい。
あたしは最後に大きな依頼を受けると、アスラに同行の願いをした。
彼は快く引き受けてくれた。
あたしにとってこの国での最後の仕事。
兄の影を重ねていた少年に、最後に認めてもらうために。
受けた依頼は幻獣狩り。
未開拓地の多いサイレントは、古代の幻獣が残っている地がまだ数多く存在する。
それはその一つで、数多の冒険者を返り討ちにしたという謂れのある怪物だった。
アスラは当然聞いてきた。
『どうしてこんな依頼を受けた』のかと。
あたしはただ、「自分の力を試したい」と言った。
彼は「そうか」とだけ答えた。
彼にとっては幻獣などものの数ではないのだろう。少なくともあたしはそう思っていた。
彼はこの国どころかどこに行っても恐らく最強クラスの剣士だろう。
兄と正面から渡り合ってもひょっとしたら勝ってしまうのではないかと思うほどだ。
兄は故郷では魔王の再来と言われていた。
対してアスラは勇者と呼ばれる事もある。
勇者が魔王に勝つのは世の常だ。
いかに兄の魔術が強力でも、接近戦でアスラに勝てる存在はそういないはず。
あたしはここまでアスラが苦戦する所など見た事が無かったから、本気でそう思っていたのだ。
やがて森を抜け、山岳地帯に入る。
一度途中で一夜を明かし、山岳地帯にぽっかり空いた洞窟へと入っていく。
かつての遺跡の一つとされているその洞窟は、住み着いた幻獣のせいで調査も進まず野ざらしになっているらしい。
ここの幻獣を討伐すれば調査も一気に進むという事で、破格の報酬がかけられていた。
あたし達は洞窟に入ると、洞窟内の怪物を倒していく。
幻獣ではないが強力だ。
しかし、そんな怪物たちを、アスラは物ともせずになぎ払っていく。
あたしも魔術で援護したが、洞窟内であまり炎の魔術を使用しないほうがいいと言われ、次第に援護の数も減っていった。
炎が使えなければあたしは役立たずだ。
せっかく、自信を付ける為に依頼を受けたというのに、何をやっているのか。
そんな自己嫌悪に陥った頃、そいつはあらわれた。
一つ目の怪物サイクロプスだった。
正直、その程度ならと思った。
アスラは最強の剣士だ。
唯の力自慢に負ける人間ではない。
自分の力が試せないのは仕方ないが、ここはもう彼に任せるしかないと。
しかし、戦いは思いのほか激化した。
サイクロプスの攻撃はアスラには当たらないが、彼の攻撃もそれほど効いているように見えない。
おかしい。
すぐにそう思うが、狭い洞窟の中で大きな火炎魔術を発動させる事の危険性を諭されたばかりだ。
だが、次第に押され始めたアスラに対して、あたしは思い切ってかつてどうしても出来なかった魔術を試みる。
光の剣の魔術だ。
兄に一蹴されて以来試そうともしなかった魔術。
魔力を構成、展開。
しかし、発動前に霧散する。
何度やっても同じ。
あたしは焦った。
今ではアスラが防戦一方になっている。
攻撃は当たっているのだ。
しかし、何故か相手に効いていない。
どうすればいい。
あたしは考えた。
大きな炎の魔術はダメ。
しかし、近接向けの集中魔術も発動できない。
その時あたしは思い出す。
今この瞬間で、何故こんな事を思い出したのか分からない。
しかし、思い出したのだ。
この大陸について早々売り払った武器の中に、あれと同じ材質を持った武器があった。
どうして、初めて会った時に気がつかなかったのだろう。
よく考えたら、自分と同い年の少年が、戦争を止めるだけの力を持つこと自体おかしなことではないか。
魔術師ならともかく、そんな事が出来るのは魔術師くらいでは無いか。
あたしは詠唱する。
先程の光の剣とは違う、しかし、完全には捨て切らない構成で。
あたしの得意なのは炎の魔術。
そして、あたし自身が剣を振るうイメージがつかなかったから、今までの魔術も成功しなかったのだ。
なら、‘使える人間に使ってもらえばいいだけ’。
魔術を発動する。
発動したあたしの魔術は、寸分たがわず狙った場所。魔封石製の彼の持つ白刃に吸い込まれると、轟音を上げて炎が権限した。
彼は一瞬驚いた声を上げるが、すぐに体制を立て直すと、サイクロプスの攻撃を躱しざま、炎の剣を叩き込んだ。
それで終わった。
その、たったひと振りで。
彼は歓喜し、あたしを褒め湛えた。
すばらしい魔術だと。
あたしはそんな彼の言葉を聞きながら、決めた。
故郷に帰り、今度こそ兄に自分の存在を認めさせる。と。
帰り道で彼の装備の事を聞いた。
普段は魔力で発動している彼の鎧と剣も、今回は幻獣との戦いの前に魔力を使いすぎてしまったらしい。
これは完全にあたしのせいだったので、最後に役に立ったとしても帳消しには出来ない失態だ。
しかし、彼はそんな事は気にも止めずにあたしを褒め湛えてくれた。
そして、故郷に戻る旨を告げたあたしに、寂しいと言ってくれた。
だから、あたしは兄を認めさせたらもう一度この国に来ると約束した。
彼は、その時は妹を紹介すると約束した。
あたし達は別れた。
あたしは小さな自信を手にして。
彼は変わらず国を守る小さな勇者として。
別れた後しばらくして、あたしは知った。
きっと彼は、あたしにとって、この大陸で会ったもう一人の兄だったのだと。
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