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仕切り越しの会話
しおりを挟む「メアリー・・・?そこにいるのかい?」
「っ・・・パパ・・・」
若草色の垂れ幕によりうっすらとお互いシルエットを見ることができるが、そこに人がいるとしか判断ができない。東国の伝統として、婚約者同士は触れあってはいけないのだ。部屋には女性側に一人、男性側に一人監視人がいて、婚約者二人が婚前に触りあったり如何わしいことをしていないか監視しているのだ。
「ああ・・・この垂れ幕を突き破ってメアリーに触れたいな・・・」
「もう少しの、我慢だよ、パパ」
練習にと東国語で少し会話をしていたが、リチャードは途中でユーロス語に切り替えた。
「その方が・・・監視の二人に何を話してるかバレないだろう?」
「そ・・・そうだけど」
「メアリーの可愛い声を聞いてるだけで、立ちそうなんだ」
「も、もう・・・そんなこと言うためにユーロス語に変えたの?」
「ははは、それだけじゃない。メアリーがもしかしたら垂れ幕越しは裸なんじゃないかとか、色々妄想してるんだよ」
メアリーは顔を真っ赤にする。監視人たちはメアリーの様子を不思議そうにしている。
「裸ではないけど、薄いキモノで、下着は着けてないんだよ」
「へぇ・・・キモノか。その服、すごく脱がせやすいんだよね・・・」
「なっ・・・なんでそんなこと知ってるの!?パパ・・・まさか浮気・・・」
メアリーは悲壮感でいっぱいになる。まさか遠距離中に浮気をしたのかと不安になった。
「ち、違うよ、メアリー!!留学中に、ちょっとだけ・・・まあパパにも思春期というものがあってだね」
「・・・若い頃、遊んでたの?」
「まあ学生のときは性欲が強くてそれなりに・・・でも今はメアリーだけなんだよ」
(パパ、格好いいもん、そりゃモテてたよね・・・)
「今は?今は性欲いっぱいあるの??」
「・・・メアリーだけだよ、ここがこんなにギチギチになるのは・・・でもそうだね・・・パパは少し性欲が強いから、メアリーが大変かもしれないね」
リチャードは辛そうにメアリーに告げる。しかしメアリーも、リチャードのことを考えたりするだけでムラムラとしてしまうのだから、きっと性欲は強い方なんだと思う。
「東国の伝統は婚前の三週間から自慰行為も禁止なんだよ・・・ああ、だから初夜はメアリーをめちゃくちゃにしてしまうかもしれない・・・」
「・・・大丈夫だよ、パパ・・・私、パパにめちゃくちゃにしてほしい」
リチャードがゴクリとツバを飲み込む音が垂れ幕越しに聞こえてくる。
「くっ・・・本当にこの垂れ幕突き破って・・・前戯もなしに、君の中にコレをズボズボいれてめちゃくちゃにしてやりたい・・・だってもうパパのために濡らしてくれてるんだろう?メアリー」
「っ・・・うん・・・パパのこと想像したら・・・濡らしちゃったよ・・・」
二人は東国の伝統文化にこれだけ翻弄されることとは思わなかった。顔を真っ赤にして部屋に帰ってきたメアリーに、侍女たちは何も聞かなかった。
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