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sideリチャード
しおりを挟む「可哀想に・・・こんなにやつれて・・・」
リチャードが眠るメアリーを見つめる。少し頬が削げ、痩せたようである。時々悪夢に魘されるも、リチャードが頭を撫でて「大丈夫、大丈夫だよ」と囁くと、再び落ち着いた呼吸が戻ってくる。
──コンコン──
「・・・」
ターニャが部屋に入ってきた。彼女は七十歳の年齢以上に年をとったように窶れ、杖を持たないと歩けないようだ。しかしターニャはリチャードを見て頭を深く下げた。
「・・・申し訳なかったわ・・・頑固になって・・・あんな最低の男に孫を宛がおうとしていたなんて・・・」
「・・・あなたが・・・メアリーの幸せを願っていたのは理解できますし、誰もあなたを責める資格はないでしょう・・・でも、少し方法は間違ったかもしれませんがね・・・」
ターニャはため息をつき、メアリーの横に座った。
「年を取ると、何も見えなくなってくるのね・・・メアリーは、こんな苦しんでいたのに・・・」
ターニャはメアリーの髪をゆっくりと撫でる。
「リチャードさん・・・この子を幸せにできるのはあなただけよ・・・彼女はあなたなしでは生きられないのでしょうからね」
「いえ・・・私が彼女がいなければ生きられないのです・・・」
「はぁ・・・似た者同士、お似合いだわね。私はとんだ邪魔者だったわ・・・」
ターニャは立ち上がり、部屋を出ようと扉に向かった。
「あなたを認めたと言っても、結婚まで子作りは許しませんからね」
「ええ・・・分かってますよ」
「まあ、少しのボディタッチくらいは、許しましょう」
ターニャは最後リチャードに笑顔を見せながら部屋を後にした。
+
+
+
「ん・・・パパ・・・?」
「あ・・・メアリー、起きたんだね」
リチャードはメアリーの手を握りしめながら寝てしまったようだ。まだ朝日が昇り始めたところである。
「起きたらパパがいるなんて幸せ」
「私もメアリーがいてくれて幸せだ」
二人は笑いあった。この一年どう過ごしたかなど、話はつきなかった。
「エレナはミラーに留学に行っちゃったのよ」
「ああ、あそこはファッションで有名だからなぁ」
「東国に住んだらエレナを招待してもいい?エレナ、東国の羽織ものにとっても興味示してたの」
「ああ、もちろんだ」
日は昇り、リチャードは仕事に戻らなければならない時間となった。
「まだもう数週間滞在する予定だから・・・時間が許す限り会いにいくよ」
「うん・・・約束よ」
「君との結婚の予定も組まないとだからね」
「うん」
名残惜しいがリチャードは行かなければならない。メアリーにもう一度キスをして部屋を出ていった。
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