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離ればなれ~sideリチャード~
しおりを挟む「国王、どうでしたか・・・」
「う~ん・・・すまない・・・説得してるんだが、叔母はとても頑固でねぇ」
国王の叔母であるターニャにメアリーの親権が移ったので、ターニャの許可がなければメアリーとの結婚はできない。リチャードは貴族たちに恩を売ったり、弱味を握ってきて、何かあった際には頼ろうと思っていたが、彼女の祖母であるターニャの説得を後回しにしていたのが不味かった。ターニャはずっと外国で過ごしていたのでリチャードもなかなか会うことができなかったからだ。
「叔母は潔癖だからな・・・申し訳ないけど、私もこれ以上はどうしようも・・・」
(くそっ・・・どうすれば)
旅行では誰も知ってる人はいないだろうと考えていた。国王に相談した際も協力すると言われて、気が緩んでいたのもある。ターニャが資金力が強く、外国の大物たちとコネクションを持っているので国王も強くは言えないそうだ。それでも国王は説得を試みてくれたようで、リチャードも感謝している。
「なぁリチャード、叔母は血と身分を重んじる人だ・・・一度、東国に帰って協力を頼んでみたらどうだ?お前は、その資格があるだろう」
「陛下・・・気づいてらしたんですか」
「ああ・・・そっくりだったし、気になって調べてみたんだ。そしたら君が皇帝の孫だって分かって・・・驚いたよ」
リチャードの父エイドリアンは皇帝の息子、第二皇子であった。ユーロス王国の貿易商で働く娘に恋をし、決められていた婚約を無視して駆け落ちをしたのである。
「駆け落ちする前に、皇帝と大きく仲違いしたらしく、それから一切連絡を取ってなかったようですが・・・私が留学をしていた際に、皇帝に呼び出されて真実を聞かされて私も驚きました」
皇帝はもう父と話す気はなかったらしいが、リチャードの存在を知り気にかけていてくれたようだ。
「まあ、東国の皇族の証である黒髪とエメラルドの瞳を持って生まれましたからね・・・」
「そうだったのか・・・」
リチャードは暫く考えて決意をする。
「陛下、外交官の離職と、男爵位の返上をさせていただきます」
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