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寂しさ
しおりを挟む「メアリー・・・どうしたの・・・王族専用の馬車に乗って現れるからびっくりしたじゃない」
「エレナ・・・どうしよう・・・」
メアリーはエレナにすべてを話した。エレナは開いた口が塞がらず、こめかみに手を当てて唸っている。
「まあ、そうだよね、血は繋がっていないって言っても、父親だったんだもんね・・・」
「おばあさまが、私を卒業と同時にちゃんとした身分の人と結婚させるって言うの・・・」
「あっちゃ~、それは不味いわね」
メアリーは他の誰かと結婚するくらいなら、修道院に行く方がマシである。メアリーにとってリチャードだけが必要で他には何もいらないのだ。
「とにかく、まだ一年猶予があるんでしょ?その間に何か策を練らないとだわね」
「うん・・・でもおばあさまのガードが固くて、どこ行くにしても護衛が付くのよ!!学校くらいだわ、自由にできるのは」
メアリーはエレナに嘆いた。エレナもメアリーの頭を撫でて慰めてくれる。
「私に何かできることがあったら言うんだよ、メアリー」
「ありがとう、エレナは私の大切な友達だよ。パパの次に大切な人」
「ふふ、知ってるわよ」
エレナはメアリーの頬をつねった。メアリーもエレナの頬をつねり返し、二人は笑った。メアリーの気分もエレナのお陰で少し楽になった。
+
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「メアリーさん、はじめまして」
「・・・」
週末になるとターニャは誰かしら男を紹介してくる。時々それはメアリーより二十歳も年上の男で「それならリチャードでもいいじゃない!!」と怒りたくなるが、歴史のある爵位を持つ者でないとダメだとターニャは言ってくるのだ。
「ごめんなさい、私好きな人がいるんです」
「まあ、それは仕方ないよ。お互い愛人を持つのを良しとして仲良くしようじゃないか」
好きな人がいるというと、半分程は諦めてくれるのだが、愛人を持っても良いとか、私を好きにさせてみせると自信家の男たちもいてメアリーは疲れはてていた。
(パパ・・・今頃何してるんだろう・・・)
メアリーはネックレスのエメラルドを撫でた。寂しいときはそのネックレスにキスをして、思い過ごすのだ。時々体が疼き、彼を思いながら自分を弄った。
「はぁ・・・パパ・・・リチャード・・・んんん」
少し物足りないがメアリーは一生懸命彼の姿を思い出して、胸や股の間をまさぐった。しかし触れば触る程に虚しさが募るだけであった。
(パパ・・・寂しいよ・・・)
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