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両思い

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「やっと二人きりになれましたね」
「サイラス様・・・」


サイラスは誰もいない王城のバラ園のベンチにジュリアを座らせた。



「サイラス様、その・・・さっき・・・」
「私があなたを好きだということなら、本当です。迷惑でしたか?」



ジュリアはブンブンと顔を横に振る。



「ああ、真っ赤に熟れて可愛いですよ」



サイラスはジュリアのこめかみにチュッとキスをした。サイラスがジュリアを好いてくれているなんてジュリアはまるで夢のようだと思った。



「キス・・・してもいいですか?」



サイラスはジュリアに許可を求めた。ジュリアはコクリと頷く。サイラスの顔がゆっくりとジュリアに近づくのが見えた。



「ふふ、そんなに見つめられたらキスしづらいですよ、ジュリア殿。ほら、目を閉じて」
「あ、す、すみません」


異性とキスをしたことがないジュリアは何をすれば良いか分からない。言われたようにギュッと目を瞑った。


唇に柔らかい感触を感じた。暫くすると口の中にぬるっとした舌が差し込まれる。違和感が快感へと変化するのはすぐだった。


「んっ」
「ほら、鼻から息して」
「んんん・・・」


ジュリアとサイラスから発せられるネチャネチャとした音がいやらしく響いていた。うっすらと目を開けるとツーっと唾液の糸が引くのが見える。ジュリアはそんなサイラスと離れたくない気持ちから自然と同じように舌を絡ませた。


「ああ、ジュリア殿お上手ですよ。とても甘い・・・」
「ん、サイラス様ぁ・・・」


キスの快感とサイラスの艶かしい声がズクンとお腹の下の方に響いた。もっと欲しいとジュリアは体を近づけるもサイラスはそれを制する。サイラスはジュリアから少し距離をとった。



「っ・・・これ以上すると歯止めがきかなくなりそうなので、止めときましょう。部屋の前までお送りしますね」
「は、はい」


ジュリアはもう少しサイラス一緒にいたい気持ちになった。引き留めたかったが、サイラスがさっとジュリアの手を取りジュリアの部屋へと促した。


(まだ一緒にいたいって言ったら嫌われてしまうだろうか)


静かな廊下から二人の足音がギシギシと鳴り響く。二人はあっという間に部屋の前にたどり着いた。サイラスはジュリアの額にキスをして事務所の方角へと帰っていった。


(まだお仕事するのかな・・・)


きっとサイラスのことだ、スリ侯爵の事件についての後処理がまだ残っているのだろう。



「おやすみなさい、サイラス様」



彼が去っていった方向にジュリアは呟いた。ネックレスを大事にクローゼットにしまい、寝支度をする。ボフンと布団に埋まるも、ジュリアは胸の高鳴りを押さえきれず暫く寝付くことが出来なかった。
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