14 / 51
王城のパーティー④
しおりを挟む
「ジュリアちゃ~ん、今のうちにほら、踊ろうよ」
「・・・そうですね」
フィンはやっと女性の群れから抜け出せたらしく、ジュリアはフィンに腕を引かれる。
「上手だよ。ジュリアちゃん」
「よくローズ様の男性役として練習を務めさせていただいたので。でも少し変な感じがします」
男性役は相手をリードするのに対し、女性役はできるだけ相手を信頼してリードされなければならない。少し戸惑うもののフィンのリードは頼もしく、しばらくするとジュリアも苦労なく踊ることができた。
「ほら、僕に対してだけじゃなく、ジュリアちゃんへの羨望の眼差しがすごいよ」
「え・・・」
ジュリアは回りを見回すと様々な視線が突き刺さる。ジュリアは怯んだ。台座に戻った国王の側に報告をしているのであろうサイラスの視線も感じ、ドキリとした。
「他の男を見るなんて妬けるなぁ。ジュリアちゃん、僕だけを見て。回りは背景だと思って踊ればいいんだから」
ジュリアはこんなに注目されたことがなかったので逃げたくなったが周りは背景、周りは背景、と念じフィンだけを見るよう意識しながら踊り続けた。フィンは「その調子」と言ってジュリアにターンを促した。
「ねえ、最近ジュリアちゃんが綺麗になったのって、そのネックレスを渡した人の為かな・・・」
「このネックレスですか?ローズ様が着けるようおっしゃって身につけたのですが・・」
「そんな執着のかたまりみたいなネックレス送っといて本人に言ってないんだね」
「・・・?」
フィンはジュリアを抱く右手を強く引き寄せ密着するようにした。
「うわぁ、怖っ。どんな嫉妬深い目してるんだよ」
フィンはジュリアの逆側を見てそう呟いた。フィンはダンスが終わると「そろそろ退散しないと僕の命も危ないからね」と言って女性の群れにまた入りこんでいった。
「ジュリアさん」
「ソフィア・・・さん?」
そこにはサイラスの従姉のソフィアが立っていた。
「覚えてくれてたんですね!!またジュリアさんに会えてとっても嬉しいです。先ほどの蹴りも格好良くて、もう鼻血ものでした!!どれだけの人がジュリアさんの脚なら蹴られても良いと思ったか!!」
「そ、そんな・・・おおげさな」
ソフィアは興奮して話が止まない。ソフィアはジュリアが思っていたような性格ではないようだ。ソフィアのお友達たちも興奮してジュリアに話しかけた。
「ぜひ男装していただきたいですわ」
「いえ、ジュリア様にはボディースーツに鞭なんて素敵よ」
『キャ──♡』
ソフィアや友人たちは少し変わっているのだな、とジュリアは愛想笑いを浮かべた。
「すみませんが、そろそろ私にもレディの時間をいただいても宜しいですか」
「サイラス!!」
『宰相様よ』
「サイラス、様・・・?」
サイラスはいつの間にか国王への報告が終わったらしく、ジュリアの元にやってきたようだ。
「一曲踊っていただけますか、ジュリア殿」
「は、はい・・・」
差し出された右手をジュリアはそっと掴んだ。
「・・・そうですね」
フィンはやっと女性の群れから抜け出せたらしく、ジュリアはフィンに腕を引かれる。
「上手だよ。ジュリアちゃん」
「よくローズ様の男性役として練習を務めさせていただいたので。でも少し変な感じがします」
男性役は相手をリードするのに対し、女性役はできるだけ相手を信頼してリードされなければならない。少し戸惑うもののフィンのリードは頼もしく、しばらくするとジュリアも苦労なく踊ることができた。
「ほら、僕に対してだけじゃなく、ジュリアちゃんへの羨望の眼差しがすごいよ」
「え・・・」
ジュリアは回りを見回すと様々な視線が突き刺さる。ジュリアは怯んだ。台座に戻った国王の側に報告をしているのであろうサイラスの視線も感じ、ドキリとした。
「他の男を見るなんて妬けるなぁ。ジュリアちゃん、僕だけを見て。回りは背景だと思って踊ればいいんだから」
ジュリアはこんなに注目されたことがなかったので逃げたくなったが周りは背景、周りは背景、と念じフィンだけを見るよう意識しながら踊り続けた。フィンは「その調子」と言ってジュリアにターンを促した。
「ねえ、最近ジュリアちゃんが綺麗になったのって、そのネックレスを渡した人の為かな・・・」
「このネックレスですか?ローズ様が着けるようおっしゃって身につけたのですが・・」
「そんな執着のかたまりみたいなネックレス送っといて本人に言ってないんだね」
「・・・?」
フィンはジュリアを抱く右手を強く引き寄せ密着するようにした。
「うわぁ、怖っ。どんな嫉妬深い目してるんだよ」
フィンはジュリアの逆側を見てそう呟いた。フィンはダンスが終わると「そろそろ退散しないと僕の命も危ないからね」と言って女性の群れにまた入りこんでいった。
「ジュリアさん」
「ソフィア・・・さん?」
そこにはサイラスの従姉のソフィアが立っていた。
「覚えてくれてたんですね!!またジュリアさんに会えてとっても嬉しいです。先ほどの蹴りも格好良くて、もう鼻血ものでした!!どれだけの人がジュリアさんの脚なら蹴られても良いと思ったか!!」
「そ、そんな・・・おおげさな」
ソフィアは興奮して話が止まない。ソフィアはジュリアが思っていたような性格ではないようだ。ソフィアのお友達たちも興奮してジュリアに話しかけた。
「ぜひ男装していただきたいですわ」
「いえ、ジュリア様にはボディースーツに鞭なんて素敵よ」
『キャ──♡』
ソフィアや友人たちは少し変わっているのだな、とジュリアは愛想笑いを浮かべた。
「すみませんが、そろそろ私にもレディの時間をいただいても宜しいですか」
「サイラス!!」
『宰相様よ』
「サイラス、様・・・?」
サイラスはいつの間にか国王への報告が終わったらしく、ジュリアの元にやってきたようだ。
「一曲踊っていただけますか、ジュリア殿」
「は、はい・・・」
差し出された右手をジュリアはそっと掴んだ。
15
お気に入りに追加
2,694
あなたにおすすめの小説


今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

【完結】あわよくば好きになって欲しい(短編集)
野村にれ
恋愛
番(つがい)の物語。
※短編集となります。時代背景や国が違うこともあります。
※定期的に番(つがい)の話を書きたくなるのですが、
どうしても溺愛ハッピーエンドにはならないことが多いです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる