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違います、これは監禁ではありません

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「マリー、こんなところに囚われていたんだね・・・可哀想に・・・」
「ノア王子・・・何しにきたんだ」
「なんだか冷たいね、マリー。あ、もしかして婚約破棄したの拗ねてるのかい?」


(何ほざいてんだ、こいつは・・・)


「僕、やっぱり僕はマリーしかいないんだって、気づいたんだ・・・ごめんねマリー。お待たせ」


(げ、ウインク・・・)


胡散臭いウインクを第一王子のノアはマリーに投げかける。


(私、こんなやつに恋してたのか?)


今彼を見てもドキドキという気持ちは一切生まれない。彼のお姫様になるのだと宣言していた自分が恥ずかしくて仕方がない。


「こんな目隠しまでされて・・・奴隷にされていたのかい?」
「いや、違う、これはその、そういうんじゃないんだ。躾というか・・・」
「し、躾!?なんてことだ・・・君を動物扱いかい!?酷いぞ」
「うーん、いや、私もそれを喜んでいたというか・・・なんというか」


マリアンヌはわたわたと言い訳をする。しかしノアはマリアンヌをヒシッと抱きしめ、「マインドコントロールされているんだね・・・すぐに覚ませてあげるから」と言っている。


「・・・ちょっと、そこのバカ王子。僕のペットを離してもらえるかな」
「ば、バカ王子だと!?しかもマリアンヌをペットなどと呼びやがって・・・このガキが!!」


──バチバチバチバチバチバチ──


火花が飛んでいる。隠喩ではない。本当にマリアンヌの目の前で火花が左右に飛んでいるのだ。


(うん、まあどちらも魔法強いんだろうけど、家の中で火花飛ばすのやめましょう。火の用心。)


王族の魔力はテンプレで強く、ゲームの中でも第一王子の魔力は特に強かった。そんな強く見た目も良い彼に、当時は憧れたのである。


「とりあえず、ノア王子、落ち着いて・・・ここに座ってくれ」
「ありがとうマリー。ところで魔法使い君。お茶はないのかい?僕は高級茶葉しか受け付けないよ。ほら、王子が来たらもてなすのが基本だろ」


──ポンッ!!


ユーグが不本意ながら呪文を唱えると、この家に住み着いている妖精が現れた。


『なにかご用意ですかぁ?』
「フェアリー、この頭お花畑にお茶を持ってきてやってくれ」
『かっしこまり~。ミルクとクッキー用意しといてね』


──ポンッ


フェアリーは準備に消えていった。普段妖精を召還する魔法は緊急を要さない限り使わないのだが、ユーグは妖精のフェアリーを呼んだ。彼女は丘の上で馬の世話をしているとたまに遊びにやってくる。マリアンヌも中級魔法を学んでいる時に紹介してもらったのでお友達だ。


「おい、ちょっと待てマリー。何でこのガキの膝の上に座ってるんだ」
「え?あ、ごめん。いつもの癖で」
「なんてことだ・・・マリー。洗脳をすぐに解いてやる。こっちにおいで。僕の膝の上だ」
「離れなくていいよ、マリアンヌ」


──バチバチバチバチ──


「あつっ!!や、やめろ二人共、落ち着け!!」
「「マリー(アンヌ)は黙ってて!!」」
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