120 / 121
スノーランド婚約結婚編
三カ国の晩餐会
しおりを挟む
「ミリア王女、体調はもうよろしいので?」
「はい、お気遣いありがとうございます」
アングレの第二王子フォスターは優しい口調でミリアを気遣った。シルベスターもミリアの記憶が戻ったと知り、ミリアに向かいウインクをしてみせた。
「アングレの古い街並みは今度是非見てみたいものですね」
「鉄道が三カ国繋がればきっと頻繁に行き来できるでしょうな!」
「楽しみだ」
三カ国協議では、新たな平和条約などを進めることとなり、将来的にアングレへも鉄道が引かれるとことなった。
晩餐会では三カ国の王子たちで未来の国王たちがより交流を図ればどれほど良いかを延々と楽しく話し合うことができたようだ。話も終盤に差し掛かると叔父であるケネスが立ち上がった。
「実はうちのミリアが、無事フェリス国の侯爵で騎士団長でもあるランドルフ殿と婚約することとなった」
「それはそれは、おめでとうございます」
「おめでとう、二人とも」
ミリアとランドルフは立ち上がり、皆に礼をする。皆からの拍手が止まらなかったが、ヴィヴィアンだけが驚愕で震えた。
「なんでなの!!私と結婚するはずよ!!なんであんな平民から生まれた女なんかと!!」
(予想通りの反応だわ・・・)
「やめないか!!お前はまだそんな戯れ事を言っているのか!!」
フォスターが妹であるヴィヴィアンを嗜めた。しかしヴィヴィアンの腹の虫は収まらない。
「こんなド田舎の野蛮人が住む国より、大国アングレの方がよっぽど強いのにっ・・・なにせ、私とランドルフは愛し合ってるのよ!昨日だってなんども愛し合ったわ!!」
「・・・すみませんが・・・発言をお許しください」
マールが王子たちに伺いをたて、すぐに許可される。
「ヴィヴィアン王女の部屋から、大量の媚薬と痺れ薬が発見されました。ランドルフはヴィヴィアン王女から痺れ薬を飲まされ、媚薬の香が充満する部屋で無理やり襲われたそうです」
「なっ・・・違う!!私たちは愛し合って・・・」
「証拠の映像があります・・・」
ーピッ
『ふふふ、痺れて動けないでしょう?さあ、あなたとの既成事実を作って早く結婚しましょ』
「やっ・・・め・・・ろ・・・」
ランドルフが倒れ、ヴィヴィアンが高らかに笑っている映像が撮されている。
「と、止めて!!早く止めなさい!!!」
「事実を認めるんですね」
「認めるから、早く止めて!!」
ーピッ
「認めていただけて良かったです・・・もう少しであなたたちのお色気シーンが映るところでしたからね・・・」
ヴィヴィアンは悔しそうに唇を噛んだ。
「私はアングレの王女よ!小国の、ましては平民の王女は引っ込んでなさい!」
ーパシン
フォスターはヴィヴィアンに手を上げてビンタをした。
「お前は・・・なんてことを・・・」
「お兄さま・・・こんな国の奴ら戦争して負かせたらいいじゃない!」
「お前・・・今平和に向かっていっているときに何故そんなことを・・・しかもな、ヴィヴィアン。万が一にも戦争をしたってアングレは負けるぞ。スノーランドには他国の何十倍ものエネルギーを発する鉱石があるし、フェリス国が後ろについているんだ。一瞬でアングレは負ける」
「お兄さま・・・」
「ヴィヴィアン、君はスノーランドの皆様を侮辱したね・・・しかもフェリス国の侯爵に違法である薬物を使うなんて・・・申し訳ないけど、君をもう庇ってやれない。父上にもそう申し上げるよ」
「っ・・・」
「彼女を連れていってくれ」
アングレの騎士たちがヴィヴィアンを外へと連れ出した。ヴィヴィアンは最後までミリアに暴言を吐いていた。
「皆様、お騒がせして本当に申し訳なかった。特にミリア王女・・・君にはなんとお詫びしたら良いか・・・彼女を王族から平民に降ろすことで、なんとか平和に納めていただけないだろうか」
「彼と一緒になれるのであれば私はもう気にしません・・・フォスター王子に全てお任せします」
フォスターは頭を深く下げ、ミリアもそれを受け止めた。フォスターは慈悲深く聡明である。ミリアや他の者も良き国王となるだろうと思った。第一王子を押し退けて彼が国王に指名されていることは納得だ。シルベスターはワインを掲げた。
「改めて、ミリアちゃん、ランドルフ、おめでとう!そして三カ国の平和と友好の未来のために、乾杯!」
『乾杯!!』
こうしてミリアとランドルフは再び婚約者となり、婚約期間は半年と決まった。
「はい、お気遣いありがとうございます」
アングレの第二王子フォスターは優しい口調でミリアを気遣った。シルベスターもミリアの記憶が戻ったと知り、ミリアに向かいウインクをしてみせた。
「アングレの古い街並みは今度是非見てみたいものですね」
「鉄道が三カ国繋がればきっと頻繁に行き来できるでしょうな!」
「楽しみだ」
三カ国協議では、新たな平和条約などを進めることとなり、将来的にアングレへも鉄道が引かれるとことなった。
晩餐会では三カ国の王子たちで未来の国王たちがより交流を図ればどれほど良いかを延々と楽しく話し合うことができたようだ。話も終盤に差し掛かると叔父であるケネスが立ち上がった。
「実はうちのミリアが、無事フェリス国の侯爵で騎士団長でもあるランドルフ殿と婚約することとなった」
「それはそれは、おめでとうございます」
「おめでとう、二人とも」
ミリアとランドルフは立ち上がり、皆に礼をする。皆からの拍手が止まらなかったが、ヴィヴィアンだけが驚愕で震えた。
「なんでなの!!私と結婚するはずよ!!なんであんな平民から生まれた女なんかと!!」
(予想通りの反応だわ・・・)
「やめないか!!お前はまだそんな戯れ事を言っているのか!!」
フォスターが妹であるヴィヴィアンを嗜めた。しかしヴィヴィアンの腹の虫は収まらない。
「こんなド田舎の野蛮人が住む国より、大国アングレの方がよっぽど強いのにっ・・・なにせ、私とランドルフは愛し合ってるのよ!昨日だってなんども愛し合ったわ!!」
「・・・すみませんが・・・発言をお許しください」
マールが王子たちに伺いをたて、すぐに許可される。
「ヴィヴィアン王女の部屋から、大量の媚薬と痺れ薬が発見されました。ランドルフはヴィヴィアン王女から痺れ薬を飲まされ、媚薬の香が充満する部屋で無理やり襲われたそうです」
「なっ・・・違う!!私たちは愛し合って・・・」
「証拠の映像があります・・・」
ーピッ
『ふふふ、痺れて動けないでしょう?さあ、あなたとの既成事実を作って早く結婚しましょ』
「やっ・・・め・・・ろ・・・」
ランドルフが倒れ、ヴィヴィアンが高らかに笑っている映像が撮されている。
「と、止めて!!早く止めなさい!!!」
「事実を認めるんですね」
「認めるから、早く止めて!!」
ーピッ
「認めていただけて良かったです・・・もう少しであなたたちのお色気シーンが映るところでしたからね・・・」
ヴィヴィアンは悔しそうに唇を噛んだ。
「私はアングレの王女よ!小国の、ましては平民の王女は引っ込んでなさい!」
ーパシン
フォスターはヴィヴィアンに手を上げてビンタをした。
「お前は・・・なんてことを・・・」
「お兄さま・・・こんな国の奴ら戦争して負かせたらいいじゃない!」
「お前・・・今平和に向かっていっているときに何故そんなことを・・・しかもな、ヴィヴィアン。万が一にも戦争をしたってアングレは負けるぞ。スノーランドには他国の何十倍ものエネルギーを発する鉱石があるし、フェリス国が後ろについているんだ。一瞬でアングレは負ける」
「お兄さま・・・」
「ヴィヴィアン、君はスノーランドの皆様を侮辱したね・・・しかもフェリス国の侯爵に違法である薬物を使うなんて・・・申し訳ないけど、君をもう庇ってやれない。父上にもそう申し上げるよ」
「っ・・・」
「彼女を連れていってくれ」
アングレの騎士たちがヴィヴィアンを外へと連れ出した。ヴィヴィアンは最後までミリアに暴言を吐いていた。
「皆様、お騒がせして本当に申し訳なかった。特にミリア王女・・・君にはなんとお詫びしたら良いか・・・彼女を王族から平民に降ろすことで、なんとか平和に納めていただけないだろうか」
「彼と一緒になれるのであれば私はもう気にしません・・・フォスター王子に全てお任せします」
フォスターは頭を深く下げ、ミリアもそれを受け止めた。フォスターは慈悲深く聡明である。ミリアや他の者も良き国王となるだろうと思った。第一王子を押し退けて彼が国王に指名されていることは納得だ。シルベスターはワインを掲げた。
「改めて、ミリアちゃん、ランドルフ、おめでとう!そして三カ国の平和と友好の未来のために、乾杯!」
『乾杯!!』
こうしてミリアとランドルフは再び婚約者となり、婚約期間は半年と決まった。
10
お気に入りに追加
796
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる