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スノーランド婚約結婚編
記憶の蓋が開く時
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「ミリア王女、ヴィヴィアン王女の侍女がおいでですがどういたしましょうか?」
ミリアの侍女テスラが尋ねる。ミリアはなぜヴィヴィアンの侍女が来るのか不思議だったが、彼女を通した。
「ミリア王女、ヴィヴィアン王女が明日の朝、二人でお話がしたいと言っております」
「ヴィヴィアン王女が?」
「はい。ランドルフ様のことで、大切なお話があると。明朝ヴィヴィアン王女の滞在されている部屋でお待ちしております」
ヴィヴィアンの侍女はそれだけ言って帰っていった。
(なんで・・・)
ミリアは疑問に思ったが、ランドルフのことということなので、どうしても気になって彼女の部屋に向かうことにした。
「お待ちしておりました、ミリア王女。どうぞ」
昨日の侍女がヴィヴィアンの部屋に通してくれたのだが、ヴィヴィアンの姿はない。王族のゲスト用客室なので、部屋が数部屋備わっているのだが、奥からバンバンと音が聞こえてくるのに気がついた。
「・・・ヴィヴィアン王女?」
少し開いたドアからそっと部屋の中を覗く。
「ぁあああん!すごいぃ・・・」
ーーーギシッギシッ
ヴィヴィアンが男性の上に乗った状態で彼女は上下に腰を振っていた。
「あなたの子種っ・・・ちょうだい・・・」
ーーギシッギシッギシッ
その部屋には甘い匂いが充満し、ヴィヴィアンは淫らに髪を振り乱している。ミリアからもヴィヴィアンと男が接続している部分がはっきりと見えていた。ヴィヴィアンの股の間から、男の顔が一瞬見え、ミリアと目があった。
(ランドルフっ・・・)
ミリアは口に手を当てその部屋を飛び出した。ミリアの侍女テスラも何事かと部屋の中を見たのだが、彼女も仰天した様子で、すぐにミリアを追いかけた。
「うぐぅ・・・ふぅ・・・」
ミリアは部屋に戻り、涙が枯れるまで泣き続けた。
(私・・・彼が好きなんだわ・・・過去の記憶がなくたって・・・彼が好き・・・)
ミリアは衰弱したようにふらふらと起き上がる。今日はフェリス国からシルベスターたちが三カ国協議や鉄道プロジェクトの中間報告会にやって来るので、ミリアは悲しんでいられないのだ。
(早くお迎えにいかないと・・・)
「お久しぶりですね。また会えて嬉しいですよ、ケネス王子、ミリアちゃん」
シルベスターが騎士や研究員などの関係を引き連れて船から降りてくる。ミリアはシルベスターの方へ足を一歩踏み出した。
(あれ・・・なんだか・・・フラフラする・・・)
ミリアの体は思うように動かず、足を踏み外してしまう。
「ミリアちゃん!!」
「ミリア!!」
ーーーードサッ!
+
+
+
『ミリア・・・愛してる』
(誰の声・・・?)
『この傷一つでさえ、愛しいと思えるんだ』
(これは私の記憶・・・)
走馬灯のようにミリアの過去の記憶が浮き上がってくる。ランドルフに再会したことや、一緒に出掛けたこと、男装して騎士団にいた頃のことなど、ミリアは人生の舞台を見ている気持ちで客観的にその風景を見ていた。
ーー暗闇にランドルフがポツンと立っている
(これは・・・夢?)
ランドルフはゆっくりとその暗闇に消えていこうとしていた。その隣には微笑むヴィヴィアンの姿が映る。
(ランドルフ・・・好き、好きなの!私を置いていかないで!!)
ミリアの悲痛な叫びは届かない。
(彼といられないなら、もうこんな記憶いらない・・・)
ミリアの記憶の蓋が再び閉じられようとする。しかし遠くから彼の声が聞こえてくる。
『ミリア、起きて、俺はここにいるよ』
(ランドルフ、戻ってきてくれたの?)
『生涯愛すのは君だけだ』
(私も・・・ずっとずっと愛してる・・・)
ーーーーー
ミリアの目がゆっくりと開けられた。
「ミリア!起きたのか!!」
「ランドルフ・・・?」
ミリアはベッドの上に横になって寝ていた。ランドルフがミリアの手を握っている。
「私・・・一体・・・」
「ミリ姉は1日中眠ってたんだよ」
「エド」
シルベスターと一緒にスノーランドに再びやってきたエドアルドが部屋にレモン水のコップを持って入ってくる。そのコップをミリアに渡した。
「私・・・思い出したの・・・全部思い出した」
「ミリ姉!」
「ミリア!」
二人はミリアに抱きついた。しかしミリアは朝に見たランドルフとヴィヴィアンの光景を思い出した。
「でも、ランドルフ・・・あなたヴィヴィアン王女と・・・」
「それは弁解させてくれ・・・俺は体が麻痺する薬を飲まされて、媚薬成分のある香を焚かれたんだ。それでヴィヴィアン王女に襲われた」
ミリアは驚きで目を見張った。エドアルドはじっとりした目つきでランドルフを見る。
「まったく、そんな罠に引っ掛かるなんてバカだね。そんな奴に本当にミリ姉を預けていいのか本当に疑問だわ」
「す・・・すまない」
ランドルフは反省しているのか、しょんぼりと肩をすくませている。
「ミリア・・・一つだけ確認させてくれ・・・まだ俺のこと、好きでいてくれるか?」
「っ・・・もちろん」
「今から君の家族に結婚の許しを乞いにいきたいのだが、また俺と婚約してくれるか?」
「でもあなたにはヴィヴィアン王女が・・・」
「心配しなくていい、手は打ってある。ミリア、二度目になるのだが・・・僕と結婚してください」
ランドルフはミリアがスノーランドに来る前に返送した婚約指輪を再び手にした。
ーコクン
ミリアは頷き指輪を再び填めると、嬉し涙が溢れてきた。
「もしまた記憶がなくなっても、きっとあなたに恋をするわ」
「俺だって、何度でも君を追いかけていくよ」
ランドルフがミリアの唇に優しいキスをした。ミリアは目を瞑る。
「・・・」
「あのさぁ、僕がいること忘れてない?」
エドアルドはやれやれといった様子でミリアとランドルフを見ていた。
「エドっ・・・//」
「すまん、ミリアが可愛いくてつい・・・」
ミリアはしばらくて診察を済ませた。何も問題がないので普通の生活をして良いとのことだった。二人はスノーランド国王妃に結婚の許しをもらい、三国友好の為の晩餐会に参加した。
ミリアの侍女テスラが尋ねる。ミリアはなぜヴィヴィアンの侍女が来るのか不思議だったが、彼女を通した。
「ミリア王女、ヴィヴィアン王女が明日の朝、二人でお話がしたいと言っております」
「ヴィヴィアン王女が?」
「はい。ランドルフ様のことで、大切なお話があると。明朝ヴィヴィアン王女の滞在されている部屋でお待ちしております」
ヴィヴィアンの侍女はそれだけ言って帰っていった。
(なんで・・・)
ミリアは疑問に思ったが、ランドルフのことということなので、どうしても気になって彼女の部屋に向かうことにした。
「お待ちしておりました、ミリア王女。どうぞ」
昨日の侍女がヴィヴィアンの部屋に通してくれたのだが、ヴィヴィアンの姿はない。王族のゲスト用客室なので、部屋が数部屋備わっているのだが、奥からバンバンと音が聞こえてくるのに気がついた。
「・・・ヴィヴィアン王女?」
少し開いたドアからそっと部屋の中を覗く。
「ぁあああん!すごいぃ・・・」
ーーーギシッギシッ
ヴィヴィアンが男性の上に乗った状態で彼女は上下に腰を振っていた。
「あなたの子種っ・・・ちょうだい・・・」
ーーギシッギシッギシッ
その部屋には甘い匂いが充満し、ヴィヴィアンは淫らに髪を振り乱している。ミリアからもヴィヴィアンと男が接続している部分がはっきりと見えていた。ヴィヴィアンの股の間から、男の顔が一瞬見え、ミリアと目があった。
(ランドルフっ・・・)
ミリアは口に手を当てその部屋を飛び出した。ミリアの侍女テスラも何事かと部屋の中を見たのだが、彼女も仰天した様子で、すぐにミリアを追いかけた。
「うぐぅ・・・ふぅ・・・」
ミリアは部屋に戻り、涙が枯れるまで泣き続けた。
(私・・・彼が好きなんだわ・・・過去の記憶がなくたって・・・彼が好き・・・)
ミリアは衰弱したようにふらふらと起き上がる。今日はフェリス国からシルベスターたちが三カ国協議や鉄道プロジェクトの中間報告会にやって来るので、ミリアは悲しんでいられないのだ。
(早くお迎えにいかないと・・・)
「お久しぶりですね。また会えて嬉しいですよ、ケネス王子、ミリアちゃん」
シルベスターが騎士や研究員などの関係を引き連れて船から降りてくる。ミリアはシルベスターの方へ足を一歩踏み出した。
(あれ・・・なんだか・・・フラフラする・・・)
ミリアの体は思うように動かず、足を踏み外してしまう。
「ミリアちゃん!!」
「ミリア!!」
ーーーードサッ!
+
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『ミリア・・・愛してる』
(誰の声・・・?)
『この傷一つでさえ、愛しいと思えるんだ』
(これは私の記憶・・・)
走馬灯のようにミリアの過去の記憶が浮き上がってくる。ランドルフに再会したことや、一緒に出掛けたこと、男装して騎士団にいた頃のことなど、ミリアは人生の舞台を見ている気持ちで客観的にその風景を見ていた。
ーー暗闇にランドルフがポツンと立っている
(これは・・・夢?)
ランドルフはゆっくりとその暗闇に消えていこうとしていた。その隣には微笑むヴィヴィアンの姿が映る。
(ランドルフ・・・好き、好きなの!私を置いていかないで!!)
ミリアの悲痛な叫びは届かない。
(彼といられないなら、もうこんな記憶いらない・・・)
ミリアの記憶の蓋が再び閉じられようとする。しかし遠くから彼の声が聞こえてくる。
『ミリア、起きて、俺はここにいるよ』
(ランドルフ、戻ってきてくれたの?)
『生涯愛すのは君だけだ』
(私も・・・ずっとずっと愛してる・・・)
ーーーーー
ミリアの目がゆっくりと開けられた。
「ミリア!起きたのか!!」
「ランドルフ・・・?」
ミリアはベッドの上に横になって寝ていた。ランドルフがミリアの手を握っている。
「私・・・一体・・・」
「ミリ姉は1日中眠ってたんだよ」
「エド」
シルベスターと一緒にスノーランドに再びやってきたエドアルドが部屋にレモン水のコップを持って入ってくる。そのコップをミリアに渡した。
「私・・・思い出したの・・・全部思い出した」
「ミリ姉!」
「ミリア!」
二人はミリアに抱きついた。しかしミリアは朝に見たランドルフとヴィヴィアンの光景を思い出した。
「でも、ランドルフ・・・あなたヴィヴィアン王女と・・・」
「それは弁解させてくれ・・・俺は体が麻痺する薬を飲まされて、媚薬成分のある香を焚かれたんだ。それでヴィヴィアン王女に襲われた」
ミリアは驚きで目を見張った。エドアルドはじっとりした目つきでランドルフを見る。
「まったく、そんな罠に引っ掛かるなんてバカだね。そんな奴に本当にミリ姉を預けていいのか本当に疑問だわ」
「す・・・すまない」
ランドルフは反省しているのか、しょんぼりと肩をすくませている。
「ミリア・・・一つだけ確認させてくれ・・・まだ俺のこと、好きでいてくれるか?」
「っ・・・もちろん」
「今から君の家族に結婚の許しを乞いにいきたいのだが、また俺と婚約してくれるか?」
「でもあなたにはヴィヴィアン王女が・・・」
「心配しなくていい、手は打ってある。ミリア、二度目になるのだが・・・僕と結婚してください」
ランドルフはミリアがスノーランドに来る前に返送した婚約指輪を再び手にした。
ーコクン
ミリアは頷き指輪を再び填めると、嬉し涙が溢れてきた。
「もしまた記憶がなくなっても、きっとあなたに恋をするわ」
「俺だって、何度でも君を追いかけていくよ」
ランドルフがミリアの唇に優しいキスをした。ミリアは目を瞑る。
「・・・」
「あのさぁ、僕がいること忘れてない?」
エドアルドはやれやれといった様子でミリアとランドルフを見ていた。
「エドっ・・・//」
「すまん、ミリアが可愛いくてつい・・・」
ミリアはしばらくて診察を済ませた。何も問題がないので普通の生活をして良いとのことだった。二人はスノーランド国王妃に結婚の許しをもらい、三国友好の為の晩餐会に参加した。
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