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スノーランド婚約結婚編
シルベスターの帰国
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「ケネス王子、今回とても良い合意が結べました。本当に今回の長期滞在のおもてなしも全てありがとうございました。父にもスノーランドが良くしてくれたと報告しておきます」
「いえいえ、こんな田舎ですが、資源はたくさんありますのでね。フェリス国にご協力できそうで、こちらも嬉しい限りですよ。鉄道のことや条約決行のこともありますので、またすぐにお会いするでしょう。いつでもお待ちしております」
フェリス国とスノーランドの王子は硬い握手をして、シルベスターとその一行は帰国していった。
「ミリア、ちょっといいかな」
叔父であるケネスがミリアを呼び止めた。ミリアはケネスの執務室に入ると、もう一人先客がいた。
「いやぁ、実は、シルベスター王子にお願いされたんだが断れなくてねぇ・・・」
ケネスは頭をポリポリと掻いた。そこにいた先客が一歩前に出た。
「この度は私をミリア王女の騎士としてお役目を与えていただき、誠にありがとうございます」
そこにいたのは、フェリス国騎士団長であるランドルフであった。
「あっ・・・あなた、シルベスター様と帰国したんじゃ!!」
ミリアは驚きを隠せない。確かに彼らの一行をこの目で見送ってきたところなのだ。
「いやぁ、どうしてもシルベスター王子がこちらに次回来られるまで彼をミリアの専属騎士にしてやってくれってシルベスター王子が頼むからさぁ・・・まぁ、彼凄く強いみたいだし、ミリアが怪我しないように守れる専属騎士がいるのも悪くないからね」
ケネスはばつが悪そうに早口でそう告げ、そそくさと仕事に出掛けてしまった。
「な・・・なんで・・・」
「ミリア・・・俺を忘れてしまったのは知ってる・・・でも俺は少しでも君の新しい記憶に残っていたいんだ。もちろん騎士として絶対に君を守るよ」
「でも・・・あなたにはヴィヴィアン王女が・・・」
「シルベスター様に少し考えがあるんだ。詳細は伝えられないけど、でも君は何も気にする必要はない。君は守られていればいいんだから」
「でも、仕事は?」
「休暇届けを出してきた。シルベスターは受理したよ」
シルベスターは王女への忠誠のポーズをとった。膝まずき、ミリアの手の甲にキスをする。
「ランドルフ・ド・デルタにミリア王女っを守る栄誉を・・・」
「っ・・・」
ミリアはランドルフの本気に押されてしまう。彼の他国の王族へ忠誠を誓うなんて通常は考えられないのだ。
(こんなことされたら、断れないじゃない・・・)
「・・・分かりました。あなたに私を守る栄誉を与えます」
ミリアは王女の威厳を保ちながらランドルフにそう告げた。
「ありがたき幸せ」
こうしてランドルフがミリアの騎士となった。
「いえいえ、こんな田舎ですが、資源はたくさんありますのでね。フェリス国にご協力できそうで、こちらも嬉しい限りですよ。鉄道のことや条約決行のこともありますので、またすぐにお会いするでしょう。いつでもお待ちしております」
フェリス国とスノーランドの王子は硬い握手をして、シルベスターとその一行は帰国していった。
「ミリア、ちょっといいかな」
叔父であるケネスがミリアを呼び止めた。ミリアはケネスの執務室に入ると、もう一人先客がいた。
「いやぁ、実は、シルベスター王子にお願いされたんだが断れなくてねぇ・・・」
ケネスは頭をポリポリと掻いた。そこにいた先客が一歩前に出た。
「この度は私をミリア王女の騎士としてお役目を与えていただき、誠にありがとうございます」
そこにいたのは、フェリス国騎士団長であるランドルフであった。
「あっ・・・あなた、シルベスター様と帰国したんじゃ!!」
ミリアは驚きを隠せない。確かに彼らの一行をこの目で見送ってきたところなのだ。
「いやぁ、どうしてもシルベスター王子がこちらに次回来られるまで彼をミリアの専属騎士にしてやってくれってシルベスター王子が頼むからさぁ・・・まぁ、彼凄く強いみたいだし、ミリアが怪我しないように守れる専属騎士がいるのも悪くないからね」
ケネスはばつが悪そうに早口でそう告げ、そそくさと仕事に出掛けてしまった。
「な・・・なんで・・・」
「ミリア・・・俺を忘れてしまったのは知ってる・・・でも俺は少しでも君の新しい記憶に残っていたいんだ。もちろん騎士として絶対に君を守るよ」
「でも・・・あなたにはヴィヴィアン王女が・・・」
「シルベスター様に少し考えがあるんだ。詳細は伝えられないけど、でも君は何も気にする必要はない。君は守られていればいいんだから」
「でも、仕事は?」
「休暇届けを出してきた。シルベスターは受理したよ」
シルベスターは王女への忠誠のポーズをとった。膝まずき、ミリアの手の甲にキスをする。
「ランドルフ・ド・デルタにミリア王女っを守る栄誉を・・・」
「っ・・・」
ミリアはランドルフの本気に押されてしまう。彼の他国の王族へ忠誠を誓うなんて通常は考えられないのだ。
(こんなことされたら、断れないじゃない・・・)
「・・・分かりました。あなたに私を守る栄誉を与えます」
ミリアは王女の威厳を保ちながらランドルフにそう告げた。
「ありがたき幸せ」
こうしてランドルフがミリアの騎士となった。
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