秘密の師弟関係

ほのじー

文字の大きさ
上 下
106 / 121
スノーランド婚約結婚編

騎士団長との関係

しおりを挟む
ーガチャン



「お待たせしました・・・」


ランドルフは時間より早く屋上で待っていたようだ。風が吹き、ひんやりとしている。



「寒いですね・・・」
「ああ・・・」


ランドルフとミリアは会話に詰まる。




(なんだか気まずいわ・・・)



ランドルフは意を決したように、ミリアに話だした。


「ミリア、ヴィヴィアン王女のこと、申し訳なかった・・・侯爵として俺はフェリス国に永遠に仕えなければならない。だから・・・国王にもヴィヴィアン王女との婚約関係を勧めるよう頼まれてしまったんだ・・・」
「・・・」


ミリアは無言でランドルフの言葉を解釈していく。


(騎士団長さまは・・・侯爵だったのね。ヴィヴィアン王女っていったら、アングレの王女じゃない・・・)



「ミリア・・・俺はそれでもミリアが好きだ。君はもう俺のことを見限ってしまったのだろうか・・・」




(私・・・彼と恋人関係だったってこと!?)




ミリアは頭が混乱した。しかし、オーロラを見に行った日、彼がミリアの唇に顔を寄せたときに自然と目を瞑ってしまったことを思い出す。



(彼と恋人だったのなら、あの時のことも府に落ちるわ・・・)




「君と一緒になれるなら・・・平民に戻って君と駆け落ちしようかとも考えた・・・でもそう考えているときに、君がスノーランド国王の養子となったニュースを聞いて・・・君と駆け落ちする希望も消えてしまったよ・・・君の両親の二の舞になってしまうからね」



ランドルフはミリアを抱き締めた。



(彼の胸の中・・・安心する・・・)




「ミリア・・・」



ランドルフはミリアに顔を近づけ、唇を触れあわせた。ランドルフはミリアの口の中に舌を入れ、ミリアの口の中を掻き乱す。



ークチャグチャッ・・・



「ミリア・・・」
「はぁ・・・騎士さま・・・」


二人の口の中は舌を絡めるうちにだんだんと熱くなり、白い蒸気がそこから立ち上る。



「はぁ・・・はぁ・・・」
「ミリア・・・好きだ・・」



(私も彼が本当に好きだったのかしら・・・でも、彼と触れているだけで心がポカポカする・・・)




「すまないミリア・・・つい・・・」
「いえ・・・」
「とにかく、俺の気持ちを君に伝えたかったんだ。君が王女だって何だって、君を愛してる」



ミリアは心が揺らぐ。しかし彼はヴィヴィアン王女と婚約を進めていると言っていた。



(もし記憶が戻っても、私は彼と一緒になれないのよ)



「お気持ちは嬉しいですが・・・私はもうあなたを好きではありません・・・すみません」
「っ・・・そうか。分かった」


ランドルフは悔しそうな顔をしたが、気持ちの整理がついたのかため息を一つつき、穏やかな表情でミリアに再び話かけた。


「素直な気持ちを伝えてくれてありがとう」
「いえ・・・」


それからミリアとランドルフは落ち着いて近況を伝え合うことができた。



(彼も頑張っているのね・・・)



侯爵として毎日勉強の日々だそうだ。今回はミリアに会いたくて遠征に行く騎士団員のリストにランドルフ自身を無理やりねじ込んだらしい。


「・・・そういえばマールのこと、大変だったんだな。君が彼を助けたようなものだ」
「親友ですもの。もちろんです」
「親友・・・?」 
「ええ。小さい頃からの仲ですから」
「ミリアと・・・マールが?」
「ええ・・・」


ランドルフは怪しんだ表情で何か考えこむ。


「ミリア・・・僕らが初めて会ったときのこと、覚えているか?」
「もちろん・・・騎士団でお世話になりましたから・・・」


ランドルフはハッとした表情をする。



「ミリア・・・お前もしかして・・・!」



ーーーバタン!



「ミリア王女!!こんなところで何をしてるんですか!!」
「リ、リッヒ・・・少し騎士さまとお話してただけよ」
「こんな遅くに男性と二人きりなんて不謹慎すぎますよ!早く部屋に戻りましょう」



リッヒはミリアの肩をだき城の中へと導いた。リッヒは振り返り、ランドルフに向かう。



「騎士団の方がなぜ夜中にミリア王女を呼び出したのか分かりませんが、もうミリア王女はあなたの部下ではありません。ミリア王女と身分違いの男は彼女から距離をおいていただきたい」



リッヒはランドルフを睨み付けてミリアを部屋へと戻した。









    
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】 妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。

王宮医務室にお休みはありません。~休日出勤に疲れていたら、結婚前提のお付き合いを希望していたらしい騎士さまとデートをすることになりました。~

石河 翠
恋愛
王宮の医務室に勤める主人公。彼女は、連続する遅番と休日出勤に疲れはてていた。そんなある日、彼女はひそかに片思いをしていた騎士ウィリアムから夕食に誘われる。 食事に向かう途中、彼女は憧れていたお菓子「マリトッツォ」をウィリアムと美味しく食べるのだった。 そして休日出勤の当日。なぜか、彼女は怒り心頭の男になぐりこまれる。なんと、彼女に仕事を押しつけている先輩は、父親には自分が仕事を押しつけられていると話していたらしい。 しかし、そんな先輩にも実は誰にも相談できない事情があったのだ。ピンチに陥る彼女を救ったのは、やはりウィリアム。ふたりの距離は急速に近づいて……。 何事にも真面目で一生懸命な主人公と、誠実な騎士との恋物語。 扉絵は管澤捻さまに描いていただきました。 小説家になろう及びエブリスタにも投稿しております。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

処理中です...