秘密の師弟関係

ほのじー

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スノーランド婚約結婚編

協定会議

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「今回フェリス国研究員たちに協力していただきありがとうございました」
「いえいえ、当たり前のことをしたまでですよ」


どちらも次期国王となる予定であるミリアの叔父ケネスとシルベスターを筆頭に鉄道についての話し合いが始まった。


「スノーランド側で鉱石を改めて色々調査しました。今回調査した鉱山だけでなく、周辺の鉱山にもあの鉱石が発見されました、そうだね?ミリア」
「はい、ケミ鉱山とタルビ鉱山でも地下九百メートル付近で同様の鉱石が発見されたそうです」


ミリアは調査隊の報告書を読み上げる。そしてマールも同様に報告書を読み上げた。



「実験を行いましたが・・・小さな鉱石一粒でも1日鉄道を走らせることができそうです・・・」
「ふむ、それは朗報ですな」


ケネスは感心したように頷いた。



「この鉱石は非常に利用価値があります。是非ともフェリス国とスノーランド両国にとって素晴らしい取引をさせて頂きたく思います」
「ええ、鉱山へもご案内したく思うので、それまでゆっくりと協議を行いましょう」


シルベスターとケネスはにこやかに握手をする。



今回の会議はほぼ報告のみで終わらせた。シルベスターは二週間ほど滞在する予定で、その間に数回協議時間を設けるそうだ。深い話はまだ先となるだろう。



「さあ、皆さん、お腹もおすきでしょう。食事会場にご案内します」



食事会場に皆そろい、乾杯をした後、前菜からゆっくりと料理が出てくる。今日のメインディッシュはスノーランド自慢の海鮮で作った料理だ。


「いやぁ、素晴らしい料理です、ケネス王子。蟹もすごく身がプリプリで大きいですね」
「スノーランドでは海鮮がよく取れるんですよ」
「いやぁ、フェリス国にこれ程の海鮮はないですね。鉄道が開通すれば是非輸入させていただきたいですね」



シルベスターやフェリス国の者たちはスノーランドの料理に満足げだ。皆ゆっくり噛み締めて食べている。



「ちなみにシルベスター王子、明日の夜のご予定は決まっておるでしょうか」
「明日は研究員たちの鉄道の状況を見たいと思いますが、夜は空いてますが、何か?」


ケネスはシルベスターに明日の晩の予定を尋ねた。


「実はここではオーロラを見ることができるんです。よければミリアが皆さんをご案内しますが、どうでしょう?」
「是非ともお願いしたく思います!スノーランドの書物に記載されていて、死ぬまでに一度は見てみたいと思っていたんです」



フェリス国の人々はオーロラを見たことがない。スノーランドでしか見られない不思議な現象なのだそうだ。



「いやぁ、今晩は素敵な食事をありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそ。今まで国交があまりなかったフェリス国の皆さんとお食事ができて非常に興味深かったです。やはり機械の技術はフェリス国が世界一ですな」



今やスノーランド全国民が使用しているこの暖房も、戦後に負けたスノーランドと戦争に勝ったフェリス国は和平条約を結び、今後戦争をしないことを約束した。そのときに寒さで死ぬ人が続出していたスノーランド国民にフェリス国が暖房の技術を提供をしたのだ。



「では、また明日から宜しくお願いします、ケネス王子」
「こちらこそ。今宵はゆっくりと温泉にお浸かりになってお休みください」



両国共、良いスタートを切れたと満足する食事会であった。フェリス国の者は、温泉の気持ちよさで夜はぐっすりと眠れたのだった。


    
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