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スノーランド婚約結婚編
フェリス国研究員の滞在
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「フェリス国から数人の研究員たちがいらっしゃるそうだ。彼らはこの国にも暖房技術などを提供してくれ、とても世話になっている方々だ。ミリアもそろそろ国務をこなしてもらわないとと考えてところだから、君に彼らの接待をしてもらおう」
「は、はいお叔父様」
ミリアがスノーランド国王の養女となり三ヶ月が経った。毎日勉学に励み、スノーランドの王女として板のついてきた頃である。国王の仕事を徐々に引き継いでいる次期国王である叔父
ケネスがミリアにそう指示した。
(フェリス国の研究員たち・・・どんな方たちだろう・・・)
ミリアは王都の迎賓館での食事会や、そこに隣接する宿泊施設を手配したりと、準備に追われていたが、なんとか勉学と国務を両立しながら、研究員が訪問する日を迎えた。
「遠くからようこそいらっしゃいました。スノーランド王女ミリア・フォン・ストールベリと申します」
ミリアはスノーランド式の挨拶をし、旅に疲れている彼らを宿泊施設へ連れていく前にホットチョコレートを振る舞った。
今回訪問したフェリス国の研究員は五人。一際目立っていたのはミリアと同じくらいの年齢の若そうな男性で、名をマールと名乗った。正式な挨拶の後、マールはミリアに近づいていった。騎士たちは少し警戒するが、ミリアは騎士たちに目配しし、問題ないことを伝える。
「ミリアさん・・・お久しぶりですね・・・今回の訪問でミリアさんに会えるって聞いてすごく楽しみにしてたんですよ・・・」
「え・・・」
(この人、私のこと知ってるの・・・?)
まさかミリアを知っている人が訪問すると思っていなかった。ミリアは記憶喪失のことは公にしていないので、どうしようか迷ったが、嘘を突き通すことにした。
「お久しぶりです、マールさん。お元気でしたか?」
マールはミリアの態度に首をかしげる。ミリアは記憶喪失なのがバレてしまったかと少し不安になるが、彼は話し出した。
「元気に・・・してましたよ。積もる話もあるので、是非研究室に遊びにきて下さいね。なんたってミリアさんと僕は・・・夜部屋に行き来する程の仲なんですから」
「え、ええ。もちろんですわよ」
(私、彼とそんな仲良かったの!?)
ミリアは冷や汗が流れたが、なんとかその場をやり過ごした。
「ところで皆さんの今回の滞在の目的は何なのでしょうか」
「実は、“鉄道”と言って長距離を鉄の線の上で高速で走る乗り物を作ろうと思うのですが、その原動力がかなりの力を必要としておりまして、鉱山が豊富であるスノーランドで調査しようと思っております」
年は四十代程の研究員がミリアに鉄道の仕組みを簡単に説明した。
「もし成功しましたら、海の上にも線路を作りまして、フェリス国中心部からスノーランド中心部まで約二時間で到着することでしょう」
「まあ!素晴らしいわ!是非とも成功したいわね!国交が活発になったら嬉しいわ。こちらも全力で協力させて頂きますわね」
「ありがとうございます、ミリア王女」
ミリアは彼らの研究室を臨時で用意していたので、そこまで案内する。鉱山に詳しい地元民も手配し、天気が良ければ三日後に鉱山へ向かうこととなった。歓迎会もなんなく終わり、夜の十時頃にお開きとなった。
ミリアはヘトヘトで布団に潜り込んだ。
(あ~疲れた~でも、“鉄道”なんて夢があるわ・・・)
その日ミリアは見たことのない鉄道に乗り、旅をする幸せな夢を見た。その隣には、誰か男の人が乗っていた気がした。
「は、はいお叔父様」
ミリアがスノーランド国王の養女となり三ヶ月が経った。毎日勉学に励み、スノーランドの王女として板のついてきた頃である。国王の仕事を徐々に引き継いでいる次期国王である叔父
ケネスがミリアにそう指示した。
(フェリス国の研究員たち・・・どんな方たちだろう・・・)
ミリアは王都の迎賓館での食事会や、そこに隣接する宿泊施設を手配したりと、準備に追われていたが、なんとか勉学と国務を両立しながら、研究員が訪問する日を迎えた。
「遠くからようこそいらっしゃいました。スノーランド王女ミリア・フォン・ストールベリと申します」
ミリアはスノーランド式の挨拶をし、旅に疲れている彼らを宿泊施設へ連れていく前にホットチョコレートを振る舞った。
今回訪問したフェリス国の研究員は五人。一際目立っていたのはミリアと同じくらいの年齢の若そうな男性で、名をマールと名乗った。正式な挨拶の後、マールはミリアに近づいていった。騎士たちは少し警戒するが、ミリアは騎士たちに目配しし、問題ないことを伝える。
「ミリアさん・・・お久しぶりですね・・・今回の訪問でミリアさんに会えるって聞いてすごく楽しみにしてたんですよ・・・」
「え・・・」
(この人、私のこと知ってるの・・・?)
まさかミリアを知っている人が訪問すると思っていなかった。ミリアは記憶喪失のことは公にしていないので、どうしようか迷ったが、嘘を突き通すことにした。
「お久しぶりです、マールさん。お元気でしたか?」
マールはミリアの態度に首をかしげる。ミリアは記憶喪失なのがバレてしまったかと少し不安になるが、彼は話し出した。
「元気に・・・してましたよ。積もる話もあるので、是非研究室に遊びにきて下さいね。なんたってミリアさんと僕は・・・夜部屋に行き来する程の仲なんですから」
「え、ええ。もちろんですわよ」
(私、彼とそんな仲良かったの!?)
ミリアは冷や汗が流れたが、なんとかその場をやり過ごした。
「ところで皆さんの今回の滞在の目的は何なのでしょうか」
「実は、“鉄道”と言って長距離を鉄の線の上で高速で走る乗り物を作ろうと思うのですが、その原動力がかなりの力を必要としておりまして、鉱山が豊富であるスノーランドで調査しようと思っております」
年は四十代程の研究員がミリアに鉄道の仕組みを簡単に説明した。
「もし成功しましたら、海の上にも線路を作りまして、フェリス国中心部からスノーランド中心部まで約二時間で到着することでしょう」
「まあ!素晴らしいわ!是非とも成功したいわね!国交が活発になったら嬉しいわ。こちらも全力で協力させて頂きますわね」
「ありがとうございます、ミリア王女」
ミリアは彼らの研究室を臨時で用意していたので、そこまで案内する。鉱山に詳しい地元民も手配し、天気が良ければ三日後に鉱山へ向かうこととなった。歓迎会もなんなく終わり、夜の十時頃にお開きとなった。
ミリアはヘトヘトで布団に潜り込んだ。
(あ~疲れた~でも、“鉄道”なんて夢があるわ・・・)
その日ミリアは見たことのない鉄道に乗り、旅をする幸せな夢を見た。その隣には、誰か男の人が乗っていた気がした。
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