70 / 121
終章:師匠との恋
最終決戦!!(中)
しおりを挟む
「サド侯爵、宜しいですかな」
「え、ええ・・・」
シルベスターはランドルフの父親であるサド侯爵に確認をとった。
「じゃあ、王子である僕がこの決戦の見届け人となろう。ミリアちゃん、ランドルフ、構えて。皆の者はこのから先へは入らないように」
ミリアは剣を構える。ランドルフがいない間必死に騎士団で鍛えてきた。その実力を見せる時がきたのだ。
ーーーーーはじめ!
ミリアは先に仕掛けにいく。とにかくミリアは素早さが取り柄で、体力は持続しない。早くランドルフの隙を見つけないと勝ち目はない。ミリアは真正面から見据えるランドルフが剣を振り上げたと同時にひらりと宙返りをし、ランドルフの剣を避ける。そしてランドルフが態勢を整え直す前に斬りかかった。
ーキーーーン
ランドルフはすぐにその剣からの攻撃を防いだ。そして力でミリアの剣を押し返す。ミリアはしりもちをついたが、すぐに立ち上がり、ランドルフに対峙した。
「はぁ・・・はぁ・・・師匠、黙って騎士団から去るなんて酷いです。私には教えてほしかった」
ーーーキーーーン
ミリアは剣を振り上げる。同時に再びランドルフとミリアの剣が交差する。
「ゴシップ紙であなたのこと知るって、どんだけ屈辱だったか!しかも婚約者の噂まで出てきて・・・」
ランドルフはミリアの言葉に動揺したが、気を取り直し、ミリアの剣を弾いた。ミリアは剣を拾わずにスカートをひらりと靡かせ側転でランドルフと距離をとった。
「あなたへの恋心に気づいた時、あなたは私の側にいなかった!」
ーーーシュン!
低く身構えたミリアはランドルフに再び立ち向かう。
ーカラン・・・
ランドルフの上着にミリアの剣先が掠れ、ボタンがコトンと落ちた。ランドルフはハッとした。
(初めて師匠に剣が当たった・・・)
ランドルフは上着を脱ぎ捨てた。ランドルフは本気を出すようだ。先ほどと違った強者のオーラを纏い、ミリアを見据える。
(もう私の体力も限界に近い・・・次できっと終わりだ)
ミリアは取れそうになっていた髪飾りを外して髪紐をほどいた。そのサラリとした髪がそよ風によって靡いている。そしてドレスのスリットの中からランドルフにもらった短剣を取り出す。切れてしまった口から血がツーっと流れていた。
ーーーーサアアアア
土埃が舞う。
土埃から覗くミリアの姿は誰もが戦慄を覚えるほど勇ましく、美しかった。
「これで最後にしましょう」
土埃がさらに大きく舞い、視界がぼやける。招待客からは何が起こっているか見ることができない。大きな音と共に風がピタリと止む。
ーーー『ごっくん』
招待客が皆息を飲んだ。視界がクリアになっていく。
「・・・参りました」
ミリアはランドルフに完全に抑え付けられ、ミリアは敗けを認めざるおえなかった。拘束が解けたミリアは立ち上がり、後ろを向いた。
(そりゃそうだよね。私が勝てる訳ない)
一歩一歩出口へと進む。
「まってくれ、ミリア」
ランドルフはミリアを引き留める。
「俺はミリア、君のことが好きだ。笑顔な君も、恥ずかしがる君も、他の男より強い君も、人を魅了してやまない君も、どれも好きで堪らないんだ。・・・侯爵として貴族に戻ったのも、君に釣り合うような身分になりたかったからだ」
ランドルフはミリアの前で膝まずき、ポケットから小さな箱を取り出す。
「ミリア、ごめん。これからは必ず君に大切なことは伝えるよ」
ランドルフが箱を開けるとそこから大きなブラック・サファイア・ダイアモンドが輝く指輪が入っていた。
「・・・俺と結婚してください」
(今、なんて・・・)
ミリアは驚き口に両手を当てた。ポロポロとミリアの目から涙がこぼれる。
(わ、私が結婚?師匠と・・・?)
ミリアは急な展開に頭がついていけない。ミリアはランドルフに決闘を申し込み、すっきり負けて失恋するか、万が一勝つことがあれば恋人にしてもらおうと思っていただけだ。
(私・・・彼と一生を添い遂げたい・・・ずっとずっと一緒にいたい・・・)
ランドルフは返事を焦れたように待っている。他の招待客もじっとミリアを見守っているようだ。
しばらくしてミリアはコクリと頷いた。
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
はめられた指輪のダイアモンドは、ミリアの今日着ている黒いドレスに合わせたように、ピッタリと馴染んでいた。
「え、ええ・・・」
シルベスターはランドルフの父親であるサド侯爵に確認をとった。
「じゃあ、王子である僕がこの決戦の見届け人となろう。ミリアちゃん、ランドルフ、構えて。皆の者はこのから先へは入らないように」
ミリアは剣を構える。ランドルフがいない間必死に騎士団で鍛えてきた。その実力を見せる時がきたのだ。
ーーーーーはじめ!
ミリアは先に仕掛けにいく。とにかくミリアは素早さが取り柄で、体力は持続しない。早くランドルフの隙を見つけないと勝ち目はない。ミリアは真正面から見据えるランドルフが剣を振り上げたと同時にひらりと宙返りをし、ランドルフの剣を避ける。そしてランドルフが態勢を整え直す前に斬りかかった。
ーキーーーン
ランドルフはすぐにその剣からの攻撃を防いだ。そして力でミリアの剣を押し返す。ミリアはしりもちをついたが、すぐに立ち上がり、ランドルフに対峙した。
「はぁ・・・はぁ・・・師匠、黙って騎士団から去るなんて酷いです。私には教えてほしかった」
ーーーキーーーン
ミリアは剣を振り上げる。同時に再びランドルフとミリアの剣が交差する。
「ゴシップ紙であなたのこと知るって、どんだけ屈辱だったか!しかも婚約者の噂まで出てきて・・・」
ランドルフはミリアの言葉に動揺したが、気を取り直し、ミリアの剣を弾いた。ミリアは剣を拾わずにスカートをひらりと靡かせ側転でランドルフと距離をとった。
「あなたへの恋心に気づいた時、あなたは私の側にいなかった!」
ーーーシュン!
低く身構えたミリアはランドルフに再び立ち向かう。
ーカラン・・・
ランドルフの上着にミリアの剣先が掠れ、ボタンがコトンと落ちた。ランドルフはハッとした。
(初めて師匠に剣が当たった・・・)
ランドルフは上着を脱ぎ捨てた。ランドルフは本気を出すようだ。先ほどと違った強者のオーラを纏い、ミリアを見据える。
(もう私の体力も限界に近い・・・次できっと終わりだ)
ミリアは取れそうになっていた髪飾りを外して髪紐をほどいた。そのサラリとした髪がそよ風によって靡いている。そしてドレスのスリットの中からランドルフにもらった短剣を取り出す。切れてしまった口から血がツーっと流れていた。
ーーーーサアアアア
土埃が舞う。
土埃から覗くミリアの姿は誰もが戦慄を覚えるほど勇ましく、美しかった。
「これで最後にしましょう」
土埃がさらに大きく舞い、視界がぼやける。招待客からは何が起こっているか見ることができない。大きな音と共に風がピタリと止む。
ーーー『ごっくん』
招待客が皆息を飲んだ。視界がクリアになっていく。
「・・・参りました」
ミリアはランドルフに完全に抑え付けられ、ミリアは敗けを認めざるおえなかった。拘束が解けたミリアは立ち上がり、後ろを向いた。
(そりゃそうだよね。私が勝てる訳ない)
一歩一歩出口へと進む。
「まってくれ、ミリア」
ランドルフはミリアを引き留める。
「俺はミリア、君のことが好きだ。笑顔な君も、恥ずかしがる君も、他の男より強い君も、人を魅了してやまない君も、どれも好きで堪らないんだ。・・・侯爵として貴族に戻ったのも、君に釣り合うような身分になりたかったからだ」
ランドルフはミリアの前で膝まずき、ポケットから小さな箱を取り出す。
「ミリア、ごめん。これからは必ず君に大切なことは伝えるよ」
ランドルフが箱を開けるとそこから大きなブラック・サファイア・ダイアモンドが輝く指輪が入っていた。
「・・・俺と結婚してください」
(今、なんて・・・)
ミリアは驚き口に両手を当てた。ポロポロとミリアの目から涙がこぼれる。
(わ、私が結婚?師匠と・・・?)
ミリアは急な展開に頭がついていけない。ミリアはランドルフに決闘を申し込み、すっきり負けて失恋するか、万が一勝つことがあれば恋人にしてもらおうと思っていただけだ。
(私・・・彼と一生を添い遂げたい・・・ずっとずっと一緒にいたい・・・)
ランドルフは返事を焦れたように待っている。他の招待客もじっとミリアを見守っているようだ。
しばらくしてミリアはコクリと頷いた。
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
はめられた指輪のダイアモンドは、ミリアの今日着ている黒いドレスに合わせたように、ピッタリと馴染んでいた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
792
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる