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第三章:真実
スノーランドの王族(後)
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スノーランド国王と王妃を歓迎する式典が始まる。その式典の後に二人は王城のバルコニーから、市民へ挨拶をすることとなる。一目姿を見ようと何千万人もの市民が押し寄せた。
フェリス国王が王座に、その横には正妃ベラが座っていたが、スノーランド国王と王妃が到着すると腰を上げ、二人に近づいた。
「スノーランド国王、そして王妃よ、今回の訪問を心から歓迎致す。グレイス王女の訃報は誠に残念なことであったが、二人の孫にあたるミーシャ王女の娘と息子が見つかった。ここに彼らを紹介しよう」
ミリアとエドアルドが、ゆっくりと壇上に上がる。
「おじいさま、おばあさま、ミリアです」「エドアルドです」
「まぁ!二人ともミーシャにそっくりだわ」
「うむ」
国王と王妃は涙を浮かべ、エドアルドとミリアを抱き締めた。
(よかった。迷惑そうじゃない)
ミリアとエドアルドは壇上に立つ。ミリアは美しい肩が露になったノースリーブのドレスを、エドアルドはフォーマルウェアのスーツを着ている。
『美男美女だわ!』
『あれ?姉の方って肩に傷があるって言ってなかった?』
『すごく綺麗なデコルテしてるじゃないの、噂って嘘ばっかしね』
(よかった。バレてないみたい)
シルベスターと正妃ベラの作戦はこうである。
ミリアがエドアルドに、エドアルドがミリアに扮し、ミリアには傷がないと壇上で証明し、噂を払拭するのだ。幸い二人とも顔が瓜二つである。問題は身長と胸であるが、ミリアサラシとシークレットシューズを、エドアルドはとにかく胸にパッドとつめまくった。そしてカツラを被れば完璧である。
活躍したのは正妃ベラの侍女である。以前雪合戦で知り合った姉妹、リンリンとランランの気合いの入れようは凄まじかった。エドアルドの腕や脇、足の毛、(下の毛までも)が剃られ、肌に高級そうなクリームが塗られる。そこにうっすらと化粧を施せば、どう見てもミリアだった。ミリアはあまりすることはなかったが、男らしい歩き方や仕草を伝授された。「お嬢さんたち今日はありがとう」と言うと「キャー!素敵!!」となぜか盛り上がっていた。エドアルドは「僕の全身の毛が・・・」と少し哀愁を漂わせていた。
(なんか遊ばれた気がするのは気のせい?)
式典が終わる前ふとフェリス国王が立ち上がり、宣言をした。会場が何事かとざわざわとするが、「静粛に」との声でシーンと静まりかえる。
「この国には女性に傷があると災いをもたらすという、悪しき言い伝えがあるが、今後この言い伝えを広めることは禁止する」
すぐに浸透することは不可能であろう、でも徐々に変わっていけば良い。
(だってこんなに私を認めてくれる人がいるんだもん)
議会でシルベスターやシャーロットが父である王に差別的な文化を終わらせるよう進言したそうだ。正妃ベラも助言してくれたようだ。
(もしこの風潮が変われば、この傷を公表してもいいかもしれない)
ーーーー
十年後、この言い伝えを信じるものはいなくなり、傷をもつ女性でも堂々と歩けるようになる。その筆頭となったのが、美しく、気高いスノーランドの血族の女性であるということが、百年後の歴史書に小さく記されている。
フェリス国王が王座に、その横には正妃ベラが座っていたが、スノーランド国王と王妃が到着すると腰を上げ、二人に近づいた。
「スノーランド国王、そして王妃よ、今回の訪問を心から歓迎致す。グレイス王女の訃報は誠に残念なことであったが、二人の孫にあたるミーシャ王女の娘と息子が見つかった。ここに彼らを紹介しよう」
ミリアとエドアルドが、ゆっくりと壇上に上がる。
「おじいさま、おばあさま、ミリアです」「エドアルドです」
「まぁ!二人ともミーシャにそっくりだわ」
「うむ」
国王と王妃は涙を浮かべ、エドアルドとミリアを抱き締めた。
(よかった。迷惑そうじゃない)
ミリアとエドアルドは壇上に立つ。ミリアは美しい肩が露になったノースリーブのドレスを、エドアルドはフォーマルウェアのスーツを着ている。
『美男美女だわ!』
『あれ?姉の方って肩に傷があるって言ってなかった?』
『すごく綺麗なデコルテしてるじゃないの、噂って嘘ばっかしね』
(よかった。バレてないみたい)
シルベスターと正妃ベラの作戦はこうである。
ミリアがエドアルドに、エドアルドがミリアに扮し、ミリアには傷がないと壇上で証明し、噂を払拭するのだ。幸い二人とも顔が瓜二つである。問題は身長と胸であるが、ミリアサラシとシークレットシューズを、エドアルドはとにかく胸にパッドとつめまくった。そしてカツラを被れば完璧である。
活躍したのは正妃ベラの侍女である。以前雪合戦で知り合った姉妹、リンリンとランランの気合いの入れようは凄まじかった。エドアルドの腕や脇、足の毛、(下の毛までも)が剃られ、肌に高級そうなクリームが塗られる。そこにうっすらと化粧を施せば、どう見てもミリアだった。ミリアはあまりすることはなかったが、男らしい歩き方や仕草を伝授された。「お嬢さんたち今日はありがとう」と言うと「キャー!素敵!!」となぜか盛り上がっていた。エドアルドは「僕の全身の毛が・・・」と少し哀愁を漂わせていた。
(なんか遊ばれた気がするのは気のせい?)
式典が終わる前ふとフェリス国王が立ち上がり、宣言をした。会場が何事かとざわざわとするが、「静粛に」との声でシーンと静まりかえる。
「この国には女性に傷があると災いをもたらすという、悪しき言い伝えがあるが、今後この言い伝えを広めることは禁止する」
すぐに浸透することは不可能であろう、でも徐々に変わっていけば良い。
(だってこんなに私を認めてくれる人がいるんだもん)
議会でシルベスターやシャーロットが父である王に差別的な文化を終わらせるよう進言したそうだ。正妃ベラも助言してくれたようだ。
(もしこの風潮が変われば、この傷を公表してもいいかもしれない)
ーーーー
十年後、この言い伝えを信じるものはいなくなり、傷をもつ女性でも堂々と歩けるようになる。その筆頭となったのが、美しく、気高いスノーランドの血族の女性であるということが、百年後の歴史書に小さく記されている。
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