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第二章:恋の芽
騎士団のお仕事④
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「ランドルフ騎士団長・・・怒ってますよね。私が疲れてしまってキースさんが気を使ってマッサージしてくれたんです。サボるつもりは決してなくて・・・」
「いや、君のせいではないよ。俺も少し感情的になって申し訳なかった」
ミリアはランドルフに向かい立ち上がって謝罪した。するとランドルフもスッと立ち上がり、彼の手のひらをミリアの頬に当てた。
「君は誰に対しても一歩引いていたように見えたが、最近ではキースや団員に対しても警戒心を解いているように感じる」
「・・・」
ミリアは今まで女性としての劣等感と、シャーロットのことで特に警戒して過ごしていたが、王城で過ごしていくなかで、偏見を持っていない素晴らしい人たちに出会えた。そして最近では徐々に警戒心が溶けていったのだ。
「シャーロット様やシルベスター様、キースさんやランドルフ騎士団長たちのような方に会えたから、心の壁も少しずつ取れてるのかもしれません」
「・・・俺だけになついてほしいって思うのは嫉妬深いのかな」
ランドルフはミリアに少しずつ近寄り、ミリアをぎゅっと抱き締めた。
ードクッドクッドクッーーー
ランドルフの大きな心臓の音が聞こえてくる。ランドルフの胸は広く、ミリアをすっぽりと包み込んだ。彼の胸の中は安心するような、でも弟のエドアルドに対する感情とは少し違う。不思議な感覚に陥った。
「ランドルフ騎士団長・・・」
ミリアがそう呟くとランドルフの抱きしめる力が一層強くなる。
(他の人に触れられても何も感じないのに、師匠に触れられるだけで、なんだか安心するような、胸が苦しくなるような・・・なんだろ、この気持ち)
ランドルフはパッと体を離し「すまない・・・頭を冷やしてくる」と言って部屋を出ていった。
(もっと抱きしめてほしかった・・・ってなんてこと考えてんの私!)
ミリアもランドルフもその日は仕事がなかなか身に入らなかった。
次の日から、ミリアは使われなくて荷物置きになっていた事務室へと移動するようにと告げられた。朝練はいつもと変わりなく指導してくれるが、事務仕事が始まると、ランドルフはできるだけミリアに近づかないようにしていると感じた。会話は書類の受け渡し時と、仕事の終了時に挨拶するくらいだ。
(やっぱり私のこと避けてるよね・・・)
なぜこうなってしまったのだろうか。ミリアは分からないでいた。そしてミリアは心の奥がきゅっと痛くなった。
「いや、君のせいではないよ。俺も少し感情的になって申し訳なかった」
ミリアはランドルフに向かい立ち上がって謝罪した。するとランドルフもスッと立ち上がり、彼の手のひらをミリアの頬に当てた。
「君は誰に対しても一歩引いていたように見えたが、最近ではキースや団員に対しても警戒心を解いているように感じる」
「・・・」
ミリアは今まで女性としての劣等感と、シャーロットのことで特に警戒して過ごしていたが、王城で過ごしていくなかで、偏見を持っていない素晴らしい人たちに出会えた。そして最近では徐々に警戒心が溶けていったのだ。
「シャーロット様やシルベスター様、キースさんやランドルフ騎士団長たちのような方に会えたから、心の壁も少しずつ取れてるのかもしれません」
「・・・俺だけになついてほしいって思うのは嫉妬深いのかな」
ランドルフはミリアに少しずつ近寄り、ミリアをぎゅっと抱き締めた。
ードクッドクッドクッーーー
ランドルフの大きな心臓の音が聞こえてくる。ランドルフの胸は広く、ミリアをすっぽりと包み込んだ。彼の胸の中は安心するような、でも弟のエドアルドに対する感情とは少し違う。不思議な感覚に陥った。
「ランドルフ騎士団長・・・」
ミリアがそう呟くとランドルフの抱きしめる力が一層強くなる。
(他の人に触れられても何も感じないのに、師匠に触れられるだけで、なんだか安心するような、胸が苦しくなるような・・・なんだろ、この気持ち)
ランドルフはパッと体を離し「すまない・・・頭を冷やしてくる」と言って部屋を出ていった。
(もっと抱きしめてほしかった・・・ってなんてこと考えてんの私!)
ミリアもランドルフもその日は仕事がなかなか身に入らなかった。
次の日から、ミリアは使われなくて荷物置きになっていた事務室へと移動するようにと告げられた。朝練はいつもと変わりなく指導してくれるが、事務仕事が始まると、ランドルフはできるだけミリアに近づかないようにしていると感じた。会話は書類の受け渡し時と、仕事の終了時に挨拶するくらいだ。
(やっぱり私のこと避けてるよね・・・)
なぜこうなってしまったのだろうか。ミリアは分からないでいた。そしてミリアは心の奥がきゅっと痛くなった。
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