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第二章:恋の芽
お出かけ④
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「その道場で教えていた男の子の一人がミリア殿にそっくりなんだ。とっても優秀だったんだけど、俺が目を離してしまったせいで怪我をしてしまって・・・それから二度と戻ってこなかった。見舞いにも行ったんだが、追い帰されてしまって会えていないんだ」
(うっ・・・それ私のことです。お見舞いにも来てくれてたんだ・・・)
ミリアは怪我をして父や祖母にバレてから監禁されたように過ごし、その後リーンという文学の街の女学校に通うことになりほとんど寮生活となった。祖母が亡くなったこともあり、実家には葬式のとき以外戻ることもなかった。
「・・・その子はきっと今も元気にやってると思いますよ。ランドルフ騎士団長のことも感謝していると思います」
「そうだといいんだがな。それでその子の面影がある君のことが気になっていたら怪しい動きをしていたので、あんな拘束するようなことをしてしまって・・・本当に申し訳なかった!」
ランドルフはテーブルに両手をバン!とつき、再び頭を下げた。
「いえ、気にしていませんので!!こんな美味しいお店にも連れていっていただきましたし!」
「いやぁ、実はご飯だけじゃ申し訳ないと思ってだな・・・」
ランドルフは彼の荷物から三十センチほどの革の包みを取り出した。
「これも、受け取ってほしい」
「え・・・なんですか、これ。」
ミリアは包みを縛っていた紐をするりと取り、袋を広げた。そこには短剣が入っていた。鞘には見たことのない花の模様が描かれており、柄にはブラック・スター・サファイアがはめ込まれ、手の小さい人でも持ちやすくミリアの手にスッとフィットした。本体はとっても軽い。最上級品といっていいだろう。
「・・・アクセサリーでも送ろうと思ったんだがな。今日店を見てても全然興味なさそうだっただろう?でも俺が行った加治屋では、じーっと武器を見つめてたし、ミリア殿はこういったものの方が良いのかと思ってな。」
加治屋で時間がかかったのはこの為だったのだ。ミリアはしばらく言葉がでなかった。ランドルフはミリアのことを1日でこれだけ理解してくれたことも嬉しかった。
「あっ・・・ありがとうございます!とっても嬉しいです!!」
「君には危険な仕事をしてほしくないんだがな、やはりシャーロット様の侍女は危険がつきものだから、できるだけ君に合った武器を使ってほしいと思って」
「・・・今までで一番嬉しいプレゼントです」
「喜んでもらえて良かった・・・」
心がぽかぽかと暖かくなる。ミリアは心からの笑顔をランドルフに向けた。
(うっ・・・それ私のことです。お見舞いにも来てくれてたんだ・・・)
ミリアは怪我をして父や祖母にバレてから監禁されたように過ごし、その後リーンという文学の街の女学校に通うことになりほとんど寮生活となった。祖母が亡くなったこともあり、実家には葬式のとき以外戻ることもなかった。
「・・・その子はきっと今も元気にやってると思いますよ。ランドルフ騎士団長のことも感謝していると思います」
「そうだといいんだがな。それでその子の面影がある君のことが気になっていたら怪しい動きをしていたので、あんな拘束するようなことをしてしまって・・・本当に申し訳なかった!」
ランドルフはテーブルに両手をバン!とつき、再び頭を下げた。
「いえ、気にしていませんので!!こんな美味しいお店にも連れていっていただきましたし!」
「いやぁ、実はご飯だけじゃ申し訳ないと思ってだな・・・」
ランドルフは彼の荷物から三十センチほどの革の包みを取り出した。
「これも、受け取ってほしい」
「え・・・なんですか、これ。」
ミリアは包みを縛っていた紐をするりと取り、袋を広げた。そこには短剣が入っていた。鞘には見たことのない花の模様が描かれており、柄にはブラック・スター・サファイアがはめ込まれ、手の小さい人でも持ちやすくミリアの手にスッとフィットした。本体はとっても軽い。最上級品といっていいだろう。
「・・・アクセサリーでも送ろうと思ったんだがな。今日店を見てても全然興味なさそうだっただろう?でも俺が行った加治屋では、じーっと武器を見つめてたし、ミリア殿はこういったものの方が良いのかと思ってな。」
加治屋で時間がかかったのはこの為だったのだ。ミリアはしばらく言葉がでなかった。ランドルフはミリアのことを1日でこれだけ理解してくれたことも嬉しかった。
「あっ・・・ありがとうございます!とっても嬉しいです!!」
「君には危険な仕事をしてほしくないんだがな、やはりシャーロット様の侍女は危険がつきものだから、できるだけ君に合った武器を使ってほしいと思って」
「・・・今までで一番嬉しいプレゼントです」
「喜んでもらえて良かった・・・」
心がぽかぽかと暖かくなる。ミリアは心からの笑顔をランドルフに向けた。
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