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第二章:恋の芽
お出かけ
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あのお茶会から三週間程が経った。茶会のドタバタが終息を見せた今でもミリアはシャーロットの侍女を続けている。
シャーロットは女性ながら教育面で国政に携わっている。特に彼女は平民への識字運動に力を入れ、この国での識字率を100パーセントを目標にしている。彼女自身も教会などで教鞭をとり、身寄りのない子供たちなどに字や計算などを教えている。
そんなシャーロットは敵が少なくない。女性が政治に口を出すな、貧しい人たちに教育なんて必要ない、など伝統を重んじるプライドの高い貴族たちからの批判も多いのだ。王城内はわりかし安全になったが、外出先では危険も多い。ミリアはシルベスターから、シャーロットを守るだけでなく、心の支えとなる友人として彼女を見守ってほしいと言われている。
ミリアは今日は早番だったので昼過ぎに帰ろうと身支度をしているところに、シャーロットからの呼び出しがあった。服はそのままで良いとのことなので、私服で向かった。
「シャーロット様どうかされましたか?」
「ミリア、今日はこのあとランドルフ騎士団長とお出かけするのよね」
「はい、そうですけど・・・」
シャーロットがふわりと微笑む。
「サリー、ミリアに髪型のセットと薄くお化粧をしてさしあげて。あとあの白いストールを貸してあげてちょうだい。」
サリーは元々正妃ベラの侍女をしていたが、子供ができて産休していた。復帰を考えていたところ、シャーロットの侍女が人手不足だと聞き、復帰を決めたのだ。
「うふふ、ミリアさんはいつも化粧っけもへったくれもないですものね。腕が鳴るわ~~」
(ひぃっ!!サリーさんの目が据わってる!!)
さすがは元ベラの侍女である。美しさへの追求は底知れない。シャーロットは可愛らしい笑顔をミリアへ向けているが、こんな場所で王族の威厳を感じるのは気のせいだろうか。有無を言わせず民をひれ伏してしまうような、あれだ。
(ぎゃ~~~~!!!!)
狼に襲われたウサギのような気分になる。ミリアに自然なうっすらとした化粧を施され、髪型はハーフアップでピンク色の花飾りをつけられ、いつもより柔らかいイメージになった。
「素敵よ、ミリア!!これで騎士団長も・・・うふふふふふ」
シャーロットが最後何を言ったのか聞こえなかったが、シャーロットは満足しているようだ。ただ、ランドルフからのお詫びの買い物と食事をするだけなので、着飾らなくてもいいのに・・・と思ったが、そこはシャーロットに逆らえないミリアなのである。
「すみません、お待たせしました!」
「・・・いや、俺も今着いたところだ」
シャーロットから足止めをくらい、数分程遅れてしまったが、ランドルフは特に気にする素振りはなかったのでホッとした。質の良い青いワイシャツに黒のパンツスタイルでやってきたランドルフは、大人の色気を醸し出している。
(シャーロット様に着飾ってもらって良かった。あんな格好で師匠の横なんて歩けなかったもんな)
「その・・・今日はいつもと感じが違うのだな。似合ってる」
「あ、ありがとうございますっ!」
ランドルフはフイ、と顔を反らしながらポリポリと頭を掻いた。ミリアは顔をほんのりと赤くして俯く。
「では、行こうか」
「はい」
シャーロットは女性ながら教育面で国政に携わっている。特に彼女は平民への識字運動に力を入れ、この国での識字率を100パーセントを目標にしている。彼女自身も教会などで教鞭をとり、身寄りのない子供たちなどに字や計算などを教えている。
そんなシャーロットは敵が少なくない。女性が政治に口を出すな、貧しい人たちに教育なんて必要ない、など伝統を重んじるプライドの高い貴族たちからの批判も多いのだ。王城内はわりかし安全になったが、外出先では危険も多い。ミリアはシルベスターから、シャーロットを守るだけでなく、心の支えとなる友人として彼女を見守ってほしいと言われている。
ミリアは今日は早番だったので昼過ぎに帰ろうと身支度をしているところに、シャーロットからの呼び出しがあった。服はそのままで良いとのことなので、私服で向かった。
「シャーロット様どうかされましたか?」
「ミリア、今日はこのあとランドルフ騎士団長とお出かけするのよね」
「はい、そうですけど・・・」
シャーロットがふわりと微笑む。
「サリー、ミリアに髪型のセットと薄くお化粧をしてさしあげて。あとあの白いストールを貸してあげてちょうだい。」
サリーは元々正妃ベラの侍女をしていたが、子供ができて産休していた。復帰を考えていたところ、シャーロットの侍女が人手不足だと聞き、復帰を決めたのだ。
「うふふ、ミリアさんはいつも化粧っけもへったくれもないですものね。腕が鳴るわ~~」
(ひぃっ!!サリーさんの目が据わってる!!)
さすがは元ベラの侍女である。美しさへの追求は底知れない。シャーロットは可愛らしい笑顔をミリアへ向けているが、こんな場所で王族の威厳を感じるのは気のせいだろうか。有無を言わせず民をひれ伏してしまうような、あれだ。
(ぎゃ~~~~!!!!)
狼に襲われたウサギのような気分になる。ミリアに自然なうっすらとした化粧を施され、髪型はハーフアップでピンク色の花飾りをつけられ、いつもより柔らかいイメージになった。
「素敵よ、ミリア!!これで騎士団長も・・・うふふふふふ」
シャーロットが最後何を言ったのか聞こえなかったが、シャーロットは満足しているようだ。ただ、ランドルフからのお詫びの買い物と食事をするだけなので、着飾らなくてもいいのに・・・と思ったが、そこはシャーロットに逆らえないミリアなのである。
「すみません、お待たせしました!」
「・・・いや、俺も今着いたところだ」
シャーロットから足止めをくらい、数分程遅れてしまったが、ランドルフは特に気にする素振りはなかったのでホッとした。質の良い青いワイシャツに黒のパンツスタイルでやってきたランドルフは、大人の色気を醸し出している。
(シャーロット様に着飾ってもらって良かった。あんな格好で師匠の横なんて歩けなかったもんな)
「その・・・今日はいつもと感じが違うのだな。似合ってる」
「あ、ありがとうございますっ!」
ランドルフはフイ、と顔を反らしながらポリポリと頭を掻いた。ミリアは顔をほんのりと赤くして俯く。
「では、行こうか」
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